2014年の日本の空はどうなる? 日本LCCに二つの新しい波

2014年1月1日 18:27

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記事提供元:エコノミックニュース

 2012年3月、日本で初めての格安航空会社「Peach(ピーチ・アビエーション)」が就航したことを皮切りに「エアアジアジャパン」、「ジェットスター・ジャパン」が相次いで就航、日本にもついにLCCの時代が到来した。先行してLCC同様のサービスを行ってきたスカイマーク<9204>や、JAL<9201>やANA<9202>などの国内線の格安サービスなども加えると、日本の空は激しい価格競争に突入した感もある。利用者としては、選択肢が広がったり、価格がさらに下がったりするのは有り難いことではあるが、実際のところ、サービスなどの面はどうなのだろうか。

 現在、日本のLCCはPeach、ジェットスター・ジャパン、バニラエアの3社がある。また、LCC並みの低価格設定の運賃で通常のエアライン並みのサービスを提供する航空会社として、スカイマーク、スターフライヤー<9206>、北海道国際航空AIR DO、ソラシド エアがある。各社それぞれの特色などはあるものの、価格とサービスのバランスでは横一線かと思いきや、13年後半から14年に向けて、早くも業界再編ともいえる大きな変化が起こり始めていることで、混沌とした様相を呈してきた。

 その大きな変化の一つがバニラエアだ。バニラエアはエアアジアジャパンから社名変更したものだ。とはいえ、社名だけを変更したのではない。エアアジアジャパンはもともと、全日本空輸(ANA)<9202>とマレーシアのエアアジアが提携して発足した合弁会社だったが、今年の6月、就航一年未満でその提供を解消。ANAホールディングスはエアアジアが所有していた全株式を購入し、100%子会社化した。エアアジアジャパンとしての運行は10月26日に終了し、11月1日には航空券の販売を開始、そして12月20日に、バニラエアとして就航を再開している。

 バニラエアの大きな利点はANA単独の子会社であるということだ。これまで合弁会社では行えなかったが、単独運営になったことで、日本の二大航空会社ANAのブランドメリットをフルに活用できるようになった。実際、バニラエアになったことで、ANAセールスやH.I.S、ビックホリデーなどによる募集型企画旅行も実施されている。また、バニラエアでは「シンプル」「エクセレント」「ニューベーシック」という3つのコンセプトを掲げており、エアアジア時代に不評を買ったウェブサイトの予約システムを改善。さらに預け荷物有料が当たり前のLCCの常識を覆し、預け荷物は20キログラムまで無料、しかも機内持ち込みの手荷物も10キログラムまで無料。計30キログラムまで無料で持ち込めるのだ。こうなってくると、最早LCCと呼べないのではないかとも思うが、日本版のLCCとしては自然の流れなのかもしれない。

 また、ANAと提携を解消したエアアジアの方も、日本の国内市場を諦めたわけではなさそうだ。エアアジアは、エアアジアジャパンの失敗をANA側の経営と、成田空港を拠点においたことが理由だとし、近い将来、「新生エアアジアジャパン」として再就航する意欲を見せており、WEBサイト上でも意欲を見せている。

 また、もう一つの大きな変かが、中国のLCC「春秋航空」の日本LCCへの本格的な参入だ。春秋航空は9月5日に都内で記者会見を開き、2014年5月末に「春秋航空日本」として成田―広島、成田―高松、成田―佐賀の3路線を就航することを発表した。これが就航すれば日本で4番目のLCCが誕生することとなる。

 12月17日に国土交通省から事業認可を受け、26日は会社のマークやシンボルカラーの緑に塗装されたボーイング737型機、同じく緑色を基調にした客室乗務員の制服などが披露された。春秋航空日本の社長に就任した鵜飼博社長は、26日の記者会見の席上で「5年以内に20機体制を確立する」と意欲を見せている。

 バニラエアと春秋航空日本、これらの新しい勢力に既存のLCC2社、そしてスカイマークなどの中堅航空会社がどのように迎え撃つのか。2014年の夏以降のシェア争いが、今後の日本LCCの未来を占うものになりそうだ。(編集担当:藤原伊織)

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