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欧米規格で進むさらなる省エネ化、勝負の年は来年?
世界的に省エネ機運が高まる中、業界初のPFC制御機能を搭載することで100Wクラスの電子機器の待機電力を大幅削減に成功したロームの高効率AC/DCコンバータICが注目を集めている。[写真拡大]
東日本大震災以降、日本では全国的に節電意識が高まっているが、実は日本だけでなく国際的にも電力不足が懸念されている。国際エネルギー機関(IEA)の資料によると、中国やインドといった新興国での電力需要が急増していることから、このまま進むと早ければ2020年頃には電力需要が供給を上回ってしまい、地球規模での電力危機が訪れると予測されているのだ。
これを回避するため、欧州委員会が設けるEC規格をはじめ、日米の両政府が促進する、省エネを促す国際規格である国際エネルギースタープログラムもさらに厳しくなるなど、対策が進められている。ちなみに、国際エネルギースタープログラムには現在、日本とアメリカのほか、EU、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、そして日本企業でも富士通<6702>やNEC<6701>など、多くの企業が参加しており、その輪は広がっている。
とくに今年から来年にかけて、上記の国際規格は電子機器や電源に対する規定をさらに厳しくする動きを見せており、EC規格では待機電力の削減や電源の変換効率の改善が要求されるほか、エネルギースターではセットでの電力変換効率の向上と、新たなセットに対しても基準を作成したことで、家電業界や電源に関係する市場に大きく影響を与えるとみられている。また、それらの動きに呼応するかのように、中国やロシア、カナダでも、さらなる省エネに向けての動きが活発になってきている。
このような省エネ機運が高まりをみせる中、半導体企業のローム<6963>が開発した高効率なAC/DCコンバータICが注目を集めている。同社がすでに9月からサンプル出荷、10月から量産を開始している「BM1C001F」は、テレビや産機用電源など100Wクラスのミドルパワーを必要とする電子機器向けに開発されたICで、PFC(力率改善)コントローラとQR(疑似共振)コントローラがワンパッケージ化されたものとなっている。
高効率の秘密は、業界で初めてPFCコントローラにON/OFF設定機能とPFC出力新制御方式を搭載したことにある。これを搭載したことにより、75W以下の軽負荷時においても電源の変換効率改善に貢献し、機器の待機電力を大幅に削減することに成功した。また、このICを使用した電源回路を構成すれば、待機電力はAC100V時に85mW以下、AC230V時に190mW以下となり、国際エネルギースタープログラムが要求する210mW以下の水準もクリアできることで、関連業界での注目が高まっているのだ。
オフィスで使用する複合機やサーバー、またはPCなど、世界中で消費する電力は膨大なものとなっている。その機器全ての省エネ化を実現させるためには、日本の優れた技術力が必要不可欠だ。EUやアメリカだけでなく、ロシアや中国といった大きな市場も省エネに動き出した今、日本のメーカーにとっては絶好の勝機であり、2014年は大きな商機の年となるに違いない。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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