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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ユーグレナの公募増資は中期成長に向けた積極投資でポジティブ評価、中期成長力に変化なく押し目買い好機
ユーグレナ <2931> (東マ)に注目したい。株価は11月18日発表の公募増資を嫌気した売りに押されたが、中期成長に向けた積極投資でありポジティブに評価するべきだろう。中期成長力に変化はなく嫌気売り局面は押し目買いの好機だ。
東京大学農学部発のベンチャーで、05年12月沖縄県石垣島において、植物と動物の両方の性質を持ち合わせる微細藻類ユーグレナ(和名ミドリムシ)を、食品として屋外大量培養することに世界で初めて成功した。ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術をコア技術として、関連分野への研究開発も進めながら事業展開している。
13年3月には、ユーグレナの粉末受託生産と微細藻類クロレラの食品向け生産を手掛ける八重山殖産(沖縄県石垣市)を子会社化し、先端設備導入によって培養能力増強を進めている。13年11月には、奈良先端科学技術大学院大学発のバイオベンチャーである植物ハイテック研究所を子会社化した。ユーグレナの形質転換による光合成能力や油脂生産性の向上など技術開発を進める方針だ。
現在の収益の柱は、ユーグレナを活用した機能性食品や化粧品を製造販売するヘルスケア事業(OEM供給、自社ECサイト・自社ブランド「ユーグレナ・ファーム」での直販、八重山食品のクロレラの食品向け販売)である。バイオジェット燃料の開発・実用化を目指してエネルギー・環境事業(ユーグレナを活用したバイオ燃料開発など)も展開している。
基本戦略は「豊かな太陽に恵まれた石垣島ですくすく育つユーグレナ」というイメージ戦略を強化するとともに、屋外大量培養技術をベースとして「Food=食料」「Fiber=繊維」「Feed=飼料」「Fertilizer=肥料」「Fuel=燃料」の順に、重量単価(kg当たり売価)の高い分野から順次参入する「バイオマスの5F」としている。ヘルスケア事業で安定的なキャッシュフローを創出しながら、将来収益の獲得に向けて飼料や燃料などエネルギー・環境事業への投資を進め、ユーグレナを活用した多角的な事業展開を目指す戦略だ。
また11月12日に発表した中期経営計画では経営目標として、ユーグレナの食品国内市場を18年までに300億円規模(13年76億円)に拡大し、国内ヘルスケア事業の18年売上高150億円、営業利益30億円以上を目指すとした。海外も地域・文化ごとの戦略的パートナーとの連携で18年市場規模300億円を目指す。エネルギー・環境事業は、八重山殖産や植物ハイテック研究所の子会社化などで研究開発体制を拡充するとともに、産官学共同プロジェクトなどの助成金も積極活用しながら、バイオジェット燃料生産に関しては18年の低コスト生産技術確立と20年の実用化を目指す。
11月12日に発表した前期(13年9月期)の連結業績は売上高が20億91百万円、営業利益が1億76百万円、経常利益が2億64百万円、純利益が4億82百万円だった。前々期の単体ベースとの比較で見ると31.9%増収、42.7%営業減益、18.8%経常減益、2.4倍最終増益だった。セグメント別に見るとヘルスケア事業は売上高が20億87百万円、利益(全社費用等調整前)が5億47百万円、エネルギー・環境事業は受託開発を計上して売上高が4百万円、利益が1億13百万円の損失だった。
自社サイト直販が大幅に拡大し、化粧品OEM供給の拡大や八重山殖産の半期連結も寄与して大幅増収だった。営業利益と経常利益は広告宣伝費や人件費などの増加などで減益だが、純利益は負ののれん発生益3億22百万円の計上で大幅増益だった。四半期ベースで売上高の推移を見ると第1四半期(12年10月~12月、単体)が3億88百万円、第2四半期(13年1月~3月、単体)が4億37百万円、第3四半期(4月~6月、連結)が5億69百万円、第4四半期(7月~9月、連結)が6億95百万円と成長を加速している。
なお自社ECサイトの購入者数(定期購入者数と一般購入者数の合計)は、12年9月単月の1746人から13年9月単月の9362人へと1年で5倍強に増加した。さらに13年10月単月は広告宣伝の集中投下も寄与して1万4307人に急増している。一般購入者の定期購入化も進展しており、ストック型安定収益源としての基盤強化が着実に進展している。
今期(14年9月期)見通しについては売上高が前期比48.8%増の31億13百万円、営業利益が同横ばいの1億76百万円、経常利益が同9.0%減の2億40百万円、純利益が同70.1%減の1億44百万円としている。収益性の高い自社サイト直販が大幅増収基調であり、OEM供給の安定成長や八重山殖産の通期連結も寄与する。ただし大幅増収に伴う売上総利益の増加分をすべて、中期成長に向けた先行投資として広告宣伝費や研究開発費に充当する方針で、営業利益は横ばいの見込みだ。純利益は負ののれん発生益一巡が影響する。
11月18日に新株式発行および売出しを発表した。一般公募増資で500万株、オーバーアロットメントに係る第三者割当増資で90万株、合計で最大590万株(10月31日現在の発行済株式総数6875万5000株に対する割合8.59%)の新株を発行し、出雲充・代表取締役が100万株の売出しを行う。調達資金(手取概算額合計74億67百万円)は、藻類由来油脂の開発・生産設備に関する研究開発・設備投資資金、国内ヘルスケア事業の基盤拡大に向けたM&A資金、八重山殖産における借入金返済資金、自社食品製品の販売力強化を目的とした広告宣伝費などに充当するとしている。中期成長に向けた積極投資と言えるだろう。ポジティブに評価したい。
株価の動き(10月1日付で株式5分割)を見ると、11月19日は公募増資による希薄化を嫌気した売りが優勢となった。前日比69円(4.66%)安の1413円まで調整する場面があり終値は1422円だった。ただし10月の戻り高値圏から反落して付けた11月1日の1361円、11月13日の1398円、11月14日の1396円という1400円台割れ水準まで下押す動きは見られなかった。11月19日の下落率で見ても嫌気売りは限定的という印象が強い。一旦は売りで反応したものの、市場の評価はそれほどネガティブではないようだ。
日足チャートで見ると75日移動平均線、また週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって下げ渋っている。1400円近辺が下値支持線となる可能性があり、発行価格決定後は中期成長力を評価して反発の動きを強めそうだ。押し目買いの好機だろう。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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