新興国で消費者ローン拡大、量的緩和の副作用が危機拡大の火種にも

2013年8月21日 09:05

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記事提供元:フィスコ


*09:05JST 新興国で消費者ローン拡大、量的緩和の副作用が危機拡大の火種にも
東南アジア諸国連合(ASEAN)の消費神話に暗雲が垂れ込めている。

米連邦準備理事会(FRB)が早ければ今年9月にも毎月850億米ドルの資産購入規模を縮小させるとの思惑が、前日20日のASEAN金融市場を揺るがした。米量的緩和が生み出した過剰マネーの恩恵を受けてきた新興国が資本逆流の危機に直面している格好だが、欧米の緩和策が生み出したASEAN諸国での与信拡大も消費市場へのリスクになる可能性が高い。

例えば、タイの消費者向けローン残高はこの1年間で平均17%増加しており、1世帯が抱える負債は所得の33.8%に上る。金融危機が発生した2008年以前では、米国の家計債務はこの約半分の水準だった。

足元の潮流は「米量的緩和の縮小懸念→米長期金利の上昇→新興国からの資本引き揚げ→新興国通貨の下落→(景気後退の中での)輸入インフレ懸念→中央銀行による(通貨下落に対抗した)金融引き締め→金利上昇と利払い負担の増大」と、ASEANのみならず新興国全体に激しい逆風となっている。

特にASEANでは取引量の多い中国の成長鈍化もダブルパンチ。量的緩和時に膨らませた消費者ローンが危機の傷口を広げる可能性は残されている。《RS》

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