アベノミクスへの期待と不満が入り交じる=犬丸正寛の相場展望

2013年6月7日 16:28

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

■「安倍さんのあとには誰も頼れる人なし」で中長期では好買い場に

  来週(10~14日)は、安倍政権に対するわれわれ庶民の「支持率」がどのようになるかが注目点となるだろう。

  1つには、このところの「株安」がある。投資は自己責任とは言うものの、アベノミクスを信じ切って、買い出動した個人(庶民)にとっては、予想外の下げから、「可愛さあまって憎さ100倍」の心理が芽生え始めている心配がある。しかも、庶民にとっては円安の副作用で生活必需品がほぼ軒並み値上げ状態である。賃金アップや株高が続いていれば不満も緩和されるものの、むしろ株安が追い討ちをかけている。「これまでの株高で潤った分は思い切って高額品を買ってしまった」という投資家の声もある。

  一方で、「今の日本を救えるのは安倍さんしかいない。安倍さんのあとには誰も頼れる人はいない。ここは、生みの苦しみに耐え安倍さんに期待するしかない」という声も強い。

  とくに、この先、東京都議選、参議院選挙が控えているだけに安倍政権に対する支持率は重要である。支持率が高水準を維持するようなら外国人投資家の本格的売りにはつがらないだろう。逆に、もしも支持率が下がるようなら選挙に対する不安、政権基盤に対する不安から外国人投資家は様子見を強めるものとみられる。

  アメリカの金融政策の行方は引き続き目が離せない。週末発表の雇用統計が好調数字なら金融の量的緩和終了は現実味を帯びだろう。雇用数値が過熱感を示すものでなければNYダウは反発も予想される。

  米中の首脳会談の結果も注目される。中国が大国としての振舞いを短期間にせよ取る可能性もあり、その結果、日中関係の緊張は緩和に向かう可能性も生れそうだ。中国関連銘柄が見直されることも予想される。

  足元のマーケットは、アベノミクスに対する不満と評価が入り交じり、買い安心となっていた買方の処分売りが出て売り圧力が優勢となっている。一方、中長期投資家は26週線を下値の目処においていることから日経平均が1万2000円に近づけば中期買いが本格化してくるものとみられる。とくに、「企業業績が上向いている中での需給関係先行で下げる相場は買い」といわれることから現物中心の中長期投資家には好買い場が近づいているといえるだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

【関連記事・情報】
【ジャーナリスト&アナリスト・水田雅展の視点】メディアフラッグの今期は営業支援事業好調で23%増益(2013/06/05)
【ジャーナリスト&アナリスト・水田雅展の視点】TAC株価続伸、若者の資格取得支援に厚生労働省が制度拡充(2013/06/05)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事