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専業主婦はあくまで現実味の薄い「理想」?
若い女性の間では専業主婦志向が強まり、それにともなって結婚相手に求める年収も高くなっていることが指摘されている。結婚情報センターが独身女性を対象に調査したところ、結婚相手の理想年収は682万円 。だが、実際に東京で年収600万円以上の独身男性は3.5%しかおらず、ギャップが広がっている 。
女性たちの理想は年々、高まっているようだ。国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」でも、「あなたの理想とする人生はどのタイプですか」との問いに「専業主婦」という女性は、90年代後半にいったん激減したものの、それ以降はまた少しずつ増えている。
とはいえ80年代には3割以上が「専業主婦が理想」と答えていたのに対し、2010年の最多は「再就職」の35.2%。次いで「両立」が30.6%となっており、専業主婦志向はここ十数年で再び増えつつあるとはいえ2割に満たない。
さらに、女性が実際になりそうだと考えるライフコース(予定ライフコース)では、専業主婦志向の減少が続いており、2010年には初めて1割を下回った。実際に専業主婦になりそうだと考える女性は10人に1人以下なのだ。最も多い予定は「再就職」だが、これも徐々に減少しつつある。代わって「両立」と「非婚就業(結婚せず、仕事を一生続ける)」が年々、増え続けている。
背景には男性の考え方の変化もあるだろう。未婚男性がパートナーとなる女性に望むコースでも、女性と同様に専業主婦が減少し、両立が増加し続けている。かつては4割近くいた専業主婦志向は1割まで減り、家庭と仕事を両立してほしいと望む男性が3割を超えた。
若い女性に専業主婦志向が高まっているとはいえ、それはあくまで「理想」として語られているのだ。専業主婦になりたいと思っていても、実際は再就職コースを選ぶ女性もいるだろう。子育てしながら、仕事にやりがいを見出す女性もいる。現実のライフコースが多様化する中で、専業主婦はあくまで現実味の薄いフィクションのような「理想」だと考えられているのではないだろうか。
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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