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本に載らない現場のノウハウ-中小企業の人事制度の作り方:第11回 評価制度の検討(4)(1/4)
今回も引き続き、「評価制度」を検討する上での留意事項を説明していきます。
■絶対評価と相対評価の話
多くの方はすでにご存じと思いますが、人事評価の方法として「絶対評価」と「相対評価」があります。
「絶対評価」とは、評価基準に照らして評語や評価点を決定する方式を言い、「相対評価」とは、評価成績順位に対して、例えば最高のS評価は○%など、評語や評価点ごとの分布率を示して、評価結果を決める方式をいいます。
最近では「絶対評価」の方式を取ることがほとんどで、一般的にはそれが定着しているように見えますが、評価制度を検討する中では、必ずどこかで「絶対評価か相対評価か」という議論が今でも出てきます。特に中小企業の場合、主に経営層から「結局は順番を決めるんだから、相対評価と同じ事だろ!」など言われます。
これについて私は、“ある面では合っているけど、ある面では間違っている”と思っています。
“合っている”という面でいえば、例えば評価の目的を「給与を決めるため」と考えるならば、給与原資という限られたパイの配分を決めることなので、相対評価といえるかもしれません。評価の序列を決めるだけなら、これも相対評価ということで構わないでしょう。
一方、“間違っている”という面でいえば、相対評価というと、だいたいにおいて標準評価を中心とした正規分布をイメージしますが、それは社員の半分がマイナス評価になるということです。上司だって「君なりには良く頑張ったけど、相対評価だから仕方ないね」と説明するしかありません。これではやる気を保つことは難しいでしょうし、社員の半数がやる気を失い気味の組織では、業績向上などは望むべくもありません。
また、「相対評価」の中で、自分の評価を上げようとすると、他の誰かと順位の逆転が起こらなければなりません。なおかつ決められた分布率もクリアしなければ評語や評価点は上がりません。自分の努力だけではどうしようもない要素が、あまりにも多くなります。身内の誰かを蹴落とさなければならないということで、組織力やチームワークという面でも良いことではありません。
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