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■絶対評価と相対評価の話
そもそも評語や評価点ごとの分布率など、初めから決めてしまうには相応の根拠が乏しいですし、正規分布という設定ではなおさら不自然です。よく「2・6・2の法則」(組織で上位2割は高生産性の優秀なグループに、中位6割が平均的なグループに、下位2割が生産性の低い行動しないグループに、必ず分かれてしまうという法則)などといいますが、これだって少なくとも8割近い人は「普通程度以上に成果を出している」という計算になります。
「相対評価」という話が出てくる背景には、実際の評価結果と会社業績の連動を意識していることが多いです。「絶対評価」と言いながら、実際にはなぁなぁの関係での甘い評価になり、そんな「評価のインフレ」が、特に人件費の面などで経営上の悪影響になることを懸念しています。
もちろん、実際の評価結果と会社業績がかい離してしまうというのは、それはそれで大きな問題ですが、逆に100%整合するという事もありません。首位打者を取る選手がいたけど、チームは最下位、観客動員は伸び悩んで収益が悪いとなれば、チーム内の評価としては最高でも、実際の報酬はそれほど出せないということになるでしょう。ただ、こういうことは給与原資を配分する段階で考えればよいことで、評価結果そのものを相対化する必要はないはずです。
ということで、評価制度としては、「絶対評価」という形で打ち出していくことをお勧めします。
人件費のコントロールは賃金制度の中で十分できますし、「評価のインフレ」のような問題は、運用面の課題として取り組んでいくべきです。
何よりも、「自分の努力だけでは評価は上がらない」という意識を与えてしまうことでの悪影響の方が大きいと思います。
■加点主義と減点主義について
もう一つ、同じような論点で「加点主義」と「減点主義」という話があります。
「加点主義」はプラス面を見つけて加点していくやり方、「減点主義」はマイナス面や不足部分を指摘して減点していくやり方です。
単純に考えれば、「加点主義が良いに決まっている!」となるのでしょうが、実際にこれを評価制度の中で実行できているところは、非常に少ないのではないかと思います。
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