京セラ、米子会社が環境問題で金銭的和解 約290億円を支払い

2012年10月12日 11:11

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 京セラは11日、同社の米国における連結子会社のAVX Corporationが、米マサチューセッツ州ニューベッドフォードにある「ニューベッドフォード湾包括的環境対策補償責任法適用地」において米国環境保護局が継続中の浄化作業に関して、金銭的和解に至ったことを公表したと発表した。

 AVXが同港湾の環境問題に関与した要因は、AVXの法的な前身会社とされるAerovox Corporationが、1930年代後半から1970年代前半まで、同港湾の近隣地域で液体充填コンデンサの製造を行っていたことによるもの。当該製造工場をその後所有した会社は解散または倒産した。AVX自体は、このような種類のコンデンサをこれまでに製造したことはなく、現在も製造していないという。

 1983年に提起された訴訟に際して、AVXは、米国政府とマサチューセッツ州政府による港湾の汚染浄化作業と天然資源に対する損害に関する申立てについて1992年に和解した。しかし、この和解は、米国環境保護局がAVXに新たな法的手続きを開始することを認める交渉再開条項を含んでおり、一定の状況の下で、米国環境保護局がAVXに対して浄化作業の実施または追加費用の支払いを要求する権利を認めていた。

 そのため、2012年4月18日、米国環境保護局はAVXに対して交渉再開条項を発動し、AVXに港湾浄化の残作業を命じる行政命令を発令した。

 今回、調停を含む当事者間の和解交渉を経て、AVXが約3億6600万ドル(約290億円)とこれに対する利息を支払うことで、米国環境保護局とマサチューセッツ州政府と和解に至った。支払いは向こう2年にわたり3回に分けて行われ、米国環境保護局とマサチューセッツ州政府が浄化作業を完了するために利用される。また、米国環境保護局は行政命令を取り下げる予定。

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