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【アナリストの眼】日本株の出遅れ修正が優位に、米FOMCは最大の焦点
【株式相場展望】
来週(9月10日~14日)の株式市場は強含みの展開を想定する。12日~13日の米FOMC(連邦公開市場委員会)が最大の焦点となり、追加緩和観測優勢で円高進行警戒感と綱引きの可能性もあるが、ユーロ不安後退、中国株反発期待、そして次週の日銀による追加緩和期待などもあり、日本株の出遅れ修正が優勢になりそうだ。
前週(9月3日~7日)は、注目された6日のECB(欧州中央銀行)理事会で政策金利を現行の0.75%に据え置いたが、市場の期待どおり南欧諸国の国債買い取り(欧州安定メカニズム=ESMへの支援要請を条件に、償還までの期間1~3年の国債を流通市場で無制限に買い取り)で大筋合意した。これを好感して6日の欧米株式市場が大幅高となり、翌7日の日本株式市場も大幅高となった。
■米雇用者数は市場予想大きく下回り金融緩和期待
もう一つの重要イベントだった7日の米8月雇用統計は、失業率が8.1%で前月比0.2ポイント低下したものの、非農業部門雇用者数は前月比9.6万人増加にとどまった。7月の14.1万人増加(16.3万人増加から下方修正)に比べて大幅に鈍化し、市場予想(13.0万人増加)も下回った。これを受けて米国株式市場は前日終値を挟んでモミ合う展開だったが、結局はダウ工業株30種平均株価が前日比14ドル64セント(0.11%)高、S&P500株価指数が前日比5.80ポイント(0.40%)高と小幅に上昇した。外国為替市場ではドル安・円高方向に傾き、原油や金など商品先物市場は総じて上昇した。米追加緩和観測が優勢になった形である。
この流れを受けて週初の10日は堅調なスタートが想定されるが、12日~13日の米FOMCを控えて、米追加緩和への期待感とドル安・円高進行への警戒感の綱引き状態になる可能性があるだろう。量的緩和策第3弾(QE3)まで踏み切るか、あるいは時間軸の延長にとどめるかは微妙だが、次回FOMCは日程的に米大統領選を控えて動きにくくなるため、今回の米FOMCで何らかの追加緩和に踏み切るとの見方が優勢になっている。このためドル安・円高要因として警戒されるが、米FOMCが追加緩和を決定した場合でも、外国為替市場ではかなり織り込み済みであり、ドル買い・円売り市場介入への警戒感、18日~19日の日銀金融政策決定会合での追加緩和期待も強まるため、結果的に外国為替市場への影響は限定的かもしれない。
ユーロ圏問題に関しては、ECBによる南欧諸国の国債買い取り合意でスペイン10年債利回りが低下した。外国為替市場ではユーロ買い戻しが優勢になり、7日の海外市場で1ユーロ=100円30銭近辺に円が下落した。警戒感が後退した形である。ただし12日には、ドイツ憲法裁判所によるESMと新財政協定の合憲性判断を控えている。大きな波乱はないとの見方が優勢のようだが、直前には警戒感を強める可能性があるだろう。
残る主要な懸念材料の中国経済と中国株式市場の動向については、今秋の共産党大会を控えた中国政府が7日までに、景気刺激策として鉄道、港湾、高速道路など総額1兆元(約12兆4000億円)規模の公共投資を認可した模様と伝えられている。これも好感して7日の中国・上海株式市場は大幅上昇している。9日発表の中国8月主要経済統計(CPI・PPI・小売売上高・鉱工業生産・固定資産投資)や、10日発表の中国8月貿易統計は低調な内容との見方が優勢だが、景気刺激策への期待感が一段と強まりそうだ。
国内では、週末14日に先物・オプション9月限のメジャーSQ(特別清算指数)算出、そして15日~17日の3連休が控えており、株価指数先物取引に振られる構図に大きな変化はないだろう。ただし米株高に比べた日本株の出遅れ感も意識され始めている。ユーロ問題や中国経済など、海外の懸念材料に対する警戒感が後退していることもあり、出遅れ修正で強含みの展開を想定する。中国関連、資源関連、景気敏感関連などを中心に、売り込まれていた主力大型株の買い戻しに物色がシフトする可能性も高いだろう(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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