テクノアルファ:松村勝正会長に現況と展望を聞く

2012年7月30日 16:48

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■「メーカー機能持った技術専門商社」へ、パワー半導体向け強い

 テクノアルファ <3089> (JQS)は、去る、6月29日に今期12年11月期第2四半期連結業績を発表。売上高14億7百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益92百万円(同134.6%増)、経常利益1億96百万円(同114.3%増)、純利益81百万円(同45.5%増)と増収大幅増益で着地している。

 前期は震災、タイの洪水の影響があり、業績は低迷したが、今期は一転して第2四半期で大幅増益となっているように、急回復してきている。松村勝正会長に現況と展望を聞いた。

――まず、事業内容についてお願いします。

 【松村会長】 当社は、大きくは3つの事業があります。柱は半導体装置事業です。この事業は、半導体製造設備の後工程に使うような製造設備を主に扱っています。中でもパワー半導体という分野で使う機器をメインに扱っています。とくに、『ワイヤーボンダー』を会社創立以来扱っており、もっとも得意としています。顧客は、自動車メーカーが約6割、残りの4割がパワー半導体のデバイスメーカーさんです。

――ワイヤーボンダーはどのようなものですか。

 【松村会長】アルミのワイヤーを結線する装置です。100ミクロンから500ミクロンのアルミの太いワイヤーを束ね、電力の制御用に使います。電流容量をたくさん流すようなデバイスに使われる装置です。最近では、ワイヤー形状から平たいリボン状のようなものまで多様化しています。従来のガソリンエンジン自動車からハイブリッド自動車、電気自動車に使われています。自動車以外の分野では、エアコン、大型テレビの電源部分、冷蔵庫、産業用ロボット、建設機械、エレベーター、エスカレータ等のモーターに多くのパワー半導体が使われています。国内でのシェアは5割以上あります。

――では次に、半導体装置事業以外の事業についてお願いします。

 【松村会長】 二つ目の事業は、『電子・機器事業』です。小型の機器類のほかに材料も扱っています。ニッチマーケット向けにたくさんの種類を揃えています。大半が輸入です。最後に、三つ目の事業は、『マリーン・環境事業』です。マリーンでは、救命ボートを、環境分野では、ろ過装置を主に扱っています。特に、水、食品関係、化学、バイオ、機械装置、電機分野にいたるまでろ過する液体はたくさんありますから、分離したり、濃縮したりするところで使われる装置です。

――それぞれ、売上構成比率はどのていどですか。

 【松村会長】 「半導体装置事業」が50%から60%、「電子機器事業」が15%から20%、「マリーン・環境事業」が15%です。

■まもなく設立25年のフシ目、過去5年の平均営業利益率10%

――まもなく、1989年12月の会社設立から23年です。フシ目の25年も近いわけですが、これまでの歩みとこれからについてはどのようにお考えですか。

 【松村会長】 当社は提案型の技術専門商社ということで、付加価値ビジネスを主体にこれまで取り組んできました。輸入した商品を単に右から左へ販売するのではなく、システムアップをはかるなどの付加価値をつけて、お客様に納入しています。そのため、利益率の高い商品が結構多くあります。過去5年の平均で見ますと、営業利益率が約10%あります。事業分野という視点では、今、説明しましたとおり今日まで3分野で事業展開してきました。最近では2件のM&Aを行うなどM&A戦略により事業展開を図っています。とくに、昨年の9月にはペリテックをM&Aでグループ化し、ソフトウェアとハードウェアを一体とするSI事業(システムインテグレーション)にも展開しています。さらに、今年5月に神奈川県の大和市に自社工場を立ち上げました。100坪ほどの敷地を確保して、設計主体の業務を展開しています。まだ立ち上げたばかりのため、少人数で製造キャパとしても年間2億円ていどです。自社工場を持ったことで、商社機能にメーカー機能がを加わることになります。自社ブランド商品を開発し生産する計画です。とくに、ペリテックスにもソフトウェアのエンジニアがいますので、メーカーの工場部門と将来的には何か一緒に出来る分野もあると思いますので、1プラス1が2以上の効果が出だろうと期待しています。

■今期業績は急回復、増配の可能性も

――自動車関係の売上が多いため、昨年はたいへんだったのでは。

 【松村会長】 私共は自動車業界との取引が5割以上あるため、大変な年でした。東日本大震災に続いてタイ・大洪水の影響で、自動車業界は大きな打撃を受けました。このため、昨年の業績は大きく影響を受けました。今年は、自動車業界も春先から増産体制を取っていますから、我々のところにもフォローの風が吹いています。通期の業績予想は公表していませんが、第2四半期が大幅増益となりましたので、今期の業績はかなりの回復になると見ています。配当は21円を予想していますが、配当性向は30%を掲げていますので、このペースで事業が順調であれば、増配を検討する可能性もあります。

――PERなど投資指標では割安です。半導体関連ということも影響しているのでは。

 【松村会長】 そうです。半導体商社の業績が低迷しているため、同じように見られているのだろうと思います。我々が取扱っているのはパワー用の半導体で、ルネサス、エルピーダなどが取り扱っている信号系のメモリーとはまったく違います。投資家の皆様には、このことを是非ご理解いただきたいと思います。パワー半導体は省エネと直結しているため時流に乗っています。パワー半導体というと聴き慣れない言葉ですが、インバーターという言葉は皆さんご存知かと思います。インバーターを搭載したエアコンは、最適な制御をしてくれることから、省エネ効果があります。まさに、そのインバーターという言葉が、パワー半導体を代弁した言葉といえます。

――ありがとうございました。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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