ようやく「金曜日の後場高」効果か?7月相場はまず「リターン・リバーサル」からスタート=浅妻昭治

2012年7月2日 13:54

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

またまた6月末は悩ましい週末を迎えたが、日経平均株価は、ほぼ高値引けの9000円大台乗せとなり、見切り発車の「金曜日の後場高」は正解だったようである。

またまた6月末は悩ましい週末を迎えたが、日経平均株価は、ほぼ高値引けの9000円大台乗せとなり、見切り発車の「金曜日の後場高」は正解だったようである。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  またまた6月末は悩ましい週末を迎えたが、日経平均株価は、ほぼ高値引けの9000円大台乗せとなり、見切り発車の「金曜日の後場高」は正解だったようである。とにかく市場関係者のマーケット・コメントは、週末金曜日の後場取引時間中も、「リスク・オフ」か「リスク・オン」かで揺れていたのである。

  後場取引時間早々にEU(ユーロ圏・欧州連合)のファンロパイ大統領のスペインの銀行に対する直接資本注入発言が伝わってきたが、肝心のドイツのメルケル首相の記者会見が先延ばしされていたからである。「何も決められない」の日本ではないが、欧州債務危機解消のもうひとつの目玉のユーロ共同債発行について、合意に至らないのではないかとの懸念が完全には拭えなかった。市場関係者のコメントは、「買いたい弱気」のようにいまひとつ歯切れが悪かった。

  無理もない。6月17日のギリシャ議会の再選挙以来、「日本時間」の「金曜日の後場高」は、週明けの「欧州時間」、「米国時間」では、ことごとく株安、ユーロ安に変わって冷や水を浴びせられ続けていた。簡単に「リスク・オフ」が「リスク・オン」にパラダイム・シフトするわけがないのを思い知らされていた。

  しかし、今回の前週末は、EU首脳会議を終わってみれば、マーケットは踏み込んだ金融危機対策の合意をサプライズと評価して欧州、米国と世界を一回り、株高とユーロ高ばかりか、原油、金の商品価格まで急反発したのである。今度こそ、狼少年の「狼が来た」の3度目の正直ではないが、翌週の強調相場に期待をつなぐ「金曜日の後場高」は、本物、正解だったということになる。

  7月相場は、アノマリー(変則性)が「荒れる」と教える「二日新甫」で、しかも週明け早々の2日寄り付き前には日銀短観の発表を控えている。日本時間、欧州時間、米国時間と株高、ユーロ高が続いたにもかかわらず、市場関係者の一部からは、スペインの銀行への資本注入の具体的は手順や条件が不透明で、さらに世界経済の失速を懸念するコメントがなお聞かれないでもない。しかし「リスク・オフ」が「リスク・オン」にパラダイム・シフトしたとすれが、もう行けるところまで行かなければ収まりはつかないということになる。

  となると、今週は、強気、弱気の相場感は脇に置いといて、どの銘柄に買いを入れればいいかという問題になる。多分、週明けはほぼ全銘柄が上値を試す展開から始まるはずで、どの銘柄に絞り込めばリターンが大きくなるか投資パフォーマンスの競い合いが強まる。日経平均株価の感応度の高いファーストリテイリング <9983> 、ファナック <6954> か、7月相場のメーンテーマとなる固定価格買取制度関連の再生エネルギー関連株か、それとも7月27日に開会式を迎えるロンドン五輪関連株かなどなど、いろいろ目移りはする。そのなかで敢えて注目したいのが、底上げ相場の定番セオリーである「リターン・リバーサル」買いである。谷の深い急落した銘柄ほど反発幅も大きくなるとするテクニカル投資である。

  対象はもちろん、日経平均株価構成の225銘柄に限定である。その225銘柄のうち、どこからどこまでの谷が深いか見極めることになるが、この際、年初安値から2~3月高値へ向けての上昇率が高く、さらに2~3月高値から6月安値への下落率が大きい銘柄をこの第1候補としたい。このスクリーニングで山が高く谷の深い銘柄として浮上する銘柄は、結構、バラエティに富んだ結果となった。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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