5月の景気ウォッチャー調査:円高・電気料金値上げに外需縮小の追い討ち

2012年6月11日 16:26

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記事提供元:ライフパートナーズ

 6月8日に内閣府から発表された5月の「景気ウォッチャー調査」。景気の先行き判断DI(※下部に説明あり)は前月より-2.8ポイントで48.1で2ヶ月ぶりの悪化となりました。構成比は「良くなる」が1.3%、「やや良くなる」が20.4%、「変わらない」が53.4%、「やや悪くなる」が19.2%、「悪くなる」が5.7%となりました。

 DIの内訳を見ると、「家計動向関連」では、小売関連が-3.7ポイントで46.0、飲食関連が-3.5ポイントで44.9、サービス関連が-1.8ポイントで51.6、住宅関連が+1.0ポイントで49.7。「企業動向関連」では、製造業が-2.9ポイントで47.1、非製造業が-1.1ポイントで48.3。「雇用関連」は-4.3ポイントで51.6となりました。

 判断理由を見ると、「良くなる(やや良くなる)」の理由には、「8月の電気料金の値上げや消費税増税の議論、年金の問題等、また、天気もかなり消費に影響を与えると思うが、東日本大震災復興事業の本格稼働によって全体的に動きが出てきているため、消費も喚起してくる(衣料品専門店)」「エコカー補助金の駆け込み需要の増加により、やや期待できる(乗用車販売店)」「昨今の引き合い、受注量から推測すると、良くなりつつある。投資は相変わらず小、中規模で、新規投資より現状のリニューアルや改善のための投資が多く、客も市場を見ながら投資をしている(その他サービス業[情報サース])」などが上げられています。

 一方、「悪くなる(やや悪くなる)」の理由には、「公共工事主体で土木、舗装を行っているが、公共工事の発注が少なくなるため、民間工事で競争しながら受注を図らざるを得ない。今後の資金繰りも心配である(建設業)」「欧州経済に不透明感がある。欧州の景気が悪くなると円高になり、ドルに対しても円高であり、輸出がしづらくなっている。その分、当社への発注数も減っている(輸送用機械器具製造業)」「夏の電力不足に伴う節電により、景気全体が抑制される。特に、百貨店は営業時間を短縮せざるを得ない可能性もあり、そうなれば売上減少につながる。また、欧州の信用不安もあり、直近は景気が悪くなる要素の方が多い(百貨店)」などが上げられています。

 昨年から話題になっている復興需要ですが、ようやくがれきの処理が進んできたのでしょうか。欧州債務危機の影響で外需が期待できない今、日本経済の下支えとして期待したいですね。なお、自動車を中心とする製造業は、円高・電気料金高でかなり苦しくなりそうです。あと、消費増税の議論がいよいよ佳境を迎えてきていますね。個人的には、明らかな世代間格差がある現在の社会保障制度を維持するために、経済成長を犠牲にしてまで増税する必要はないと思っています。

 ※景気の2~3カ月先行きに対する5段階の判断に、「良くなっている+1点」「やや良くなっている+0.75点」「変わらない+0.5点」「やや悪くなっている+0.25点」「悪くなっている0点」の点数を与え、調査時に判断理由とともに回答してもらい計算しています。調査対象は家計・企業・雇用を観察できる立場にある人々。調査期間は毎月25日から月末にかけて行われます。50が景気の転換点で、50を上回れば景気拡大、下回れば景気縮小の予想を意味します。

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