【不動産大手・銘柄診断】東京建物は営業利益黒字転換

2012年5月27日 11:06

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■営業利益黒字転換、ビル事業利益大幅伸長、住宅も黒字転換

  東京建物 <8804> は12年12月期の連結業績見通しについて、売上高が前期比14%増の1900億円、営業利益が300億円(前期は7億円の赤字)、経常利益が200億円(同109億円の赤字)、純利益が100億円(同718億円の赤字)としている。

  前期に計上した開発用不動産評価損63億円、匿名組合損失等76億円、投資有価証券評価損433億円、投資損失引当金繰入191億円、減損損失34億円などが一巡する見込みだ。予想EPS(1株利益)は23円22銭、年間配当は5円(第2四半期末0円、期末5円)としている。

  セグメント別営業利益(連結消去前)見通しは、ビル等事業が前期比4倍の290億円、住宅事業が50億円(前期は13億円の赤字)、その他事業が25億円(同1.9億円の赤字)としている。ビル等事業では「東京建物八重洲ビル」の通期稼働や、SPC関連資産の売却を見込んでいる。

  ビル等事業の空室率の推移を見ると、単体ベースのビル事業合計で、08年12月期末が5.9%、09年12月期末が13.0%、10年12月期末が8.2%、11年12月期末が11.0%となった。12年12月期末の見通しは6.5%としている。

  なお、11年12月期末の有利子負債は5136億円となり10年12月期末比528億円増加した。D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は2.78倍で同0.98ポイント上昇した。

■株価下値模索の展開、利回り・PBRに割安感も

  株価の動きを見ると、3月14日の年初来高値356円から反落し、足元では230円台まで下落している。週足ベースで見ると、ほぼ一本調子の下落で26週移動平均線を割り込み、年初来安値を更新して下値模索の展開となっている。

  足元の株価水準を指標面で見ると、12年12月期会社予想ベースの連結予想PERは10倍近辺、予想配当利回りは2%近辺、11年12月期BPS(1株当たり純資産429円46銭)ベースの実績PBRは0.5倍台前半の水準である。需給面では信用倍率(5月11日時点)が2倍台である。

  実績PBRで見れば割安感も台頭するが、他の大手不動産との収益基盤の差を考慮すれば、リスク回避の動きを強める局面では安心感につながらないだろう。11年秋の安値圏200円近辺が意識される可能性もあり、当面は下値固めが必要だろう。反発には再度のサプライズ追加緩和などの支援材料が欲しいところだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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