新日鉄住金ステンレス、大入熱溶接が可能な二相ステンレス鋼を世界初開発

2012年4月19日 21:25

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 新日鉄住金ステンレスは19日、従来のSUS304代替タイプの二相ステンレス鋼の課題であった溶接性を著しく改善し、大入熱溶接が可能な二相鋼「NSSC2120」(21Cr-2Ni-N)を世界で初めて開発したと発表した。高強度なNSSC2120は、鋼構造物の薄肉設計により素材調達コストの大幅な削減が可能であり、溶接作業性の改善と併せ、顧客の商品競争力のアップが可能。

 従来のSUS304代替タイプの二相鋼は、溶接入熱を制限する必要があり、溶接効率の点で課題があった。NSSC2120は、新日鉄住金ステンレス独自の成分設計と製造技術により、溶接性を著しく改善しており、大入熱溶接が可能。このため作業性を大きく改善することができる。

 また、SUS304に比べ約2倍の強度(0.2%耐力)を確保しており、設計板厚の薄肉化により鋼材使用量を大幅に削減(最大50%まで可能、用途により変化)できる。また、SUS304と同等あるいはそれ以下の価格で提供可能。このため、素材調達コストを大幅に削減することができる。

 さらに、レアメタルであるニッケルおよびモリブデンの添加量を削減した二相鋼であり、SUS304に比べ省資源性と価格安定性に優れている。

 なお、二相鋼は、オーステナイト相とフェライト相の比率がほぼ等しい微細構造を持っており、SUS304に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼に比べ、強度が高く、耐食性に優れるとともに、塩化物環境での応力腐食割れに対して優れた耐性を有している。

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