【銘柄診断】アドバンテストは09年後半から続いた長期下降トレンドに終止符か

2012年2月25日 13:13

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【半導体・液晶・太陽電池の製造装置関連特集】

  アドバンテスト <6857> は、半導体・部品テストシステム事業の半導体試験装置(メモリ用・非メモリ用テスタ)を主力とし、メカトロニクス関連事業、サービス事業(保守など)も展開している。

  1月27日に11年4~12月期累計の連結業績(米国基準)を発表した。売上高は前年同期比23%増の951億円、営業利益は53億円の赤字(前年同期は59億円の黒字)、税前利益は80億円の赤字(同51億円の黒字)、純利益は77億円の赤字(同32億円の黒字)だった。11年7月に買収を完了した米ベリジー社を新規連結したため大幅増収だった。また、米ベリジー社との統合関連費用を4~12月累計で74億円計上しているため営業赤字となったが、これを除いた場合の営業利益は同65%減の21億円だった。

  セグメント別に見ると、半導体・部品テストシステム事業は受注高が同45%増の728億円、売上高が同30%増の703億円、営業利益(連結調整前)が同78%減の17億円だった。メカトロニクス関連事業部門は、海外競合企業との競争激化の影響で営業利益(同)が7億円の赤字(前年同期は1億円の黒字)、サービス他部門は、顧客の設備稼働率低下の影響で営業利益が同38%減の11億円と、いずれも低調だった。

  米ベリジー社を含む全社ベースの受注高は11年4~12月累計で同22%増の919億円となった。四半期ベースで見れば、11年4~6月が384億円、7~9月が276億円、10~12月が259億円だった。米ベリジー社の連結効果を除いても、ほぼ前年同期並みの受注を確保したとしている。

  米ベリジー社を除く全社受注高推移を見ると、四半期ベースでは10年4~6月が308億円、7~9月が233億円、10~12月が213億円、11年1~3月が336億円、4~6月が384億円、7~9月が186億円、そして10~12月が170億円となり、11年4~12月累計ベースでは前年同期比2%減の740億円だった。

  また、半導体・部品テストシステム事業の四半期受注高(11年7~9月以降は米ベリジー社を含む)の推移を見ると、10年4~6月が216億円、7~9月が171億円、10~12月が116億円、11年1~3月が262億円、4~6月が326億円、7~9月が220億円、10~12月が182億円となった。メモリ用テスタは、パソコン需要が停滞した影響で、DRAMメーカーの稼働率が低下して新規設備投資も抑制したため、受注が低調だった。非メモリ用テスタはMPU関連の受注が一巡した。

  未開示だった12年3月期通期の連結業績予想を公表した。売上高は前期比39%増の1380億円、営業利益は同84%減の10億円、税前利益は18億円の赤字(前期は55億円の黒字)、純利益は10億円の赤字(同31億円の黒字)の見通しとしている。米ベリジー社との統合関連費用については通期で83億円計上する模様であり、これを除くと営業利益は同53%増の93億円となる。予想EPS(1株利益)は赤字5円77銭としている。1株配当については期末配当を10円とし、中間期末配当5円と合わせて年間15円(前期比5円増配)とする。

  通期の全社受注高については、同15%増の1250億円の見通しとしている。12年1~3月は331億円の見通しであり、10~12月の259億円をボトムとして回復傾向の模様である。

  DRAM用テスタについては、市況回復が遅れているためDRAMメーカーの設備投資抑制が続いているが、スマートフォンやタブレット端末に搭載する半導体向けテスタについては、米国や韓国からの引き合いが増加している模様だ。非メモリ用テスタ強化策の成果も期待されるうえに、13年3月期以降については、米ベリジー社が強みを持つ通信用半導体向けの需要拡大を見込んでいる。

  株価の動きを見ると、11年1月の昨年来高値1924円から12年1月の昨年来安値671円まで、ほぼ3分の1の水準まで下落した。しかし11年4~12月期連結業績発表を機に急反発した。週足ベースで戻りを圧迫していた13週移動平均線、26週移動平均線を一気に突破し、足元では1000円台を回復して戻り歩調の展開となっている。12年3月期通期連結業績予想の最終赤字額が市場予想よりも小さかったことや、前期比5円増配となる年間15円の配当予想を好感した。

  足元の株価水準を指標面で見ると、12年3月期ベースの予想配当利回りは1%台前半、実績PBRは1倍台後半、需給面で見れば信用倍率は0.7倍台である。09年後半から続いた長期の下降トレンドに終止符を打った可能性もあるだけに、戻り本格化が期待されそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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