4-6月期の世界パソコン出荷は2.6%増:スマホやタブレットとの競合で予想下回る

2011年7月14日 12:36

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 米調査会社IDCによると、2011年4-6月期の世界パソコン出荷台数は前年同月比2.6%増と、同社の5月時点の予想2.9%増を下回った。同社によると、前年の10年4-6月期が20%の大幅増だったことの反動と、スマートフォンをはじめとした他の家電製品との競合、景気がさえないことなどが要因となった。

■地域別では米・欧・中東・アフリカで減少、日・アジア・太平洋は増加
 地域別では、米国は前年同月比4.2%減の1,780万台だった。前年の成長率が高かったことと、景気回復が進んでいないことが響いた。

 欧州、中東、アフリカ地域も前年水準を下回った。西ヨーロッパでは、タブレット端末やスマートフォンとの予算の食い合いや消費意欲が弱いことなどが影響した。一方、中央・東ヨーロッパと中東、アフリカは、前年を上回った。

 日本では、PC購入に対する震災の影響は限定的で、予想を上回る3%増だった。懸念されていたような在庫不足は顕在化しなかった。また、平均販売価格の低下も貢献して消費者向けの出荷も予想を上回った。

 日本を除くアジア・太平洋地域は、予想をわずかに上回る12%増で二桁台に回復した。インドでは消費者市場が弱かったが、中国など他の中核市場の勢いが上回った。

■ベンダー別のシェア、1位HP、2位デル、3位はレノボに

2011年4-6月期の世界PC出荷トップ5ベンダー(単位:1,000台、出典:IDC Worldwide Quarterly PC Tracker, July 13, 2011)

2011年4-6月期の世界PC出荷トップ5ベンダー(単位:1,000台、出典:IDC Worldwide Quarterly PC Tracker, July 13, 2011)


 ベンダー別では、ヒューレット・パッカード(HP)がシェア18.1%で第1位だった。出荷台数は3%増の1,526万3,000台。主要な新興国や欧州・中東・アフリカ地域で好調だったという。

 第2位はデル(Dell)でシェア12.9%だった。出荷台数は2.8%増の1,092万7,000台。シェア12.1%で第3位のレノボ(Lenovo)は、出荷台数が22.9%増の1,027万6,000台と大幅に増加した。米国や日本で好調だったという。

 エイサー(Acer)はシェア10.9%で第4位。出荷台数は10.1%減の916万台。1-3月期に引き続き前年を下回ったが、1-3月期よりは減少幅が縮小した。第5位はアスース(ASUS)で、シェア5.3%、出荷台数は6.0%増の446万8,000台だった。特に新興市場で中・大型ノートが好調だったという。

■7-9月期の成長率は拡大する見込み
 IDCの世界四半期PCトラッカー、シニア・リサーチ・アナリストのJay Chou氏は今回の結果について、「個人向け、法人向けともに他製品との競合、消費の手控え姿勢によるものだ」「しかし、新製品の登場やプロモーションの効果などから、7-9月期の成長率は拡大するだろう」と述べている。

 また、米国市場のリサーチ・アナリスト、Rajani Singh氏は、「米国のPC市場は、3つの要因によって4-6月期も引き続き縮小した。第一は、ミニノート(ネットブック)と関連製品市場の縮小、第二は前年の10年4-6月期が12%増と成長率が大きかったこと、第三は、法人がクラウドや仮想化などの新しいソリューションにIT予算配分を重点化する傾向にあることと、消費者はメディアタブレットに関心を移していることがある」「11年7-9月期と10-12月期の成長率は一桁台の半ばになると予想している」と述べている。

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