【クラウドコンピューティング特集(6)】国内IT業界大手も事業展開を強化

2011年6月24日 10:27

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

日本のクラウドサービス市場では、米IT業界大手が日本にデータセンターを設置してサービスを提供するなど、事業展開を活発化させている。日本国内のデータセンターからサービスを提供することで、日本の利用者にとっては、海外の法律にとらわれずに社内データを管理し、社内データを海外に流出させない安心感が生まれるとされている。

日本のクラウドサービス市場では、米IT業界大手が日本にデータセンターを設置してサービスを提供するなど、事業展開を活発化させている。日本国内のデータセンターからサービスを提供することで、日本の利用者にとっては、海外の法律にとらわれずに社内データを管理し、社内データを海外に流出させない安心感が生まれるとされている。[写真拡大]

■主要関連企業の動向(国内)

  日本のクラウドサービス市場では、米IT業界大手が日本にデータセンターを設置してサービスを提供するなど、事業展開を活発化させている。日本国内のデータセンターからサービスを提供することで、日本の利用者にとっては、海外の法律にとらわれずに社内データを管理し、社内データを海外に流出させない安心感が生まれるとされている。米アマゾン・ドット・コムは2011年3月、子会社のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が、クラウドサービスの日本での中核拠点となるデータセンターを東京周辺に設置し、日本での顧客開拓を本格化させている。

  また米セールスフォース・ドットコムは、早くから日本での事業展開を強化しており、シナジーマーケティング <3859> やネットイヤーグループ <3622> などに資本参加もしている。さらにトヨタ自動車 <7203> と提携し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の技術を活用して、自動車ユーザー向けに情報発信サービスを共同展開する。

  日本のIT業界大手も、成長市場を狙って事業展開を強化している。日立製作所 <6501> は、米ヴィエムウェアとの提携、データセンターの新増設などで、事業強化の方針を打ち出している。NEC <6701> は2011年2月、ITプラットフォーム事業の強化策を発表した。サーバー、クラウドサービス向けソフトウェア、IP(インターネット・プロトコル)電話システムなどを重点事業領域とし、新製品の投入や海外展開を積極的に進める。

  富士通 <6702> は米マイクロソフトと提携した。国内では自社のデータセンター(群馬県館林市)と、米マイクロソフトのクラウドサービス「ウインドウズ・アジュール」を組み合わせて、2011年8月から共同でクラウドサービスを提供する。さらに海外のデータセンターを増強し、共同でグローバル展開する。

  日本電信電話(NTT) <9432> は南アのIT大手ディメンション・データを買収し、NTTデータ <9613> は情報システムの米キーンを買収した。さらにNTTコミュニケーションズが、マイクロソフト日本法人とクラウドサービス分野で提携し、海外でもデータセンターを増設する。クラウドサービスを軸として、NTTグループでのグローバル戦略を加速する模様だ。

  富士ゼロックスの「ネットプリント」の登録利用者数は、累計100万人を超えたという。2003年から開始したサービスで、インターネットで送信したデータを同社のサーバーに保管し、セブン-イレブン(セブン&アイ・ホールディングス・ <3382> )の店舗に設置された同社のカラー複合機で印刷する。2010年以降は米セールスフォース・ドットコムと協力して機能を拡充し、外出先でも手軽に印刷できるニーズを開拓している。シャープ <6753> もサークルKサンクス <3337> と共同で同様のサービスを開始している。

  会社以外の場所で働くテレワーク向けのクラウドサービスでは、日本ユニシス <8056> の「SASTIK(サスティック)」などがあるだろう。USBメモリー型の専用認証装置をインターネットが使えるパソコンに差し込めば、内蔵プログラムが起動し、社内システムに接続して利用できる。

  クラウドサービスの主要関連企業としては、情報システム関連企業、ネット関連企業、コンテンツ関連企業、通信関連企業などがあり、いずれも今後、クラウドサービス事業を本格化させるだろう。三井情報 <2665> 、セキュアベイル <3042> 、ネットイヤーグループ <3622> 、ITホールディングス <3626> 、1stホールディングス <3644> 、テクマトリックス <3762> 、インターネットイニシアティブ(IIJ) <3774> 、さくらインターネット <3778> 、GMOクラウド <3788> 、ビットアイル <3811> 、ニフティ <3828> 、コムチュア <3844> 、アイル <3854> 、シナジーマーケティング <3859> 、オービック <4684> 、ヤフー <4689> 、オービックビジネスコンサルタント <4733> 、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC) <4739> 、サイボウズ <4776> 、電通国際情報サービス(ISID) <4812> 、日立製作所 <6501> 、NEC <6701> 、富士通 <6702> 、ソニー <6758> 、日本ユニシス <8056> 、NTT <9432> 、GMOインターネット <9449> 、NTTデータ <8613> 、住商情報システム <9719> 、ピー・シー・エー(PCA) <9629> 、CSK <9737> 、TKC <9746> 、富士ソフト <9749> 、ソフトバンク <9984> などがあるだろう。(終り)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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