「第二の創業期」と位置づけるUBICの守本正宏社長に展望を聞く

2010年11月26日 13:54

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

フロッピーディスクの書き換え事件など情報漏えい問題が相次ぎ、電子情報に対する国民の関心も強まっている。「第二の創業期」と位置づけるUBICの守本正宏社長に展望を聞いた。

フロッピーディスクの書き換え事件など情報漏えい問題が相次ぎ、電子情報に対する国民の関心も強まっている。「第二の創業期」と位置づけるUBICの守本正宏社長に展望を聞いた。[写真拡大]

■画期的な電子証拠開示支援ソフト『Lit i View』を開発、本格販売へ

  企業のグローバル展開に伴って国際的訴訟も大きく増えている。以前は手紙、手帳など紙媒体が証拠として扱われていたが、言うまでもなく現在はパソコン時代。UBIC <2158> (東マ)は、パソコン記憶装置の中にある膨大な情報のなかから必要な情報を短時間で掘り起こし証拠として提供する高い技術を誇る。扱いが難しいアジア言語にも対応した電子証拠開示ソフト『Lit i View』(1セット4000万円)を開発、本格販売する。フロッピーディスクの書き換え事件など情報漏えい問題が相次ぎ、電子情報に対する国民の関心も強まっている。「第二の創業期」と位置づける同社の守本正宏社長に展望を聞いた。

――御社の事業内容は、「戦略予防法務支援事業」という難しい内容です。分かりやすく説明をお願いします。

  【守本社長】 ハイテク技術を駆使して企業の成長を阻害する法的リスクを予防し、それでも発生する危機に対して被害を最小限にすることにより、企業の成長を支援するサービスです。当社は、「リーガルハイテクノロジー」と呼ばれるハイテク技術を駆使して、これまでもパソコンなどに残された電子情報を法廷で証拠として提出するサービスを提供しています。以前は、手紙、手帳などの紙媒体が証拠して扱われていました。現在ではパソコンなどでのメールのやり取りが中心です。みなさんは、パソコンから情報を消去すれば安心と思っているでしょう。しかし、ハードディスクと呼ばれる記憶装置にはしっかりと残っています。もちろん、普通はハードディスクの中の削除されたデータを覗くことはできません。当社は、この記憶装置の中にある膨大な情報の中から必要な情報を短時間で掘り起こし証拠として提供できる高い技術を持っています。パソコン1台分の情報を、仮に紙に印刷したとしたらトラック4台分ていどになると思います。当社は、こうした証拠となる電子データの証拠性を保持しつつ解析する技術を持つ日本のリーディングカンパニーです。最近、日本でも、情報漏えいが問題となっています。フロッピーディスク(FD)の書き換えもありました。今後、電子情報開示に対する関心とニーズはいっそう強まるものとみています。これらの技術とこれまでのノウハウを活用し、膨大な電子情報を日頃から管理することで、法的リスクを予防・低減し、企業の成長戦略を支援しています。

■企業の意思決定に活用できる情報を得る、『究極の技術』

――「UBIC」という社名は、どのような意味ですか。

  【守本社長】 Ultimate Business Inteligence Companyの頭文字から採りました。Ulimateは、「究極の」という意味です。「Business Inteligence」とは、企業内の膨大なデータを分析・整理し、有益な情報を抽出することで、企業の意思決定に活用できる情報を得る、究極の技術のことです。

――第二の創業期と位置づけておられますね。

  【守本社長】 そうです。総合リーガルサービスから、「ハイテク戦略予防法務」への進化と、米国進出により世界1を目指すということで第二の創業期を迎えていると位置づけています。当社グループが所属するリーガルビジネスにおいても、リーマンショックなどにより、企業のコスト削減の影響を大きく受けています。リーガルビジネスの進んでいるアメリカにおいて、これまで、外部の専門業者に依頼していた証拠開示作業を、企業自らが対応しようとする傾向が見えるようなっています。デジタルフォレジック業界にも新しい時代が到来しています。当社もこうした変化に対応すべく、これまで培ってきた経験を基に、扱いが難しいアジア言語にも完全対応した電子証拠開示支援ソフトウエア『Lit i view』を開発し、新しい流れへの対応に取り組んでいます。

――Lit i Viewについて、もう少しお願いします。

  【守本社長】 欧米には、「Eディスカバリ」という訴訟に関連した電子メールや図面など、企業内部の電子データの開示を求める「訴訟制度」があります。日本の企業であっても、グローバル経済のなかでは、日本の本社やデータセンターなどにある電子データのすべてが証拠として開示を求められる対象となります。もしも、訴訟に巻き込まれたら、膨大な情報の中から、早急に訴訟に必要な情報をより分ける必要が出てきます。電子証拠開示支援システム『Lit i View』なら、低コストで機密性を保持したまま、国際訴訟に最適化された情報開示を企業自らの手で実現することができます。

――アジア言語に対応しているというお話ですが、具体的には。

  【守本社長】 『Lit i View』は日本語、韓国語、中国語などの多言語を含む電子文書を正確に検索します。アジアのさまざまな地域に拠点を持つグローバル企業の電子証拠を「文字化け」や膨大な誤認識抽出(ごみヒット)なく正確に処理します。その結果、高い品質と効率化、及び大幅な低コスト化が実現できます。

――システムの価格はどのくらいですか。

  【守本社長】 基本的なセットで1システム4000万円です。昨年8月に開発をはじめ、現在、当社が対応している実際の案件のなかでも利用しています。来年からは本格的に販売していきます。対象先はメーカー、商社、金融機関など、グローバル展開している企業はすべてです。

――「証拠閲覧サービス」も注目されているようですね。

  【守本社長】 訴訟となったときの弁護士の証拠閲覧をサポートするものです。証拠を見て最終的に判断するのは人です。訴訟では、この証拠となるデータを見るところに費用がかかります。大体、1人当り1時間で1万円~2万円程度です。案件にもよりますが、1件の訴訟で20~30名が3ヶ月ていどかけて行います。この閲覧作業を国内で日本人が行うことで、高品質で効率のよい証拠閲覧サービスを提供しています。すでに、複数の新規大型案件を受注しています。

――日本人は訴訟が、あまり好きな国民ではないと思うのですが。

  【守本社長】 日本人は、「争いたくない」国民性を持っていると思います。しかし、グローバル化の時代では、好むと好まざるとに関らず訴訟などの争いに巻き込まれます。そのような場合に備え、しっかり対処していかなければグローバル化の時代を生き抜くことは出来ません。

■当社の今後の主力事業

――今後の見通しと、今期の業績をお願いします。

  【守本社長】 取り組みとしては2つの柱を考えています。1つ目は、これまで行ってきた国際訴訟や海外政府当局による調査に対する、実案件対応サービスです。2つ目は、それらの発生を事前に防止するための対策導入サービスです。特に後者は『Lit i View』の導入が核となる事業であり、当社の今後の主力事業となります。今3月期は去る11月11日に公表しているとおり、売上34.4%増の12億7000万円、営業利益は8600万円と黒字転換の見通しです。世界的不況から事業環境は非常に厳しいものでしたが、申し上げましたような目標をもって取り組んできました。早く配当ができるようにがんばります。ご支援よろしくお願いします。

――ありがとうございました。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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