「母屋のおかゆ」より「離れのすき焼き」を優先する高輸出比率銘柄=浅妻昭治

2010年11月8日 15:53

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

過剰流動性相場、バブル相場が再スタートしたというのが、市場のコンセンサスとなりつつあるようである。11月3日のFMOC(米連邦公開市場委員会)で追加金融緩和策が決定された途端に、ニューヨーク・ダウが2年2カ月ぶりに高値をつけ・・・

過剰流動性相場、バブル相場が再スタートしたというのが、市場のコンセンサスとなりつつあるようである。11月3日のFMOC(米連邦公開市場委員会)で追加金融緩和策が決定された途端に、ニューヨーク・ダウが2年2カ月ぶりに高値をつけ・・・[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  過剰流動性相場、バブル相場が再スタートしたというのが、市場のコンセンサスとなりつつあるようである。11月3日のFMOC(米連邦公開市場委員会)で追加金融緩和策が決定された途端に、ニューヨーク・ダウが2年2カ月ぶりに高値をつけ、米証券大手リーマン・ブラザーズが経営破たんした2008年9月15日以前の株価水準を回復してしまったからだ。追加緩和策で市場にさらにジャブジャブと資金が供給されるばかりか、バーナンキFRB((米連邦準備理事会)議長自身が、「株価上昇は消費者の富を押し上げる」と株式や商品先物などのリスク資産の上昇を容認する新聞寄稿までしたからなおさらである。

  「バブル崩壊」を「バブル再生」でリカバリーしようとする政策判断かとも推察される。リーマン・ショック後の金融危機については当時、グリーンスパン前FRB議長が、「100年に一度の津波」と警鐘を鳴らした。この危機感から生半可な政策対応では、デフレ経済からの脱出が難しい、「ドル安」が「ドル暴落」の引き金となっても構わないとハラをくくったようにもみえる。

  この市場コンセンサスが正しいとすれば、今後の投資スタイルも極く単純化されるはずだ。バブル再生に乗るか乗らないか、買うか買わないかだけのニ者択一である。相場の方向性が分かりやすくなったときほど、市場のリスクは高まり、「売ってヤラれ、買ってヤラれ」の逆の目が出勝ちとなるアノマリーはあるものの、この際は、目をつぶる以外ないかもしれない。

  とくにわが東京市場の投資家には、「母屋でおかゆをすすっているのに、離れではすき焼きを食っている」との羨望感を持ち続けてきた向きが少なくないはずだから、なおのことだろう。「母屋でおかゆ」、「離れではすき焼き」とは、国の一般会計と特別会計との間の予算執行の違いを皮肉った比喩だ。一般会計(母屋)は、「金欠」、「削減」なのに、特別会計は、「金満」、「バラまき」が治まらない。それと同様に株式相場も、東京市場はいまだにデフレ景気の底に沈んでいるのに、米国市場は高株価に沸いてきた。「離れ」から流れ漂ってきたすき焼きの匂いは、「母屋」でおかゆをすすってきた投資家の飢餓感、空腹感を一層高めてきた。

  さてこの形成されつつある市場コンセンサスに従うとしたら、投資先としてどのセクターのどの方向に舵を切ればいいのか?取り敢えずは「母屋」でビジネス展開をしている銘柄よりも、「離れ」への輸出比率の高い銘柄が浮上することになる。輸出比率が100%に達している三井海洋開発 <6269> から順に共栄タンカー <9130> 、島精機製作所 <6222> 、富士機械製造 <6134> 、第一中央汽船 <9132> 、フォスター電機 <6794> 、ヤマハ発動機 <7272> 、商船三井 <9104> 、ペガサスミシン製造 <6262> 、マブチモーター <6592> などを当面の為替動向に目をつぶって逆張りしてみることも一法になる可能性がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社 Media-IR)

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