東京は3位を維持、トップ独走のロンドンを追うニューヨークがスコア上昇
配信日時: 2018-10-22 15:12:00
世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index)2018 東京五輪を控え、文化・交流分野のさらなる改善が急務
(東京)- (ビジネスワイヤ) -- 一般財団法人森記念財団 都市戦略研究所(所長:竹中平蔵)が2008年より調査・発表している、「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index, GPCI)」の2018年版の結果がまとまりました。GPCIは、世界の主要44都市を対象に、都市の力を総合的に評価した日本初のランキングです。今年の結果を通じて、ますます激化する国際的な都市間競争のなかで日本全体の持続的成長を支える首都・東京の強みと弱みが明らかになりましたので、ご報告いたします。
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独走するロンドン、猛追するニューヨーク、伸び悩む東京、復調のパリ
総合ランキングは、昨年と変わらず1位ロンドン、2位ニューヨーク、3位東京、4位パリとなった。ロンドンはスコアをさらに伸ばしトップを独走しているが、ニューヨークが大幅なスコアの伸びを見せロンドンに迫っている。一方、東京は3位を維持したが、4位パリがスコアを伸ばし、東京との差が縮まる結果となった。
【ロンドン】2012年のオリンピック前後の勢いを落とすことなくトップを独走。「世界的な文化イベント件数」や「留学生数」等が引き続き1位を維持するなど、文化・交流分野で圧倒的な強さをみせた。さらに、経済分野の「ワークプレイス充実度」のスコアが高く、弱みであった居住分野でも「住宅賃料水準の低さ」や「小売店舗の充実度」において改善をみせた。一方で、2019月3月に予定されている英国のEU離脱がロンドンにもたらす影響は未知数である。
【ニューヨーク】経済分野の「ワークプレイス充実度」や研究・開発分野の「スタートアップ環境」で高評価を獲得し、調査開始以来、最大のスコアの伸びを見せた。「法人税率の低さ」が改善された影響もあり、経済分野では今年も1位を維持している。ただし、激しさを増す米中間の貿易摩擦は、米国経済の成長速度を弱める要因にもなりかねない。
【東京】2020年の東京五輪を目前に控え、文化・交流分野のスコア改善が求められているなか、トップ2都市との差を大きく縮めることはできなかった。2020年に向け、引き続き文化・交流分野でのスコア上昇が東京のランクアップへのカギを握る。そのほかの特徴としては、「総労働時間の短さ」での改善が評価され、居住分野でトップ10入りを果たした一方で、「環境への取り組み」の評価が相対的に低いことから環境分野ではランクを落とした。
【パリ】2015年の同時多発テロ以来4位となっているが、今年は「外国人訪問者数」が復調の兆しを見せ、文化・交流分野のスコアを伸ばした。2024年パリ五輪の決定によって、今後は東京とパリが五輪開催前後の都市力の伸びを競い合う形となるだろう。
世界一の都市を目指す東京の課題
トップ2都市との比較
ロンドン、ニューヨークのトップ2都市と比較すると、東京は、文化・交流分野で大きく差が開いており、改善が急務である。文化・交流分野の「食事の魅力」や「買い物の魅力」でスコアが高い一方で、「歴史・伝統への接触機会」「外国人居住者数」「ハイクラスホテル客室数」などの指標で大きく引き離されている。
また、交通・アクセス分野では「公共交通の充実・正確さ」や「通勤・通学の利便性」、「渋滞の少なさ」といった都市内交通に関する指標の評価が高い反面、海外からのアクセスの重要な要素である「国際線直行便就航都市数」は東京の大きな弱みとなっている。
東京の分野別ランキングの結果
居住分野では「総労働時間」の改善などにより5ランク上昇。経済分野では「GDP成長率」の上昇、研究・開発分野では「研究者の受入態勢」の高評価、交通・アクセス分野は「国内・国際線旅客数」の着実な伸びなどにより、それぞれ1ランクずつ順位を上げた。一方、環境分野は「環境への取り組み」の評価が相対的に低く、順位を下げる結果となった。
東京が世界一位になるために
東京が、2020年の五輪開催以降もロンドンのようにスコアを伸ばし続けていくためには、GPCIから見えてきた強み・弱みを踏まえた上で、総合力をバランス良く伸ばすための中長期的な取組みが必要である。具体的な取り組みの方向性を以下に掲げる。
― 経済: 経済成長施策(規制緩和・法人税率の見直し) 第4次産業革命への対応(IoT・AI・ビッグデータの活用) ― 研究・開発: 大学の国際競争力強化 スタートアップ環境整備・起業支援 ― 文化・交流: 観光立国(インバウンドの促進) オリンピック・レガシーの活用(ハード・ソフト) ― 居住: 女性・高齢者の活躍できる社会 ― 環境: 環境先進都市としての政策の実現 環境におけるグローバル・リーダーシップ ― 交通・アクセス:
国際交通ネットワーク強化(直行便就航都市数増加) 世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index, GPCI)とは
GPCIは、国際的な都市間競争において、人や企業を惹きつける“磁力”は、その都市が有する総合的な力によって生み出されるという考えに基づき、世界の主要44都市を評価し、順位付けしたランキングです。森記念財団都市戦略研究所は、2008年に初めてGPCIを発表して以来、都市を取り巻く状況の変化に対応するため、毎年新たな調査をもとに、ランキングを更新してきました。現在では、代表的な都市指標のひとつとして高い評価を得ており、さまざまな国や都市で政策・ビジネス戦略の参考資料として用いられています。この調査結果により、世界の諸都市が持つ魅力や課題を再認識いただき、都市政策や企業戦略の立案に役立てていただきたいと考えております。
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