将来宇宙輸送システム株式会社、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 白坂研究室と共同研究を開始

プレスリリース発表元企業:将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)

配信日時: 2026-03-02 15:00:00



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将来宇宙輸送システム株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:畑田康二郎、以下ISC)は、「毎日、人や貨物が届けられる世界。そんな当たり前を宇宙でも。」をビジョンに掲げ、宇宙往還を可能とする輸送システムの実現を目指すスタートアップ企業です。

このたび、ISCは宇宙戦略基金事業(第二期)「有人宇宙輸送システムにおける安全確保の基盤技術」の実施機関に選定されたことを踏まえ、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 白坂 成功研究室(所在地:神奈川県横浜市、以下 慶應SDM)と、共同研究を開始いたします。また、異常予兆検知に関する知見を有する有人宇宙システム株式会社(本社:東京都千代田区以下JAMSS)に対して、一部研究を委託予定です。

参考リリース:
将来宇宙輸送システム株式会社、宇宙戦略基金事業「有人宇宙輸送システムにおける安全確保の基盤技術」に採択(2026年2月)
https://innovative-space-carrier.co.jp/news/2026/02/26

慶應SDMと共同研究、JAMSSへ一部研究を委託予定
ISCでは、2040年代に単段式の宇宙往還機「ASCA 3」による宇宙輸送システムの確立に向け、ASCA 1シリーズによる2028年頃の小型衛星打ち上げの事業化・事業継続ならびに、ASCA 2シリーズによる2030年頃の有人安全技術の実証を目指しています。

こうした開発の中で、ロケットそのものの安全性を従来の無人の輸送システムから有人の輸送システムに向けて大きく向上させる必要があるとともに、万が一の場合に備えたロケット搭載用安全システムとして異常検知機能および緊急離脱機能が求められます。

そこで、システムの安全性に対する知見を有する慶應SDMと共同研究を進めてまいります。
また、異常予兆検知に関する知見を有するJAMSSへ一部作業を委託し、共同研究を行うことを予定しています。

安全な有人宇宙輸送システムを構築するための開発手法およびそれを可能にするプラットフォーム整備
2040年代に拡大する有人宇宙輸送市場で日本が国際競争力を持つためには、高い安全性と効率的な開発が不可欠です。

そこでISCでは、複雑なシステムの中でも「安全性」「信頼性」「継続運用性」を確保するための設計・検証手法(いわゆる、ディペンダビリティやアシュアランス)に深い知見を持つ慶應 SDMと有人宇宙輸送システムの開発手法について共同研究することでより高い安全性を実現するシステム開発能力を獲得するとともに、航空機開発の安全基準に準拠しつつAIやアジャイル開発を取り入れた新しい開発手法の構築を目指しています。

またこれらの開発全体をデジタル上でモデル化し、トレーサビリティを確保するとともに解析を含む作業を自動化させることで属人化を減らし、効率化を図ります。ただし、レビューの効率化やAI適用の検証など解決すべき技術課題も存在します。初期段階では従来型の手作業を行いながら、ツール整備の進展に応じて段階的に移行し、宇宙・航空・自動車開発やAIの専門家と連携して開発基盤を整備していきます。

共同研究機関 : 将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)と慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科(SDM) 白坂 成功研究室(白坂研)
研究テーマ  : 安全なシステムを構築するための開発手法およびそれを可能にするプラットフォーム整備
主な研究内容 : 1.安全が重視されるシステム開発のVモデルにおけるアジャイル開発適用
         2.有人安全システム開発手法におけるDEOSアーキテクチャ*1の組込
         3.プラットフォームによるシステム開発の体制及び運用
         4.成果まとめ

*1:DEOSアーキテクチャとは
「DEOS(Dependability Engineering for Open Systems)」とは、環境や要求が変化し続ける中でも、システムが信頼できる状態を保つための知識・技術体系です。DEOSは、変更や進化を前提としたシステムにおけるアシュアランス、説明責任を果たす為のDEOSプロセスと、そのプロセス実施を支援するためのDEOSアーキテクチャを含みます。宇宙輸送機のように長期にわたり運用され、アップデートを繰り返すシステムの安全性と信頼性の確保に有効と考えられます。

破局的事象に至る状況を早期にかつ正確に検知する技術の確立
構築する安全システム開発手法により不具合リスクを低減しても、物理的現象や外部要因による破局的事象は完全には防げません。ISCは、国際宇宙ステーションの運用においてテレメトリデータによる異常発生状況判断の知見を有するJAMSSとともに、有人宇宙輸送システムにおける異常検知技術の獲得を目指します。

異常発生後にいかに早く離脱できるかよりも、いかに早く「異常の予兆」を検知するかを重視し、複数センサのデータパターンをAIで学習させることで、異常を早期・正確に判断する技術の開発を目指します。これにより離脱時間の確保あるいは離脱に至る状況を事前に回避することが可能となるとともに、学習パターンにより誤検知センサの特定の実現を目指します。さらにAIのブラックボックス性を補うため、AIの予測とフォーマルメソッド*2を組み合わせて検証可能な仕組みを導入します。まずは燃焼試験設備及びシミュレータを用いてエンジン燃焼に対する予兆検知を実証していきます。

*2:フォーマルメソッドとは
「フォーマルメソッド(Formal Method)」とは、数理的な論理やモデル検証を用いて、システムの安全性や正しさを証明する手法です。AIが「なぜその判断をしたのか」を説明しにくいという課題に対し、フォーマルメソッドを組み合わせることで、AIの出した判断結果を数学的に検証し、信頼性を担保することができます。

研究機関  : 将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)
委託予定先 : 有人宇宙システム株式会社(JAMSS)
研究テーマ : 破局的事象に至る状況を早期にかつ正確に検知する技術の開発及び実証
主な研究内容: 1.異常予兆検知の実証対象の選定及び目的変数、独立変数の設定
        2.ランダムフォレストを用いた状態予測AI*3による燃焼状態の学習
        3.フォーマルメソッドを用いた学習データによる異常判定
        4.成果まとめ

*3:ランダムフォレストを用いた状態予測AIとは
「ランダムフォレスト(Random Forest)」とは、複数の決定木(Decision Tree)を組み合わせて高精度な予測を行う機械学習(AI)アルゴリズムです。多様なセンサーから得られるデータを同時に学習・解析し、異常やその兆候を高い精度で検知することが可能です。ISCではこの技術を活用し、ロケットエンジン燃焼の状態変化をリアルタイムで予測するAIアルゴリズムを構築します。

■将来宇宙輸送システム株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 畑田康二郎
当社は創業以来、再使用型ロケットシステム実現による宇宙輸送の高頻度化や有人宇宙輸送への発展を目指して研究開発に取り組んできました。特に有人宇宙輸送を実現するためには、高い安全性・信頼性は当然の前提として、安心して利用することができるかが重要となります。
慶應SDMの白坂先生とのディスカッションの中で、環境や目的が変化し続ける中で正常な状態を維持するための検討と説明のための技術体系であるDEOSアーキテクチャは、当社が目指すアジャイルな宇宙輸送システムと非常に相性が良いことが明らかになりました。
また、AIによる予兆検知技術などの新技術も、判断ロジックがブラックボックスであるAIの活用はエンドユーザーの理解と安心を得ることが難しいという評価が一般的ですが、JAMSSの野本博士が特許取得した数学的手法により設計の安全性を検証するフォーマルメソッドという手法は、まさにAIを安全かつ安心して取り扱う上で重要な技術であると確信しました。
今後、この3社での共同研究により、誰もが身近に宇宙を感じることが出来る宇宙輸送の実現に取り組んでまいります。

■慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 白坂 成功教授
本共同研究は、有人宇宙輸送に求められる「安全性」と、「アジャイル開発」や「AI技術」という一見相反する要素を両立させる、新たなシステム開発アプローチの確立を目的としています。
とりわけ、環境や要求が絶えず変化する中でもシステムの総合信頼性を維持できる「DEOS(Dependability Engineering for Operating Systems)」の思想を宇宙輸送の分野に適用し、AIやアジャイル開発の利点を最大限に活かしながら、持続的に進化できる安全システムの構築手法を探求していきます。
慶應SDMでは、ISCおよびJAMSSの皆様とともに、人類が安心して宇宙を往来できる時代の実現に向けて、新たな安全システム開発アプローチの確立に挑戦してまいります。

■有人宇宙システム株式会社 先端技術研究センター 野本 秀樹博士
有人ロケットと無人ロケットの最大の違いの一つは、異常発生時に乗組員が脱出するための時間を稼ぐ必要性の有無です。軌道制御・姿勢制御の結果として現れる位置・速度・姿勢の「結果」によって異常を判定するのでは、その時間を稼ぐことができません。必要なのは、それらが近い将来に異常な値を示す可能性があるという「予兆」を鋭く検知することです。そこでは膨大な数のセンサ値の「トレンド」を総合的に判定し、異常が発生するかもしれないことを見抜く高度な予測技術が必要となります。そのためには、人工知能を使うことが最も有効な手段の一つでありますが、人命を左右する判断であるため、ロジックがブラックボックスのままであってはならないと我々は考えています。

この問題を解決する手段として、弊社が国際宇宙ステーションの運用において獲得した特許技術(ReliableAI: https://www.jamss.co.jp/consulting/safety/ai/)を用いて、人工知能の判断根拠を明らかにした上で、安全化処置を実行できるシステムを構築することが重要と考えております。



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