◆福井工業大学◆正解のない時代に「問いを立てる力」をどう育てるか ― 経営情報学部で始まったデータ×AI×PBLで再設計する経営情報教育 ―

プレスリリース発表元企業:福井工業大学

配信日時: 2026-01-21 17:20:05







「正解を覚える教育」は、AI時代に通用するのか
 現代社会は、少子高齢化の進行、グローバル化の深化、価値観の多様化、そして情報通信技術の急速な発展など、複数の構造変化が同時に進行する時代にあります。
 こうした環境下では、かつて有効だった成功モデルや意思決定の前提が、そのままでは機能しなくなりつつあると考えます。実際、経験則や過去の延長線上にある「正解」を適用するだけでは、複雑化する社会課題や市場の変化に十分に対応できない場面が増えています。経営学の諸理論もまた、例外ではありません。
 このような状況の中で、生成AIの急速な普及は、「正しい答えを速く出す力」そのものの価値を根本から問い直していると言えます。いま求められているのは、与えられた問いに正確に答える力ではなく、変化し続ける社会の中で「何を問いとして立て直すべきか」を考え続ける力ではないでしょうか。




地域産業界が抱く「高等教育への危機感」

 また、地域の産業界からは近年、高等教育に対して


基礎学力の低下

挑戦心・向上心の希薄化

コミュニケーション能力の低下

教養と実学の乖離



といった現実的な危機感が寄せられるようになっています。これらの教育上の課題を、産業界における実務的な課題として捉え直すと、


課題を自ら定義できない

データを見ても意味を読み取れない

他者の立場を想像した議論ができない



といった競争優位を維持するための人材育成上の課題につながるものだと言えます。

データ分析=他者理解という教育発想

 このような問題意識を背景に、福井工業大学 経営情報学部 経営情報学科では、2025年度よりPBL型の新プログラム「経営情報実践学演習基礎(マーケティング)」を開講しました。
 本プログラムは、マーケティング・サイエンス(データサイエンス)を「正解を出す技術」ではなく「他者を想像するための思考技術」として再定義することを特徴としています。 
 本演習で学生が扱うのは、福井県観光連盟が公開している観光データ分析システム「FTAS(エフタス)」に蓄積された地域の観光マーケティング・データです。そこには86,000件を超える福井県の観光客の属性データ・行動データ・意識データが含まれています。しかし、分析の目的は数値の説明ではありません。


なぜ、この数字が生まれたのか

その背後に、どんな人の行動や感情があるのか

この地域を訪れた「誰か」は、何を感じたのか



 学生はこうした問いを立てながら、


Excelを用いた探索的分析

仮説の構築と再設計

フィールドワークによる現場観察

生成AIとの対話を通じた視点の拡張



を循環的に行っていきます。
 そこでは分析技術や分析結果の正しさよりも、問いの質・議論の深さ・他者理解の表現力が重視される点が、一般的なデータサイエンス教育との大きな違いです。

15回の演習で「問いを育てる」設計

 全15回の演習は、以下のような構造で設計されています。


第1〜4講:マーケティング概論と「問いの立て方」(仮説構築・指標選定)

第5〜9講:探索的データ分析(Excelによる傾向把握・視覚化・比較(検定)・相関・回帰)

第10講:中間レビューと仮説の再設計

第11講:街に出て観察する(解釈構成主義的アプローチ)

第12講:AIと向き合う(AIの可能性と限界を理解する)

第13〜14講:分析統合・提案構築・ロジカル・シンキング・ロジカルライティング・プレゼンテーション

第15講:最終プレゼンテーション(成果発表会)



 分析→議論→再設計→現場観察→再分析という循環を何度も回すことで、学生はデータと向き合いながらも「一度立てた仮説を疑い続ける」経験を積んでいきます。

1月24日(土)成果発表会を実施 ― 学生が“他者を想像した結果としての戦略提案”を発表 ―

 最終回となる第15講では、成果発表会(最終プレゼンテーション)を実施します。学生は、FTASデータと現場観察をもとに、


観光客の視点に立った課題設定

データに基づく仮説

地域に向けたマーケティング戦略提案



をプレゼンテーション形式で発表します。
 当日は、FTASを運用する福井県観光連盟の関係者をはじめ、県内の行政機関や産業界からのゲストを迎えた講評・ディスカッションも予定しており、大学教育と地域・企業をつなぐ実践の場となります。

担当教員コメント

福井工業大学 経営情報学部 経営情報学科 / 大学院 工学研究科 / AI&IoTセンター

准教授 麻里 久

 大学で身につけてほしいのは「正しい答え」ではありません。この演習では、学生にまず「唯一の絶対的な正解など存在しない」というこの社会の現実からスタートしてもらいます。データ分析は、他者を理解しようとするための一つの窓です。そしてAI時代だからこそ、人とAIが協働しながら問いを立て続ける力、自分ではない「他者」を想像する力を育てたいと考えています。

教育関係者・企業人事の方へ

 本取り組みは、


PBL型教育

データ・サイエンス×AI教育

地域連携型人材育成

「問いを立てる力」の育成



に関心を持つ教育関係者・企業人事・自治体関係者にとって、一つのモデルケースとなることを目指しています。この取り組みを通じて、地域と大学が共に学び合う新たな“知の循環モデル”として、学内外に波及していきたいと考えています。

▼本件に関する問い合わせ先
総務部広報課
TEL:0776-29-2819
メール:g-koho@fukui-ut.ac.jp

【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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