SAS最新調査で明らかになった、保険業界における生成AIに関する3つのポイント
配信日時: 2024-11-29 11:02:02
約250人の保険業界の意思決定者が生成AIに関する戦略、
センチメント、イノベーションについて回答
データとAIのリーディング・カンパニーである米国SAS Institute Inc.(以下SAS)は、保険業界における生成AIの活用状況に関する最新の調査結果を発表しました。調査結果によると、9割の保険会社が、来年度に生成AIへの投資を予定していることが明らかになりました。保険会社における生成AIに対する投資傾向が見えてくるものの、アナリティクスを駆使することで保険業界が最大の課題に対処できると期待されているにもかかわらず、イノベーションの倫理面や規制面での影響が依然として多くの保険会社を悩ませていることも浮き彫りになっています。
「Your journey to a GenAI future: An insurer’s strategic path to success(生成AIの未来:保険会社の成功への戦略)」と題する今回の調査は、SASとColeman Parks Research社によって行われました。保険業界の意思決定者236人を対象とした調査結果は、世界各国の保険会社がどのように生成AIを導入し、予算編成し、戦略を立てているかを明らかにしています。さらに、SASの生成AI調査データダッシュボード( https://www.sas.com/en/offers/gen-ai-global-survey-results-press.html
)を通じて、保険業界と銀行、ヘルスケア、ライフサイエンス、行政機関など、他業種との比較も可能です。
SASのグローバル保険部門 主任アドバイザーであるフランクリン・マンチェスター(Franklin Manchester)は、次のように述べています。「保険業界は一般的に変化のスピードが遅いとされていますが、生成AIにおいてはむしろ先駆的な役割を果たしており、投資と期待の高さが際立っています。これは一時的なAIブームではなく持続的な成長の兆しですが、一方で他業界と同様、保険業界も多くの課題に直面しています」
1. 保険会社は予算と戦略を重視して生成AI導入に積極的
保険業界では回答者の89%が2025年に生成AIへの投資を予定しており、そのうち92%が専用の予算を計上しています。
投資の主な目的は、以下の3つです:
顧客満足度や顧客維持率の向上(81%、あらゆる業界の中で最も高い割合)
営業費の削減や作業時間の短縮(76%)
リスク管理やコンプライアンス対策の強化(72%)
68%の保険業界関係者は、すでに週1回以上業務において何らかの形で生成AIを使用しており、5人に1人(22%)は毎日使用していると回答しています。また、回答者の11%が、従事する企業で生成AIを完全導入済みで、49%がすでに導入を進めていると回答しています。
アクセンチュアの英国、アイルランドおよびアフリカ地域データ・AI保険リードのジョー・ロウ(Joe Rowe)氏は、次のように述べています。「生成AIは万能薬ではありませんが、非構造化データの取り込みなど、これまで極めて困難とされてきた分野など、保険会社のパズルでより多くのピースを埋めることができると認識しています。典型的な例が保険金請求や保険引受業務であり、生成AIが人間による洞察の抽出を支援し、より良い意思決定のために大いに役立つと考えます」
2. 保険業界は他のどの業界よりも生成AIの倫理に対する懸念を表明
保険業界の意思決定者は生成AIの倫理について、他業界の意思決定者に比べ、やや強い懸念を示しています。保険業界の回答者の59%が、生成AIの倫理について懸念を示しており、他業界の平均52%を上回っています。
保険会社は倫理についてより深い懸念を示しているものの、倫理フレームワークの作成、導入および維持など、ガバナンスやモニタリングへの取り組みは未だ策定段階に留まっています。
回答者のわずか5%が自組織の生成AIに関する倫理フレームワークが「包括的にしっかりと確立されている」と回答
57%が「構築中」と回答
27%が「場当たり的または形式化されていない」と回答
11%が倫理フレームワークは「存在していない」と回答
この点について、アクセンチュアのロウ氏は次のように述べています。「生成AIの利用は非常に急速に進んでいますが、責任ある開発を進めていくためには、保険会社は人、プロセス、テクノロジーの整合性を図った上で、すべてが一体となって機能し、試用段階から運用、本番環境へと進めていかなければなりません。適切なガバナンスのためには集中と投資が求められます」
他の業界と同様、保険業界の専門家は自組織における最大の懸念事項として、データプライバシー(75%)とデータセキュリティ(73%)の問題を挙げています。犯罪のプロがより大規模な詐欺やマネーロンダリング、テロ資金供与などの金融犯罪に生成AIを利用したり、不正を働く一般市民が増加したりしていることを考えれば、これは当然と言えます。詐欺行為の攻守でのイタチごっこにおいて、生成AIは悪質な行為者に対抗していくためには不可欠な要素かもしれません。
3. データ不足への答えを模索する保険会社
AI倫理に関する懸念を補完するのが規制コンプライアンスに対する懸念です。自組織が生成AIに関する現行および将来的な規制に準拠する体制が整っていると答えたのは、10人に1人(11%)にとどまり、保険各社では倫理的に導入された生成AIの事例に注目が集まっています。
例えば、大規模言語モデル(LLM)では膨大な量のデータが要求され、既存システムでは対応できないためにエッジケースを適切に処理できない可能性があります。保険業界ではバイアスを排除し、データ品質を確認した大規模データセットが著しく不足しており、まさに「データ枯渇」と言える状況です。
なぜこれが重要なのかー生成AIを始めとするAIモデルの学習に使われるデータの量と質次第で、保険金の請求や保険契約を決定する際、モデルから得られる結果の正確性や公平性、公正性が左右される可能性があるからです。
さらに、保険会社は受託者として、膨大な量の個人識別情報を保管しています。データプライバシーに対する不安が高まるにつれて、合成データ( https://www.sas.com/en_us/insights/articles/analytics/harnessing-synthetic-data-to-fuel-ai-breakthroughs.html
)が解決策を提供できるかもしれないと考えられるようになっています。これは、現実世界のデータを実際に模倣した人工データで、顧客のプライバシーを損なうことなく既存のデータセットを充実させるために用いられています。
調査では保険業界の4分の1以上(27%)が合成データを使用していると回答しており、3分の1近く(30%)が「利用を積極的に検討」、22%が「検討する可能性がある」と回答しています。
この結果について、SASのマンチェスターは次のように述べています。「保険業界の意思決定者の多くが、保険会社のビジネスの在り方を変革する可能性のある生成AIプロジェクトに積極的に取り組んでいます。保険業界には革新的な発想が十分に息づいており、責任あるイノベーション( https://www.sas.com/ja_jp/company-information/innovation/responsible-innovation.html
)の原則を受け入れる際に、私たちはそうした発想を育てていかなければなりません。顧客と使用するデータの完全性を保護するポリシーとプロセスを確立し、維持していくことが求められます。次のステップは明確です。保険会社は、倫理フレームワークとデータの厳密性を真の指針として採用し、生成AIの変革の可能性とその価値を最大化する必要があります」
保険業界で生成AIを駆使
保険会社がリスクと報酬を見極めて生成AIへの取り組みを進めていくためには、最新データの把握が不可欠です。保険会社はどのように生成AIを効果的かつ倫理的に導入できるでしょうか?Coleman ParksとSASが Microsoft、アクセンチュア、FRGのエキスパートと共に行ったこの独自調査の詳細は、Unleash the Power of Generative AI in Insurance(保険業界で生成AIの力を開放する)( https://www.sas.com/sas/webinars/global-insurance-circle/unleash-the-power-of-generative-ai-in-insurance-us.html
)で参照ください。
*2024年10月15日に米国SAS Institute Inc.より発表されたプレスリリース( https://www.sas.com/en_us/news/press-releases/2024/october/generative-ai-in-insurance-research-study.html
)の抄訳です。本プレスリリースの正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語を優先します。
SASについて
SASはデータとAIのリーディング・カンパニーです。SASの革新的なソフトウェアと業界特化型のソリューションが、世界中のお客様にデータを信頼できる意思決定に変換するパワーを届けています。SASは「The Power to Know®(知る力)」をお届けします。
*SASとその他の製品は米国とその他の国における米国SAS Institute Inc.の商標または登録商標です。その他の会社名ならびに製品名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
SAS Institute Japan株式会社
広報担当:jpnpress@sas.com
SAS PR事務局(PRAP Japan)
sas_pr@prap.co.jp
プレスリリース情報提供元:Digital PR Platform
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