「アロエは医者いらず」を視覚的に実証、世界初*キダチアロエの薬効成分をイメージング質量分析で可視化
配信日時: 2024-09-02 13:00:00
~新技術によりアロエ成分の分布と濃度が明らかに ― 健康科学および医療分野への応用が期待~
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148565/1/148565-1-4bfa96e5814fd7ea48eb7982829ce942-1800x1200.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
東京アロエ(本社:東京都練馬区)は本日、日本の特産種である「キダチアロエ」に含まれる薬効成分をイメージング質量分析(Imaging Mass Spectrometry)技術を用いて、世界で初めて*可視化に成功したことを発表します。この革新的な試みは、福島大学 食品機能学II研究室の平 修(たいら しゅう)教授の下で行われ、キダチアロエが持つ健康効果を科学的に解明する一助になります。(*イメージング質量分析に関する論文の範囲)
アロエ成分の視覚化を試みたきっかけ
自社農園で有機アロエを栽培し、それらを健康食品や化粧品として販売している東京アロエは、昔から「アロエは医者いらず」「万病の薬」といった” おばあちゃんの知恵”として評されている事象を科学的に明らかにする方法を模索していました。
一方、2021年福島大学では、全国の大学で初めて「高速質量分析イメージ取得システム」を導入しました。このシステムは、食品の成分を超高精度で視覚的に表示することが可能で、食品の栄養成分の位置や量を明確に示すことができます。これにより、植物や栄養的特徴を把握しやすくなり、他の食品との比較分析も容易に行えます。
福島大学の「高速質量分析イメージ取得システム」の有効性を知った東京アロエは、キダチアロエの薬効成分を視覚化する世界初の実験を試みました。
これまでに発表されている主なキダチアロエの薬効成分の実証実験
キダチアロエに含まれる薬効成分(アロエエモジン、アロエニン、アロイン)については、これまでに多くの実証実験が行われています。主な例をご紹介します。
マウス大腸炎および発がんモデルに対する低用量アロエエモジンの修飾作用
研究代表者:藤田保健衛生大学 藤田記念七栗研究所生化学研究部門 教授 新保 寛
研究概要:アロエエモジン(AE)は抗がん活性や抗炎症効果を有することが報告されている。我々はApcMin/+マウスの大腸腫瘍発症のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)処置の有無に対する低用量AEの修飾作用を調べた。その結果、低用量AEの混餌投与は、DSS未処置・処置の双方でMinマウスの大腸腫瘍の発生を低下させた。さらに、低用量AE投与はMinマウスの大腸粘膜の細胞増殖能を抑制した。
主作用以外に血糖降下作用をもつ健康食品と血糖降下薬の併用摂取による相互作用の研究
研究代表者:京都女子大学 家政学部 教授 川添 禎浩
研究概要:キダチアロエは緩下作用を目的としたアロエ健康食品に用いられ、アロエは血糖値に影響を与えるという報告がある。そこで、マウスにおいて、キダチアロエと血糖降下薬トルブタミド(TB)の相互作用を検討した。20%キダチアロエエパウダーはTB と併用すると血糖値をより低下させるが、TBの血糖降下作用を抑制し、血中TB濃度も減少させことから、TBの吸収を減少させると示唆された。キダチアロエとTBの併用による血糖値の低下には成分バルバロイン(BA)*が関与していることが考えられた。しかし、アロエ健康食品の一日摂取目安量に含まれるBA量は、マウスのBA摂取量よりもかなり少量であった。
*アロイン
炎症を背景としたマウス大腸発がんモデルに対するキダチアロエ低分子成分の修飾作用
研究代表者:藤田保健衛生大学 藤田記念七栗研究所生化学研究部門 教授 新保 寛
研究概要:キダチアロエ抽出物(アロエ)やその主薬成分であるアロインは、抗炎症作用や抗腫瘍効果を有することが報告されている。
我々はApc遺伝子欠損Minマウスにおけるアロエとアロインのがん予防効果を検討した。最初に、Minマウスに基礎食と低用量アロエ含有食を与えると、アロエは腸管腫瘍数を有意に低下させた。次に、高脂肪食摂取条件下で低用量アロエやアロインの影響を調べた結果、アロインは腸管腫瘍数を有意に減少させ、血漿アディポネクチンを上昇させた。
これらの結果は、低用量アロインは高脂肪食摂取Minマウスの腸管腫瘍発症に対して予防効果を有し、血中アディポネクチン上昇と部分的に関連することを示唆する。
Nano-PALDIイメージング質量分析の結果
「キダチアロエのイメージング質量分析計測」
本研究では、特にアロエの主要成分であるアロエエモジンやアロエニン、アロイン(バルバロイン)などが、植物体内でどのように分布しているかを詳細に分析。これまでの研究で得られた成分の存在情報を超え、その局所的な濃度までを精密に映し出しました。この成果は、アロエ成分の抽出や製品化の過程での品質管理、効率化に大きく寄与することが期待されます。
実施期間:2024年1月~4月
実験方法:高速質量分析イメージ取得システムを使用したキダチアロエ成分の視覚化
【計測結果】
キダチアロエに含まれる、アロエエモジン、アロエニン、アロインを標的にイメージング質量分析(IMS)を用いて局在解析の計測結果は下記のとおり。
MSMS:各標準品、抽出液で構造を確認
アロエエモジン(MW 270.2)
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148565/1/148565-1-7ed6e3eb4723798f1d1dbf5d9afbd802-2200x1100.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
アロエニン(MW 410.3)
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148565/1/148565-1-62a39c083e1ee485cf677b9dc6bbd55c-2200x1100.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
アロイン(MW 418.0)
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148565/1/148565-1-d1c31ef6465b8a6bfe5234ef20baaee5-2200x1100.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
イメージング質量分析(IMS)による局在解析
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148565/1/148565-1-3ffc8742fbee6e60ff8a61a76fa5be1f-1301x703.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148565/1/148565-1-262597bfde1d5b93a0533afe4b70ed64-916x868.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
アロエエモジンm/z 271.1
[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148565/1/148565-1-2adf08bdc30dd24b3fa35cd6aad2fbe9-1850x868.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
アロエエモジンは、果皮表面と果皮内側と果肉の境界に局在
アロエニン+Na 433.2
[画像8: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148565/1/148565-1-9f975012267d4f9f5f4ca2af5fd97c2e-1858x866.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
アロエニンは、果皮表面と果皮内側と果肉の境界、果肉にも局在
アロイン+Na 433.2
[画像9: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148565/1/148565-1-6718aa7ae6a14b47a4106518e9c7b1dc-1858x866.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
アロインはNa付加体でのみ検出、果皮表面と果皮内側と果肉の境界に局在
【実験結果の考察】
アロエエモジンはプロトン付加体とNa付加体で検出され、どちらも果皮と果実の境界に局在。アロインはNa付加体でのみ検出され、果皮と果実の境界に局在。アロエニンは果皮に局在。古来より経験的にアロエの果皮と果実の間に多く含まれていると言われていましたが、今回IMSで視覚的に局在を明らかにしたことで、基礎科学的なデータの裏付け以外に、今後、加工現場などで効率的なアロエ成分の抽出法の一助になるなど、キダチアロエの高付加価値化が期待できます。
※【利益相反】本研究は、東京アロエ株式会社の資金提供により行われました。
本研究の詳細は、2024年8月29日(木)~31日(土)に開催された「日本食品科学工学会 第71回大会」にエントリーした福島大学 食品機能学II研究室の平 修(たいら しゅう) 教授によって公開されました。
日本食品科学工学会 第71回大会ホームページ
https://confit.atlas.jp/guide/event/jsfst71/top
*本大会は台風の影響で対面での開催は中止となりましたが、プログラム・講演要旨の公開をもって講演、発表が行われたものとされましたので、今回のイメージング質量分析の研究結果は下記サイトでも詳細を掲載しています。
アロエの見える化サイト(キダチアロエのイメージング質量分析の詳細)
https://aloe-imaging.net/
福島大学 食品機能学II研究室について
平 修 教授の食品機能学II研究室は、質量分析技術を核として、特にイメージング質量分析を用いた食品成分の局在分析に関する研究を行っています。その研究は、食品科学だけでなく、ナノテクノロジー、バイオサイエンスの分野においても注目されています。Nano-PALDI MS(ナノ微粒子支援型レーザー脱離/イオン化質量分析法)を開発し、これにより食品中の微量成分や機能性成分の新たな検出法を提供しています。
【研究室の概要】
所属:福島大学 農学群 食農学類 食品科学コース
研究室所在地:福島県福島市金谷川1
研究テーマ:「見えないものを見る」をコンセプトにした食品機能に関する研究
【主な研究プロジェクト】
カタラーゼの魔法: カタラーゼという酵素の特性を利用した新しい食品加工技術の開発。
イメージング質量分析 (Imaging Mass Spectrometry): 高度なイメージング質量分析技術を用いて、食品サンプル内の微量成分を可視化し、それらの分布や変化を詳細に解析します。この技術により、食品がどのように体内で代謝されるか、またその影響を具体的に追跡することが可能になります。
【平 修 教授のプロフィール】
所属: 福島大学 農学群 食農学類 教授
専門分野: ナノテク・材料科学、ナノバイオサイエンス、基盤脳科学、機能物性化学
学位: 博士(材料科学)- 北陸先端科学技術大学院大学
研究者番号: 30416672
J-GLOBAL ID: 201401051272316092
受賞歴
2019年11月: 日本農芸化学会東北支部研究奨励賞, 日本農芸化学会
2016年5月: 奨励賞, 日本質量分析学会
2013年5月: 審査員賞, ナノ質量分析の高分子分析への応用, 日本分析化学会高分子分析討論会
2012年: 第13回年次大会優秀口頭発表賞, ナノ微粒子質量分析(Nano-PALDI MS)による新規農薬検出法の開発, 日本食品工学会
2011年: 第12回年次大会ポスター賞, おたね人参のジンセノサイド局在イメージング, 日本食品工学会
2006年: Excellent Poster Award, Functional Magnetic Nanoparticles for Medical Application, International Conference on Magnetism 2006
福島大学 食品機能学II研究室
https://nanopaldims.wixsite.com/tairalabhome
東京アロエ株式会社について
東京アロエ株式会社は、特にキダチアロエやアロエベラの保湿と修復効果に着目し、肌に優しいスキンケア製品を提供することで、自然由来の成分を活用して肌本来の美しさを引き出すことを目指し、使用者の日々の美容と健康をサポートしています。
【会社概要】
[画像10: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148565/1/148565-1-0b1caffcbba86442a76e4dddaffb98a2-800x266.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
社名:東京アロエ株式会社 (Tokyo Aloe Co., Ltd.)
本社所在地:東京都練馬区栄町15-4
代表取締役社長:鈴木 真矢(すずき まや)
事業内容: 化粧品・健康食品・医薬部外品の製造販売、および通信販売業
設立: 1969年6月(創業:1962年8月)
キダチアロエのイメージング質量分析実験の解説動画(YouTube):https://youtu.be/w1RzgCq5LIU
会社公式サイト:https://tokyo-aloe.jp/
アロエの見える化サイト:https://aloe-imaging.net/
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