グーグル・ルナーXプライズの2チームが、2016年の月ミッションで“相乗り”提携を発表

プレスリリース発表元企業:XPRIZE

配信日時: 2015-02-27 00:09:00

グーグル・ルナーXプライズの2チームが、2016年の月ミッションで“相乗り”提携を発表

ハクト(日本)とアストロボティック(米国)の両チームが、民間探査機の月面着陸コンテストの賞金3000万ドルを目指し、打ち上げでの提携を計画

(東京)- (ビジネスワイヤ)-- 賞金総額3000万ドルのグーグル・ルナーXプライズに挑戦する唯一の日本チームであるハクトは、ペンシルベニア州ピッツバーグに拠点を置く競合相手のアストロボティックと、ローバー2台の月面輸送契約を結んだと発表しました。アストロボティックは2016年後半に、SpaceXのファルコン9ロケットを使い、グーグル・ルナーXプライズ・ミッションをフロリダ州ケープカナベルから打ち上げる計画です。ハクトのムーンレイカーとテトリスの両ローバーが、アストロボティックの着陸船グリフィンに相乗りして、月面着陸を目指します。着陸後、2台のローバーはアストロボティックのローバーのアンディー(カーネギーメロン大学が開発)と同時に探査を開始します。月面を500m走行して、高解像度の画像や動画を地球に送信し、グーグル・ルナーXプライズの大賞である賞金2000万ドル獲得を目指します。

両チームは先月、グーグル・ルナーXプライズのマイルストーン賞を受賞しました。ハクトは走行の領域における技術進歩で50万ドルを、アストロボティックはカーネギーメロン大学と共同で、着陸・走行・撮影の重点3領域すべてで総額175万ドルを獲得しました。審査プロセスで、ムーンレイカー、テトリス、アンディーのローバー3台は、月面を500m走行可能であり、月面の高レベルの放射線環境や厳しい温度に耐えられることを実証しました。

両チーム間の提携は、グーグル・ルナーXプライズ・コンテスト内での協業において、新たな段階に入ったことを表しています。ハクトは月面への到達手段を手に入れ、アストロボティックは月面輸送サービスという長期的ベンチャー事業の重要な顧客を確保できるため、両社にメリットを与えていくことになります。この共同出資を反映して、獲得した賞金は分配することになります。

着陸目標地点は、月の北東部に位置する死の湖(Lacus Mortis)エリアです。月を周回する探査機の映像は、死の湖に縦孔、すなわち天窓(スカイライト)があることを示唆しており、そこから月の洞窟に入ることができる可能性があります。これらの洞窟は溶岩トンネルであると考えられ、月面で火山活動があったことを説明する上で科学的に重要な意味を持つかもしれません。また長期的には、人間が月面の過酷な環境から身を守るための居住空間を設置できる可能性があります。

グーグル・ルナーXプライズとアストロボティックの代表者は昨日、ハクトが東京の日本科学未来館で実施した記者会見に参加し、提携とグーグル・ルナーXプライズのマイルストーン賞受賞を発表しました。

ispaceの代表取締役社長でハクトのチームリーダーを務める袴田武史氏は、次のように述べています。「アストロボティックとの“相乗り”契約を発表でき、大きな期待でいっぱいです。これは走行部門でマイルストーン賞を受賞したことに続き、ハクトにとって月ミッションの達成に向けた大きな一歩となります。この契約で、ハクトのローバーを実際に月に到達させることが可能になりました。私たちはローバーの開発だけに専念しているので、これは重要です。アストロボティック・テクノロジーは月面輸送の新時代を開くことができる着陸船を開発中で、同社が月面に着陸する最初のチームになるのは間違いないでしょう。」

アストロボティック・テクノロジーのジョン・ソートン最高経営責任者(CEO)は、次のように語っています。「当社の最初のミッションにハクトを迎えることができ、心からうれしく思います。私たちは、競い合うチームが一緒に着陸し、ゴールを目指す各国チームに各国が声援を送る “月面のNASCARレース”のようなシナリオを思い描いています。ハクトは、地球の領域の外における最初のレースという、私たちの夢を実現するチームとして、一番乗りの契約を締結してくれました。」

グーグル・ルナーXプライズのテクニカルオペレーションディレクターのアンドリュー・バートンは、次のように述べています。「コンテストに参加している2チームがグーグル・ルナーXプライズ・ミッションでこのように提携することになり、私たちは喜ばしく思います。Xプライズ・コンテストはすべて、新しいビジネスエコシステムの促進を中核的目標の1つに掲げているので、この共同事業は人類の商業的・経済的利益が今後、宇宙に拡大していくことを示す例として素晴らしいものです。この発表は、先日のグーグル・ルナーXプライズのマイルストーン賞で見られた進捗があってこそのものであり、この打ち上げ契約の確定というニュースが、参加チームの勢いを促進してくれることを期待しています。」

昨年12月に、グーグル・ルナーXプライズのコンテスト期間が2016年12月31日まで正式に延長されました。すべてのチームがコンテストの次のステージに進むための基準があり、少なくとも1チームが、予定している探査機発射についての文書を2015年12月31日までに提出するなどが必要です。今回のハクトとアストロボティックの提携は、こうした基準を満たす上での前進となります。

アストロボティックについて

アストロボティック・テクノロジーは企業・政府・大学・非営利団体・個人のために、ペイロードを月に輸送する宇宙ロジスティクス企業です。アストロボティックの輸送船は1回の打ち上げで複数の顧客に対応できるため、業界を決定付ける低価格で柔軟性を提供しています。アストロボティックはNASAの請負業者であり、NASAの月面CATALYST(カタリスト)プログラムの公式パートナーでもあります。提携しているカーネギーメロン大学と共に、グーグル・ルナーXプライズの賞金3000万ドル獲得を目指しており、最初のミッションを2016年に打ち上げる計画です。アストロボティックは2008年に設立され、ペンシルベニア州ピッツバーグに本拠を構えています。詳しい情報については、https://www.astrobotic.comをご覧ください。

ハクトについて

株式会社ispaceが運営するハクトは、グーグル・ルナーXプライズの賞金3000万ドルを競うコンテストに参加している日本チームとして唯一の存在です。探査機のムーンレイカーとテトリスの開発は、東北大学教授でispace最高技術責任者(CTO)の吉田和哉教授が主導しています。詳しい情報については、http://team-hakuto.jp/をご覧ください。

グーグル・ルナーXプライズについて

賞金3000万ドルのグーグル・ルナーXプライズは前代未聞のコンテストで、世界各国のエンジニアと起業家を触発し、低コストなロボットによる宇宙探査方法の開発を競うものです。民間企業チームがグーグル・ルナーXプライズを獲得するには、ロボット探査機を月面に着陸させ、探査機を最低500m走行させ て、高解像度の動画と画像を地球に送り返すことが条件となります。詳細については、http://lunar.xprize.org/をご覧ください。

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