ポリヒドロキシ酪酸による脂質異常症抑制作用を解明
配信日時: 2023-08-21 17:45:45
アニコム先進医療研究所株式会社(代表取締役社長 河本 光祐)は、麻布大学獣医学部 獣医学科の永根大幹講師、東京工科大学の佐藤拓己教授、日本ペットフード株式会社との共同研究により、生分解性ポリエステルの一種であるポリヒドロキシ酪酸(PHB)が、腸内細菌叢において酪酸菌などの有益細菌の増加を促進し、肥満マウスモデルの脂質異常症を改善することを明らかにしました。これらの結果は、腸内細菌によりPHBが分解され、大腸において持続的に3-ヒドロキシ酪酸を放出することが示されたとともに、腸内細菌叢に関連する疾患の治療に応用可能であることを示唆しています。本研究成果は、米国実験生物学会連合の会誌である「The FASEB Journal」(2023年8月7日)に掲載されました。
背景と目的
肥満は遺伝的、環境的、心理的要因に起因する世界的な健康問題であり、さまざまな健康障害と関連しています。そのため、肥満と関連疾患の予防に対する関心が高まっています。腸内細菌叢は肥満症において重要な役割を果たしており、治療のターゲットとなっています。研究チームはこれまでに、3-ヒドロキシ酪酸のポリエステルであるPHBが、腸内細菌により分解を受け、抗大腸炎作用を示すことを報告しています。ケトン体は脂質代謝の改善作用が報告されているため、本研究ではケトン体のポリエステルであるPHBを用いて肥満症に伴う脂質異常症が改善されるかを検討しました。
結果と考察
PHBを混合した飼料を肥満マウスに投与した結果、皮下脂肪が減少し、血液中の中性脂肪とコレステロールの数値が低下しました。また、腸内細菌叢において酪酸菌などの有益な細菌が増加しました。さらに、肝臓における脂肪代謝の改善と酸化ストレスの抑制が観察されました。PHBは肥満に関連する腸内細菌の変化を調整し、脂質異常症を効果的に抑制することから、肥満関連疾患の治療に用いるサプリメントとしての可能性があることが示唆されました。すなわちPHBは有益な腸内細菌を増加させ、肥満関連脂質異常症の緩和をもたらすことが示されました。この研究成果は、肥満とその関連疾患の治療への新たなアプローチとなることが期待されます。
[画像: https://prtimes.jp/i/28421/113/resize/d28421-113-66baeb20ab4bbaa4557a-0.png ]
<掲載論文>
掲載誌:The FASEB Journal
論文リンク: https://faseb.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1096/fj.202301191R
原題: Prebiotic effect of poly-D-3-hydroxybutyrate prevents dyslipidemia in obese mice
和訳: PHBはプレバイオティクス作用により肥満マウスの脂質異常症を改善する
責任著者:永根 大幹(獣医学部生化学研究室、ヒトと動物の共生科学センター)
<参考情報>
●麻布大学 獣医学部について
麻布大学は、2025年に学園創立135周年を迎えます。動物学分野の研究に重点を置く私立大学として、トップクラスの実績を基盤に新たな人材育成に積極的に取り組んでいます。
獣医学部には獣医学科と動物応用科学科が設置されています。獣医学科では、全国共通のモデル・コア・カリキュラムと参加型臨床実習に対応した獣医学教育はもちろんのこと、臨床教育に適した施設・設備を整備して充実した教育を実践しています。さらに、多くの研究室において動物に関して多様な研究活動を行っています。
・麻布大学獣医学部: https://www.azabu-u.ac.jp/academic_graduate/veterinary/
●ヒトと動物の共生科学センターについて
「ヒトと動物の共生科学センター」は、文部科学省・私立大学研究ブランディング事業「動物共生科学の創生による、ヒト健康社会の実現」の後継事業として位置づけ、麻布大学 附置生物科学総合研究所内の研究部門に、プロジェクト研究の発展型として本センターが立ち上がりました。研究を基軸として、それにかかわる学生の教育、そして社会とのつながりを深めることで、ヒトと動物・環境の新しい共生の形を探求し、実現することを目指します。
●アニコム先進医療研究所株式会社について
アニコム先進医療研究所株式会社は、2014年に設立されたどうぶつの医療分野における基礎研究の推進、先進医療の開発と研究を行う会社です。アニコムグループの強みを活かし、グループの保有するビックデータから得られる研究成果を、再生医療等を通じて病気に苦しむどうぶつに還元し、健康寿命を延ばすことで、どうぶつと飼い主の笑顔を創造することを目指しています。
・アニコム先進医療研究所株式会社:https://www.anicom-med.co.jp/
●日本ペットフード株式会社について
日本ペットフード株式会社は、1960年に国内初の国産ドッグフードを発売しました。企業理念として、私たちは心のふれあいを大切にし、ペットフードを通して家族とペットの生活に、憩いと潤いを提供します。ペットとその家族の一番の願いを受け止め、ペットの健康と長寿を追求するために努力を惜しまず、新たなペットフードの開発に積極的に取り組んでいます。
・日本ペットフード株式会社:https://www.npf.co.jp/
PR TIMESプレスリリース詳細へ
スポンサードリンク
「アニコム損害保険株式会社」のプレスリリース
- 第八回「どうぶつ川柳」募集開始!07/05 10:20
- アニコムと大阪大学、アース製薬が共同研究を開始06/19 19:15
- 麻薬探知犬の訓練適性に関連する遺伝子変異を発見05/10 17:45
- 「アニコム損害保険株式会社」のプレスリリースをもっと読む
スポンサードリンク
最新のプレスリリース
- Wemade、MIR4のグローバル・サービス2周年を記念してスペシャルイベントを開催!08/22 22:00
- AI創薬3.0のiSiPへの「AMED認定VC」のD3をリード投資家として、第三者割当増資による総額2.3億円の資金調達を実施08/22 21:15
- 杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』が「第5回ほんタメ文学賞」たくみ部門大賞受賞!08/22 20:45
- "メディアと事業創造"を掲げるメディアインキュベートが、メディアの知見を活用して産業別の企業群づくりを目指す『未来プロジェクト』にて調査レポート付きスポンサープランをスタート!スポンサー特典を拡張へ08/22 20:45
- 【MUFG】MUFG工芸プロジェクト始動!~これからの、ものづくりの物語を。~8/22から始まる本社屋内の展示を皮切りに、国内巡回展示を実施予定。08/22 20:45
- 最新のプレスリリースをもっと見る