「複雑な環境下におけるセキュリティと人権の課題への取り組み」実践ツールキット邦訳版発行のお知らせ

プレスリリース発表元企業:ICRC

配信日時: 2023-06-28 19:45:31



[画像1: https://prtimes.jp/i/53225/72/resize/d53225-72-69df234d265f26ace774-0.jpg ]


2023年6月14日、赤十字国際委員会(ICRC)は、スイス・ジュネーブのセキュリティ・セクター・ガバナンス・センター(DCAF)と共同で策定した実践ツールキット『複雑な環境下におけるセキュリティと人権の課題への取り組み』の邦訳版を発行しました。

日本語版のツールキットは:https://www.securityhumanrightshub.org/toolkit/6202871c1f77df89e27d91bf/62a722bf434916038dfa2666_ASHRC_Toolkit_V3_JP.pdf



ICRCは、DCAFと2012年にパートナーシップを締結し、紛争地域など複雑な環境下における責任あるビジネス慣行の促進に取り組んできました。同ツールキットの策定はその一環で、複雑な環境下で企業が責任ある事業活動を行う上で役に立つ事例やグッドプラクティスを「現地政府との連携」、「治安部隊との連携」、「民間警備提供者との連携」、「コミュニティとの連携」の4つの領域に分けて、実用的な手引書にまとめたものです。これまでに改訂版を含めて、英語、フランス語、スペイン語、中国語に訳されています。海外で活動する企業から好評を博し、2023年初期には月平均でダウンロード数700件を達成しました。

英語版ツールキット:https://www.securityhumanrightshub.org/toolkit/

フランス語版ツールキット:https://www.securityhumanrightshub.org/toolkit/6202871c1f77df89e27d91bf/62a722af729de4873419762d_ASHRC_Toolkit_V3_FR.pdf

スペイン語版ツールキット:https://www.securityhumanrightshub.org/toolkit/6202871c1f77df89e27d91bf/62a722b8dbf8bc5eac48c6be_ASHRC_Toolkit_V3_ES.pdf

中国語版ツールキット:https://www.securityhumanrightshub.org/toolkit/6202871c1f77df89e27d91bf/62a722bf434916038dfa2666_ASHRC_Toolkit_V3_CH.pdf



[画像2: https://prtimes.jp/i/53225/72/resize/d53225-72-0c61f6a0f43cbc7e96c9-3.jpg ]


邦訳版の発行に伴い、6月14日、アンドレアス・バオム駐日スイス大使公邸で発行記念イベントを開催しました。バオム大使は開会の挨拶で、「紛争地域のような複雑なセキュリティ環境下では、企業が民間人の安全と福祉に、良くも悪くも大きな影響を与える可能性があります」と指摘。続いて、基調講演を行ったICRCのロバート・マルディーニ事務局長も、「企業が慎重でなければ、地域住民が傷つけられ、脅迫され、家を失い、生計を失うなどの被害が生じます。多くの場合、企業が故意にそう仕向けたり、直接的な加害者となることはありません。実際に被害を与えるとしたら、企業を支援したり代行したりする治安部隊や民間警備提供者、政府機関、政治や宗教の指導者などです。そうした被害が起きてしまうと、不平不満が沸き上がり、新たな紛争や暴力事態の火種となり、さらには人道上の犠牲も伴います」と訴えました。その上で、紛争地で一世紀半以上にわたり活動してきたICRCだからこそ、企業に対してそうした環境下でいかに対応すべきかを自らの知見に基づいて示し、それにより弱い立場に置かれたコミュニティを保護しながら、さらなる被害を防ぐことに貢献できる、との考えを示しました。

[画像3: https://prtimes.jp/i/53225/72/resize/d53225-72-e56877524e3885b426bd-1.jpg ]


来賓挨拶を行った中谷元・内閣総理大臣特別補佐官は、日本は、アジア初の取り組みとして、昨年9月に人権尊重のためのガイドラインを策定し、日本政府としてもビジネスと人権に対する取り組みを促進していることに触れ、本ツールキット日本語版が紛争の影響を受けたり、情勢不安を抱えたりするような複雑な環境下で事業活動を行う日本企業の活動の道標となることへの期待を示しました。最後に、オンラインでメッセージを寄せたDCAFのナタリー・チュアード所長は、日本の企業も進出している治安情勢が不安定な国を例に挙げて、「そうした国で企業が事業やスタッフのセキュリティを確保するには、紛争の力学を理解することに加えて、他企業との関与、コミュニティや市民社会との率直な対話、治安部隊や民間警備提供者との連携を通したセキュリティ体制の構築が必須」であるとし、そうした場面で本ツールキットが役立つことをアピールしました。

[画像4: https://prtimes.jp/i/53225/72/resize/d53225-72-df29a0456083e6a198f4-2.jpg ]


イベントに参加した日本企業の海外事業担当者は、「我が社は、多くの国で事業を行っていますが、今は取引先の多くが日系企業です。ただ、新興国の台頭により、長期的に見ると、現地企業との取引や現地スタッフの採用が必要となって行く可能性が大いにあります」と、問題への関心の高さを示し、「そうした際に現地でのトラブルを避けるためにも、ツールキットを使って予め勉強しておきたいと考えています」とその有用性について語ってくれました。

多くの企業は今、ビジネスと人権のはざまで岐路に立たされています。ビジネスと人権に関する各国の国内法や超国家的な法律が増えていることに加えて、投資先企業が国際人道法違反や人権侵害に関与していないことを条件とする投資家や、経済団体、市民社会をはじめとした多様なステークホルダーの期待も受けています。多くの企業が本ツールキットを参考にすることで、世界各地の紛争地域で、持続可能で、かつレジリエンス・回復力を高める倫理的なビジネス慣行が定着することを期待します。

■DCAFについて
ジュネーブ・セキュリティ・セクター・ガバナンス・センター(Geneva Centre for Security Sector Governance:DCAF)は、治安部門改革を通じて良好なセキュリティ・ガバナンスを促進することを目的に、グローバルな活動を行っています。DCAF のビジネスとセキュリティ部門は、企業、政府、コミュニティと連携し、セキュリティ、持続可能な開発、そして人権尊重を促進しています。
https://www.dcaf.ch/

■ICRC について
赤十字国際委員会(International Committee of the Red Cross:ICRC)は、公平で中立、かつ独立した組織で、武力紛争およびその他暴力の伴う事態によって犠牲を強いられる人々の生命と尊厳を保護し、必要な援助を提供することをその人道的使命としています。ICRC は、国際人道法および世界共通の人道の諸原則を普及させ、また強化することによって人々に苦しみが及ばないよう尽力しています。

PR TIMESプレスリリース詳細へ