産学連携の研究プロジェクトで「将来洪水ハザードマップ」を開発 『LaRC洪水リスク分析サービス」が提供開始

プレスリリース発表元企業:MS&ADインターリスク総研株式会社

配信日時: 2023-05-08 10:00:00

<高精度・高信頼度・高解像度を兼ね備えたグローバル将来洪水ハザードマップ(東南アジア地域)>

<無償一般公開ハザードマップ(タイのチャオプラヤ川周辺)>

<一般公開版の仕様>

MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社(取締役社長 グループCEO:原 典之)、ならびにMS&ADインターリスク総研株式会社(取締役社長:一本木 真史)は、東京大学、芝浦工業大学と共同で立ち上げた「LaRC-Floodプロジェクト※1」において、「将来洪水ハザードマップ」を開発しました。

本ハザードマップは、将来の洪水リスク変化に整合した、高精度・高信頼度・高解像度のマップです。企業に気候変動リスクへの対応が求められる中、MS&ADインターリスク総研のWebサイトにて、このハザードマップの一部を無償で一般公開し、社会ニーズに応えます。
またMS&ADインターリスク総研は、仕様を高度化したハザードマップを活用し、新たなコンサルティングサービスの提供を開始しました。世界全域で定量的な影響評価を可能にし、気候変動が顕在化した場合の物理的リスクの把握を支援します。

※1:Large-scale Risk assessment of Climate change for Floodの略。ラルクフラッドプロジェクト。東京大学生産技術研究所 山崎研究室、芝浦工業大学 工学部土木工学科 平林研究室、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社、MS&ADインターリスク総研株式会社の四者で「気候変動による洪水リスクの大規模評価」を行うことを目的に、立ち上げたプロジェクトです。


1. 背景
温暖化の影響により洪水の頻度と規模は激甚化が想定されています。先進国を中心に洪水ハザードマップが作成・活用されていますが、過去に例を見ない災害に備えるには、将来の気候変動の影響を加味したハザードマップが必要でした。
一方、将来洪水ハザードマップの開発には、気候モデルによる予測情報が必要となりますが、気候モデルによる降雨や流出量等の予測値にはバイアス※2が存在し、正確な浸水深把握には、このバイアスを適切に補正することが不可欠です。
こうした課題を解決し、将来洪水ハザードマップを正確に構築する方法を確立すべく、本プロジェクトで研究・開発することとしました。

※2:気候モデルには、観測データとの誤差が存在しており、正確な推定に対する障害となる。


2. 将来洪水ハザードマップの開発
2018年から5年間にわたる「LaRC-Floodプロジェクト」の研究・検証を経て、気候予測データに含まれる観測データとの誤差を補正する手法※3を東京大学・芝浦工業大学と新たに開発しました。
その結果、将来洪水リスクの変化傾向と整合した、高精度・高信頼度・高解像度を兼ね備えた将来洪水ハザードマップの構築に成功し、MS&ADインターリスク総研のWebサイトにて、その一部を無償一般公開します。( https://www.irric.co.jp/LaRC-Flood )

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/354026/LL_img_354026_2.png
<無償一般公開ハザードマップ(タイのチャオプラヤ川周辺)>

<一般公開版の仕様>
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/354026/LL_img_354026_3.png
<一般公開版の仕様>

※3:本手法は、国際査読誌に受理済みであり科学的に妥当であると保証された構築手法です。
詳細は https://hess.copernicus.org/articles/27/1627/2023/ を参照。
※4:ssp585:現時点を超える政策的な緩和策を取らないシナリオ(4℃上昇シナリオ)


3. 将来洪水リスク分析サービスの概要
MS&ADインターリスク総研は、より詳細な情報が必要なお客さま向けに、「LaRC-Floodプロジェクト」で開発した将来洪水ハザードマップを活用し、企業向けのコンサルティングサービスの提供を2023年4月から開始しました。本サービスでは、現在気候、気候2℃未満、4℃上昇の各シナリオにおける世界全域で将来の洪水浸水深の変化や洪水による被害額等を算出、気候変動が顕在化した場合の物理的リスクの把握を支援します。さらに分析した拠点付近の浸水深分布情報を提供するため、拠点周辺のリスク把握や面的な分析も可能となります。
本サービスで使用している将来ハザードマップは、2023年3月に国土交通省が公表した「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き~気候変動を踏まえた洪水による浸水リスク評価~」ガイドライン※5で、東京大学 山崎 大准教授が開発したCaMa-Flood※6を用いたグローバル将来洪水ハザードマップとして紹介されました。CaMa-Floodの開発者である東京大学の山崎 大准教授が浸水深空間分布の高度化に携わった唯一の共同研究プロダクトです。

※5: https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tcfd/index.html
※6: CaMa-Flood:Catchment-based Macro-scale Floodplain modelの略。地球全域を対象としたグローバル河川水動態モデル。地球全域の河川の流量や浸水深などが計算できる。

<有償サービスの概要>
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/354026/LL_img_354026_4.png
<有償サービスの概要>

※7:ssp126:気温上昇を工業以前と比べて2度未満に抑えることを目指すシナリオ

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/354026/LL_img_354026_1.png
<高精度・高信頼度・高解像度を兼ね備えたグローバル将来洪水ハザードマップ(東南アジア地域)>


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