部品購買業務において自動交渉AIを活用した調整業務の効率化を実証

プレスリリース発表元企業:日本電気株式会社

配信日時: 2022-08-24 11:00:00

日本電気株式会社(注1、以下NEC)、BIRD INITIATIVE 株式会社(注2、以下BIRD INITIATIVE)、自律調整SCMコンソ―シアム(注3)は、電子部品購買業務において購買側のAIが販売側の人と納期や数量の調整を行う自動交渉AIの実証実験を共同で行い、通常数日から数週間かかる調整が分単位に短縮され、大幅な効率化が見込まれることを確認しました。自動交渉AIとは、交渉の場面において相手との調整や双方の利益を最大化するような最適解を自動で導く技術です。従来、購買担当者は、生産計画変更の際、必要部品の在庫を確認して不足量を予測し、需給状況に応じたサプライヤとの交渉に多くの手間と時間をかけていました。自動交渉AIは、状況によって異なる複雑な条件を考慮し、適時・適量の確保に向けて瞬時に最適解を導き出すことで効率化を図ります。
なお、本技術は、2022年8月31~9月2日に幕張メッセにて開催される第1回スマート工場EXPO[秋](https://www.fiweek.jp/autumn/ja-jp.html)に出展します。



背景
 あらゆる産業のサプライチェーンにおいて、企業間取引における納期・数量や価格の調整、物流における配送条件の調整など、取引相手との様々な調整業務が日々大量に発生・遂行されています。中でも電子部品の購買では、部品の種類が膨大かつメーカーも多数におよび製品ライフサイクルも短いことに加え、半導体不足や世界情勢の変化によるサプライチェーン不安定化の影響を受けて、販売側と購買側の間でイレギュラーな調整がさらに増加するなど業務の負担がますます増えています。
 従来、このような個々の条件が異なる調整や交渉は人でなければ対応できない領域と考えられてきましたが、人手不足やサプライチェーンの急速な変化を受けて自動化のニーズが高まっています。
 こうした背景を踏まえ、NEC、BIRD INITIATIVEの2社は自律調整SCMコンソ―シアムの活動の一環として、電子部品購買における調整・交渉自動化の実証実験を行い、その効果を検証しました。

実証実験の概要
<実証期間>
2022年6月~2022年7月

<実証内容>
 NEC関係会社が実際に取引先企業から購入している部品に関して、購買側(NEC関係会社側)が生産計画の変更を受けて発注数量や納期の変更が必要になったシーンを想定し、部品の在庫状況と手配状況の実データを用いて、購買側に導入された自動交渉AIが、チャットボットを介して販売側(取引先企業)の担当者(人)と納入条件の変更調整を行えるかを検証しました。
具体的には、在庫に余裕がない場合の購入量を増やす手配や、急な生産計画変更に伴う部品の手配数量の増減といったいくつかの需要変動のパターンについて、調整結果の妥当性や調整に要した時間・工数を評価しました。

1. 購買側で生産計画の変更に伴う部品の需要変動が発生し、自動交渉AIが当該部品の数量、納期の調整を行うために変更要求を販売側(取引先企業)に送信
2. 販売側は1.の要求を受領し、チャットボット画面にて、担当者が対応可能な数量、納期を回答
3. 購買側で2.の回答を受領し、自動交渉AIが追加あるいは削減数量と希望納期をチャットボット画面に回答
4. 上記2.、3.の調整・交渉を、合意に至るまで自動交渉AI(購買側)と人(販売側)で実施

今回、NECの自動交渉AIを活用し、生産計画の変更をうけて、必要な部品の在庫状況と発注状況、納入リードタイムから、自社の効用(利益)を最大化(必要な部品の適時・適量確保)するために、追加・キャンセルすべき発注数量と必要時期の算出を行い、販売側担当者と合意に至るまで数量、納期の変更調整・交渉を行いました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/78149/158/resize/d78149-158-ce551ce4c3cc584d7160-0.png ]

                    実証実験の概要

実証結果・期待効果
 今回の実証実験では、販売側の在庫で購買側と調整可能な解が存在する場合には、自動交渉AIと販売側担当者の間で合意することができ、従来、販売側との調整・交渉にかかっていた時間を以下のように短縮することができました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/78149/158/resize/d78149-158-6d042d33bd5e2c52b60b-1.png ]

  ※販売側担当者からの回答待ちの時間も含む

 自動交渉AIにより、在庫確認、発注量算出、販売側担当者とのやりとりが自動化され、取引先との調整がスピードアップすることで、購買担当者は部品在庫の適正化や予期せぬ需要変動への対応などに取り組める余力が増え、変動対応力の向上につながることが期待されます。
なお、今回は、購買側が自動交渉AIで販売側が人という形態で実証を行いました。今後、購買側が人で販売側が自動交渉AI、または購買側・販売側の双方に自動交渉AIを導入する形態での検証も進めてまいります。


今後の展開
 本実証結果を踏まえ、2社は自律調整SCMコンソ―シアムの活動を通じて、自動交渉AIの適用業務の選定、社会実装を推進し、2023年度の実用化を目指します。
NECは自動交渉AIの精度向上や他のユースケース向けアルゴリズム開発、BIRD INITIATIVEは自動交渉AIを用いたサプライチェーン上のさまざまな調整を自動化するプラットフォーム事業を推進します。

以上

(注1) 本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼CEO:森田 隆之
(注2) 本社:東京都目黒区、CEO:北瀬 聖光
(注3) 自律調整SCMコンソ―シアム:2021年9月設立。サプライチェーンにおいて日々発生している「企業・組織・個人間での利害や挙動の調整業務」を劇的に効率化することを目指し、先進技術を活用した実用的な調整業務フローの整理と検証、その発展と普及活動を行う。 https://automated-negotiation.org

<技術の詳細>
利害の異なるAI同士が交渉し、Win-Winな関係へ
自動交渉AI技術
https://jpn.nec.com/rd/technologies/202203/index.html

<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>
NEC グローバルイノベーション戦略部門
https://contact.nec.com/http-jpn.nec.com_tb_142rd_4b126d/?fid=4b126d

BIRD INITIATIVE 株式会社
E-Mail:hello@bird-initiative.com

自律調整SCMコンソ―シアム
E-Mail:contact-auto-nego@mlsig.jp.nec.com

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