ICT発展により広がるオンライン国際交流に関する記事公開

プレスリリース発表元企業:ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所

配信日時: 2021-08-24 14:00:00

小学校におけるITC活用の現状

「ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所」(※以下、IBS)<東京都新宿区 所長:大井静雄>ではグローバル化社会における幼児期からの英語教育の有効性や重要性に関する情報を定期的に発信しています。
2020年度以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、人々が国境を超えて行き来することは難しくなる中で、国際交流をオンラインで行う学校も出てきました。今回はオンライン国際交流が小学生にとって「英語を学びたい」というモチベーションにつながるのかについて、先行研究をもとに検証し記事として公開しました。

<この記事のサマリー>
●インターネットの普及やICTの発展により、小学校の授業でオンライン国際交流を行うことが増えている
●英語学習のモチベーション向上には子どもたちの自信や達成感、興味を育てる活動内容を考えることが重要
●英語学習のモチベーションが最も高まる環境とオンライン国際交流から得られる体験は共通する部分が多い
●日常的に海外の人々と接することがない日本の子どもたちにとって、オンライン国際交流の効果や重要性はますます高まると考えられる

■ インターネットの普及、ICTの発展により変化する国際交流
以前は、小学校における国際交流といえば、海外の子どもたちと手紙やビデオメッセージを交換したり、海外の学校を訪問したりすることでした。しかし、インターネットの普及やICT(情報通信技術)の発展により、国際交流においてもテレビ会議システムなどを使用し、遠隔地にいる子どもたちがまるで同じ場所にいるかのように、映像で相手の姿を見ながら会話できるようになりました。

文部科学省の調査によると、小学校の英語授業でICTが活用される用途として「児童が遠隔地の児童生徒等と英語で話をして交流する活動」を挙げる学校の数が、2018年度から2019年度の一年間で約1.6倍に増加しています。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/272704/img_272704_2.png

■ モチベーション向上のカギを握るのは英語学習に対する自信や達成感
日本の小学5・6年生(計762人)を対象にした調査(安達, 2012)では英語の授業時間が増加しても英語学習に対する興味・関心は高まらず、前向きな学習意欲・態度が動機づけに重要であることがわかりました。
つまり、子どもたちに「英語を学びたい」と感じてもらうためには、英語の授業時間を増やすこと以上に、英語学習に対する自信や達成感、興味を育てる活動内容を考える必要があります。

2010年、長野県松本市の小学校5年生29人がオーストラリアの小学5年生とSkypeを使って交流。4月〜12月に渡って計4回交流を行いました。交流前と交流終了後にアンケート調査をとって統計分析したところ、特に「外国語活動が好き」、「外国についてもっと知りたい」、「英語でコミュニケーションできるようになるために、もっと勉強したい」(IBS訳)という回答に有意差があり、英語学習や海外に対する興味・意欲が向上したことがわかりました(Ockert, 2015; 2020)。

同様の調査(清水・加納, 2020, 木村ほか, 2020)からも、オンライン国際交流は英語学習へのモチベーションを高めるうえで効果的であることが統計分析によって実証されています。

■ 英語学習のモチベーションが最も高まる環境とは
英語学習のモチベーションに影響があるものとして最も古くから提唱されているものは「Integrativeness(統合性)」です。これはほかの言語・文化的背景をもつ人々に対して好意的な姿勢であり、理解したいという気持ちや敬意を抱くことです(Gardner, 2001)。 また、第二言語習得においては、モチベーションの質として、外発的動機よりも内発的動機のほうが重要であると考えられています(Ortega, 2009)。内発的動機づけがある場合は、自主的に学習することを選び、学習を楽しむことができます(Noels et al., 2000)。

この内発的動機と「Integrativeness(統合性)」には相関性があり、興味や楽しみ、価値を感じて第二言語を学んでいる人ほど、その言語を話す人々と関わりたい、という理由で第二言語を学んでいる、ということがわかっています(Noels, 2001)。そして、異なる言語を話す人々に肯定的な感情をもち、その言語を学習することに実用的な価値を感じ、その言語を話せる「理想の自分」がイメージできているとき、第二言語/外国語学習のモチベーションが最も高まることも報告されています(Cszer & Dornyei, 2005)。

■ 今後もますます広がるオンライン国際交流の可能性
これらの理論や先行研究からオンライン国際交流をとらえてみると、海外に住んでいる同世代の子どもたちと交流することは、異なる言語を話す人々やその文化に対する好意的な態度につながりやすく、相手が話していることを理解するためにも、自分が話したいことを理解してもらうためにも英語が必要であることを実感できます。さらには、「自分の英語が通じた」という体験を通じて英語学習の喜びや楽しさを感じるとともに、「英語が話せる理想の自分」を具体的にイメージできるようになると考えられます。

Zoomなどのウェブ会議ツールやタブレット端末を活用した国際交流も可能になった今、少人数のグループ同士や一対一で会話にチャレンジするスタイルの交流もできるようになり、さまざまな地域の学校にとって交流の機会が増えるだけでなく、交流の質も向上する可能性があります。
日常的に海外の人々と接することがない日本の子どもたちが英語を学習するうえで、オンライン国際交流の効果や重要性はますます高まるのではないでしょうか。


詳しい内容はIBS研究所で公開中の下記記事をご覧ください。
■オンライン国際交流は、英語学習のモチベーション向上に役立つか?
https://bit.ly/3zi9v32

■ワールド・ファミリーバイリンガル サイエンス研究所
(World Family's Institute Of Bilingual Science)
事業内容:教育に関する研究機関(https://bilingualscience.com/
所 長:大井静雄(東京慈恵医科大学脳神経外科教授/医学博士)
所 在 地:〒160-0023 東京都新宿区西新宿4-15-7
パシフィックマークス新宿パークサイド1階
設 立:2016年10 月


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