武田薬品のデング熱ワクチン候補が持つ潜在力が長期の安全性および有効性を検討した試験の結果により強化

プレスリリース発表元企業:Takeda Pharmaceutical Company Limited

配信日時: 2021-05-28 23:53:00

武田薬品のデング熱ワクチン候補が持つ潜在力が長期の安全性および有効性を検討した試験の結果により強化

武田薬品のデング熱ワクチン候補が持つ潜在力が長期の安全性および有効性を検討した試験の結果により強化

(大阪 & 米マサチューセッツ州ケンブリッジ)-(ビジネスワイヤ) -- 武田薬品工業株式会社TSE:4502/NYSE:TAK)(「武田薬品」)は本日、当社のデング熱ワクチン候補(TAK-003)が、進行中のピボタル第3相「デング熱に対する4価ワクチン予防接種の有効性試験」(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study、TIDES)のワクチン接種後3年間にわたり、被験者のワクチン接種前のデング熱感染歴の有無に関係なく、デング熱感染およびデング熱感染による入院に対して持続的な予防効果を示し、重要な安全性リスクも認められなかったと発表しました。TIDES試験には、デング熱流行国であるラテンアメリカやアジア地域において2万人以上の小児・若年層(4歳から16歳)の健常被験者が登録されています。

スリランカにあるネゴンボ総合病院のデング熱・デング出血熱臨床管理センターに所属し、TIDES試験の治験責任医師を務めるLakKumar Fernando医師iは、次のように述べています。「デング熱の流行は突然起こるため、病院は重症患者や検査を求める人々であふれかえる場合があります。武田薬品のデング熱ワクチン候補の長期解析による結果は、このワクチンがデング熱の大流行の予防に役立ち、デング熱感染歴の有無に関係なく、入院率を低減させ、感染から人々を守ることができる可能性を示しています。重要な点として、重要な安全性リスクは確認されていません。」

TIDES試験の36カ月間にわたる追跡に基づく探索的解析の安全性および有効性のデータは、2021年5月22日に開催された第17回国際渡航医学会(CISTM)で発表されました。TAK-003は3年間(2回目接種後36カ月)にわたり、ウイルス学的に確認されたデング熱(VCD)に対する本ワクチンの全体的なワクチン有効性(VE)として62.0%(95%信頼区間(CI):56.6%~66.7%)を示し、ワクチン接種前の血清反応が陽性の被験者群でのVCDに対するVEは65.0%(95%CI:58.9%~70.1%)、血清反応が陰性の被験者群でのVCDに対するVEは54.3%(95%CI:41.9%~64.1%)でした。また本ワクチンのデング熱感染による入院に対する全体的なVEは83.6%(95%CI:76.8%~88.4%)を示し、血清反応陽性群でのデング熱入院に対するVEは86.0%(95%CI:78.4%~91.0%)、血清反応陰性群でのデング熱入院に対するVE は77.1%(95%CI:58.6%~87.3%)でした。TAK-003のVEはデングウイルスの各血清型により異なりますが、この観察結果は既報の結果との一貫性を維持していました。TAK-003は全般的に忍容性が良好で、重要な安全性リスクは観察されませんでした。これらの結果は、デング熱が流行している国々に住む人々やそうした国々へ移動する人々をデング熱から守ることに貢献するTAK-003の潜在力についての証拠を強化するものです。

武田薬品のバイスプレジデントでデング熱グローバルプログラムリーダーのデレク・ウォレスは、次のように述べています。「当社のデング熱ワクチン候補は、3年間にわたりデング熱感染に対する予防効果を発揮し続けており、特に入院に対する予防効果が安定していました。これらの結果は、TAK-003がデング熱感染による世界規模での大きな疾病負荷に対処し得るものであるという私の確信を強めるものです。」

既報の通り、TIDES試験では、12カ月の追跡調査期間におけるVCDに対する全般的なVEという主要評価項目が達成され(VE:80.2%、95%信頼区間(CI):73.3%~85.3%、p<0.001)、また評価に十分な症例数を確保できた副次評価項目(18カ月の追跡調査期間における評価)もすべて達成しました。TIDES試験では、主にデング熱感染の外来患者において全体的VEの経時的な減弱が観察されたため(2回目接種後12~36カ月)、その対処として追加免疫接種の評価を含める変更を行いました。武田薬品は、36カ月間の探索的解析結果を本年中に査読誌で発表する予定です。

TIDES試験の36カ月間にわたる追跡調査に基づく安全性および有効性のデータは、欧州連合およびデング熱流行国における承認申請資料に含まれており、2021年内に承認申請が予定されている米国を含むその他の国々における申請資料にも掲載していきます。武田薬品は、TAK-003について、成人と小児の両方を対象としたデータに基づき、デング熱感染歴の有無に関係なく、4歳から60歳の人々におけるデング熱感染の予防を本ワクチンの適応として追求します。デング熱の感染歴があってもなくても、成人と小児の両方で使用できるデング熱ワクチンに対するニーズが一貫してあります。

TAK-003について

武田薬品の4価デング熱ワクチン候補(TAK-003)は、4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の「バックボーン」として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースとしています1。TAK-003は、小児と若年層を対象とした第2相臨床試験のデータにおいて、本ワクチン接種前血清反応が陽性および陰性のいずれの被験者においても、4種すべてのデングウイルス血清型に対して免疫応答を誘導し、これはワクチン接種後48カ月間持続しました。また本ワクチンは全般的に安全で、良好な忍容性を示しました2。ピボタル第3相「デング熱に対する4価ワクチン予防接種の有効性試験」(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study、TIDES)では、本ワクチン2回目接種後12カ月の追跡調査期間におけるウイルス学的に確認されたデング熱(VCD)に対する全体的なワクチン有効性(VE)という主要評価項目が達成され、また評価に十分なデング熱症例数を確保できた18カ月の追跡調査期間における副次評価項目(デング熱による入院に対するVE、被験者の本ワクチン接種前血清反応が陽性か陰性かに応じたVEなど)もすべて達成されました3,4。ワクチンの有効性は、デングウイルスの血清型により異なりました。結果からTAK-003の忍容性は全般的に良好であることが実証されており、現在までのところ重要な安全性リスクは観察されていません。

第3相TIDES(DEN-301)試験について

二重盲検ランダム化プラセボ対照第3相「デング熱に対する4価ワクチン予防接種の有効性試験」(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study、TIDES)は、小児・若年被験者で、4種の血清型のいずれかによって引き起こされ、検査で確認されたあらゆる重症度の症候性デング熱の予防で、TAK-003を2回投与した場合の安全性と有効性を評価する試験です4。TIDES試験は、武田薬品がこれまでに実施した中で最大規模の介入臨床試験で、デング熱流行地域に居住する年齢4~16歳の健康な小児・若年層2万人以上が組み入れられました。被験者はランダム割り付けにより、試験1日目と90日目にTAK-003 0.5 mLまたはプラセボのいずれかを皮下投与されました4。試験は5つのパートで構成されています。パート1と主要評価項目の解析では、初回投与から15カ月後までのワクチンの有効性と安全性を評価しました(2回目の投与からは12カ月後)4。本試験のパート2ではさらに6カ月継続し、デング熱による入院に対するVEを含め、血清型別、ベースラインにおける血清状態別、疾患重症度別の有効性に関する副次評価項目の評価を行いました7。パート3ではさらに2年半から3年かけて被験者を追跡調査し、有効性および長期安全性の評価を実施中です5。パート4では追加免疫接種後13カ月間の有効性および安全性を評価し、パート5ではパート4が完了してから1年間の長期的な有効性および安全性を評価します5

本試験が実施されているのは中南米(ブラジル、コロンビア、パナマ、ドミニカ共和国、ニカラグア)とアジア(フィリピン、タイ、スリランカ)のデング熱流行地域にある施設です。これらの地域ではデング熱予防に対する未充足ニーズがあり、重症型デング熱が小児における重篤疾患および死亡の主因となっています4。血清状態別の安全性と有効性の評価を行えるよう、本試験に参加する被験者全員からベースラインにおける血液サンプルを採取しました。武田薬品および専門家から成る独立データモニタリング委員会は、積極的な安全性モニタリングを継続的に行っています。

デング熱について

デング熱は、蚊媒介ウイルス感染症として最も急速に拡大しており、WHOによって2019年の「世界の健康に対する脅威トップ10」の1つに挙げられました6,7。デング熱は主にネッタイシマカ(Aedes aegypti)と、程度は低いもののヒトスジシマカ(Aedes albopictus)が媒介します。4種のウイルス血清型のいずれによっても引き起こされ、いずれの血清型もデング熱または重症型デング熱を引き起こす可能性があります。個々の血清型の罹患率は地理、国、地域、季節によって異なり、時間経過とともに変化します8。ある血清型のウイルスへの感染から回復した場合、その血清型に対してのみ生涯続く免疫を得ますが、後に他の血清型のウイルスに感染した場合、重症化のリスクは高まります。

デング熱は流行しがちであり、熱帯と亜熱帯地域で流行が観察されており、最近では米国本土と欧州の一部でも流行しています9,10。現時点で世界人口の約半分がデング熱の脅威にさらされており、毎年世界全体で3億9000万人が感染し、約2万人が死亡していると推定されています10,11。デング熱はあらゆる年齢層の人々が感染する可能性があり、中南米とアジアの一部の子供たちにとっては重篤疾患を引き起こす主因となっています10

武田薬品のワクチンに対する取り組みについて

ワクチンは、毎年200~300万人以上の生命を救い、世界の公衆衛生を変革しました12。武田薬品は過去70年間、ワクチンの提供により日本の人々の健康を守ってきました。現在、武田薬品のグローバルワクチンビジネスはデング熱、COVID-19、ジカウイルス感染症、ノロウイルス感染症など、世界で最も困難な感染症の一部を対象に、新機軸を取り入れた対策に取り組んでいます。武田薬品のチームはワクチンの開発製造とグローバルアクセスに関する傑出した実績と豊富な知識を生かして、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、ワクチンのパイプラインを前進させています。詳細についてはwww.TakedaVaccines.comをご覧ください。

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。詳細についてはhttps://www.takeda.comをご覧ください。

留意事項

本留意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリース(添付資料及び補足資料を含みます。)において武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類、口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます。)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法に基づく登録又は登録免除の要件に従い行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性がございます。

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医療情報

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i LakKumar Fernando医師はこの発言について対価を受けていない。

1 Huang CY-H, et al. Genetic and phenotypic characterization of manufacturing seeds for tetravalent dengue vaccine (DENVax). PLoS Negl Trop Dis. 2013;7:e2243.

2Tricou, V, Sáez-Llorens X, et al. Safety and immunogenicity of a tetravalent dengue vaccine in children aged 2-17 years: a randomised, placebo-controlled, phase 2 trial. Lancet. 2020. doi:10.1016/S0140-6736(20)30556-0.

3 Biswal S, et al. Efficacy of a tetravalent dengue vaccine in healthy children and adolescents. N Engl J Med. 2019; 2019;381:2009-2019.

4 Biswal S, et al. Efficacy of a tetravalent dengue vaccine in healthy children aged 4-16 years: a randomized, placebo controlled, phase 3 trial. Lancet. 2020. 2020;395:1423-1433.

5 ClinicalTrials.Gov. Efficacy, Safety and Immunogenicity of Takeda's Tetravalent Dengue Vaccine (TDV) in Healthy Children (TIDES). Retrieved March 2021. (健康な小児における武田薬品の4価デング熱ワクチン(TDV)の有効性・安全性・免疫原性(TIDES))

6 World Health Organization. Factsheet. Dengue and Severe Dengue. April 2019. Retrieved February 2021. (世界保健機関、ファクトシート、デング熱と重度デング熱)

7 World Health Organization. Ten threats to global health in 2019. 2019. Retrieved February 2021. (世界保健機関、2019年版「世界の保健に対する10の脅威」)

8 Guzman MG, et al. Dengue: a continuing global threat. Nature Reviews Microbiology. 2010;8:S7-S16.

9 Knowlton K, et al. Mosquito-Borne Dengue Fever Threat Spreading in the Americas. The Natural Resources Defense Council (NRDC). 2009. Retrieved February 2021. (天然資源防護協議会、米大陸で蚊媒介デング熱の脅威が拡大)

10 Chan E, et al. Using web search query data to monitor dengue epidemics: a new model for neglected tropical disease surveillance. PLoS Negl Trop Dis. 2011;5:e1206.

11 Centers for Disease Control and Prevention. About Dengue: What You Need to Know. May 2019. Retrieved February 2021. (米国疾病対策センター、「デング熱について知っておくべきこと」)

12 UNICEF. Vaccination and Immunization Statistics. 2019. Retrieved February 2021. (UNICEF、2019年版「ワクチン接種・予防接種統計」)

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