米国との比較で高く評価される欧州のソフトウェア・ベンダー

プレスリリース発表元企業:Bryan, Garnier & Co

配信日時: 2021-05-27 19:16:00

米国との比較で高く評価される欧州のソフトウェア・ベンダー

ブライアン・ガルニエ&コーの調査が、欧州の証券取引所におけるバリュエーション・ディスカウント説に反証 欧州のソフトウェア企業95社および米国のソフトウェア企業97社(それぞれ29社および67社のSaaS事業者を含む)に関するリフィニティブのデータを分析した結果、意外な結果が得られました
米国と比較すると、収益マルチプルを3年間の平均予想成長率(CAGR)で加重した場合、欧州企業のバリュエーションは平均9%のプレミアムとなっています
株式市場での成功は、最終的には選ばれた証券取引所に依存しません


(パリ)-欧州の投資銀行のブライアン・ガルニエ&コーは本日、欧州のソフトウェア・ベンダーが構造的に広く過小評価されていることを明確に否定する調査結果を発表しました。通常のEV/売上高マルチプル(企業価値/向こう1年間の予想売上高)と3年間の平均予想成長率(CAGR)を関連付けると、欧州のソフトウェア・ベンダーは、米国の競合他社と比べて、むしろ約9%(SaaS事業者の場合は8%)のプレミアムで取り引きされています。

この分析で、ソフトウェア・アナリストのグレゴリー・ラミレスは、リフィニティブの過去のアナリストによるコンセンサス・データがある欧州上場の95社と米国上場の97社のソフトウェア・ベンダー全てについて、2006~2020年の間のバリュエーションを比較しました。この中には、欧州のSaaSベンダー29社と米国のSaaSベンダー67社が含まれています。

単純な売上高マルチプルを表面的に見てみると、米国の事業者の過去15年間のマルチプルは9.9で、欧州の競合他社の5.6を大きく上回っています。しかし、単純な売上高マルチプルだけでなく、平均成長率1を考慮して株価を評価し、両者を並べてみると、全く違った様子が見えてきます。こうすると、来年度の予想売上高が持つ意味を考慮することになります。

例:2021年4月にセールスフォースの株式が収益マルチプル10(2022年の予想収益の10倍)で取引され、2020~2023年の予想平均収益成長率(CAGR)が20%である場合、比率は10/0.2/100となり、新たに算出した比率は0.50となります。アナリストが2021年4月までの15年間についてこの計算をしたところ、欧州の証券取引所に上場しているソフトウェア企業のバリュエーションが米国の上場企業と同等であるだけでなく、わずかに高いという驚くべき結果が得られました。欧州の場合、平均的なバリュエーションは米国の競合他社よりも9%高くなっています。同じ原理を29社または67社(米国)の上場SaaS事業者に4年間適用すると、ほぼ同じ結果となり、平均プレミアムは8%となります。

ラミレスは次のように説明しています。「この分析結果は、株式市場のバリュエーションの現実にずっと近いものです。このように平均成長率で加重することで、マルチプルが正規化されるため、単年度の短期成長期待値の重要性が相対化されます。」

この調査では、欧州で上場しているソフトウェア事業者の個別のバリュエーションの差が、米国の競合他社より大きいことも示されています。このような分散は、欧州のソフトウェア・ベンダーに多数の赤字企業が存在することや、株式の流動性で説明することはできません。一般的な偏見に反して、欧州で最も評価の高いソフトウェア株式は、必ずしも最も流動性が高いわけではなく、また、必ずしも最も流動性の高い市場に上場しているわけでもありません。

バリュエーションは株式市場で決まるものではない

ブライアン・ガルニエ&コーは、欧州のソフトウェア事業者のバリュエーションが不均質なのは、ビジネスモデルや業績、企業統治が大きく異なることが原因だと説明しています。とりわけ、米国企業はほとんどの場合、株式公開前に何度も資金調達を行い、長い成熟過程を経ていることに対し、欧州企業の成熟度は極めて多様です。

「これにより、証券取引所の所在地は、ソフトウェア企業のバリュエーションに決定的な影響を与えないことが明らかになりました。ビジネスモデルや経営の質、成熟度、これまでの実績が全てです」と、ブライアン・ガルニエ&コーのマネジングパートナーのグレッグ・レベニュは説明します。これは重要な洞察であり、それは「欧州企業にとって、米国でのIPOには多くの困難が伴うことが多いからです。」(グレッグ・レベニュ)ブライアン・ガルニエ&コーのパートナーでECMヘッドのピエール・キーコルトワールは、次のように述べています。「結局のところ欧州のソフトウェア企業の株式市場での成功が、選択した証券取引所に依存しないのであれば、欧州の証券取引所でのIPOに反対する理由は少しもありません。」

ウェビナー:

ソフトウェアのバリュエーション・ギャップの虚偽を暴く:米国で株式公開する欧州のソフトウェア企業
ブライアン・ガルニエ&コーは、5月27日(木)10:00~10:45(中央欧州時間)にウェビナーを開催し、調査結果について詳しく説明します。参加する >>

ブライアン・ガルニエ&コーについて(www.bryangarnier.com

ブライアン・ガルニエ&コーは、欧州のグロース重視の独立系フルサービス投資銀行パートナーシップであり、1996年に設立されました。当社は、成長企業とその投資家に、株式リサーチ、販売とトレーディング、私募と公募による資金調達、M&Aサービスを提供しています。当社は、テクノロジー、ヘルスケア、消費者およびビジネス・サービスなどの経済の重要な成長分野に重点を置いています。ブライアン・ガルニエ&コーは、完全登録のブローカーディーラーであり、英国ではFCA、欧州ではAMF、米国ではFINRAの認可を受け、その規制を受けています。ブライアン・ガルニエ&コーはロンドンに本社を置き、パリ、ミュンヘン、ストックホルム、オスロ、レイキャビク、ニューヨークにもオフィスを構えています。

1 CAGR - この場合、当年度と次の2年間の予想成長率の3年移動平均

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