Amazon Mechanical Turk、9月30日に終了 SageMaker Ground TruthのMTurkワーカー連携も廃止

2026年8月27日 23:48

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記事提供元:Tech Times

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米Amazonは、クラウドソーシングサービス「Amazon Mechanical Turk(MTurk)」を2026年9月30日に完全終了する。SageMaker Ground TruthとAmazon Augmented AI(A2I)については、サービス自体の終了ではなく、ラベリングジョブや人によるレビューワークフローで「Amazon Mechanical Turk Worker」を利用できなくなる。

現在のワーカーと発注者には、支払い情報の確認、必要なデータの保存、進行中の作業やシステム連携の移行が求められる。Amazonは終了理由について、プログラムやツール、サービスを評価した結果と説明するにとどめている。

■MTurkは9月30日に完全終了

Amazonは、MTurkを2026年9月30日に完全終了すると公式サイトで発表した。同サービスは、画像分類、データ検証、アンケート、文字起こしなど、コンピューターだけでは処理しにくい作業を小さなタスクに分け、オンライン上のワーカーへ委託できる仕組みとして2005年に始まった。

Amazonは2026年7月30日から新規顧客の受け入れを停止しており、既存ユーザーのみがサービスを利用できる状態となっていた。9月30日の終了に向け、発注者は進行中のタスクやAPI連携を整理し、必要な結果や取引情報を保存する必要がある。

SageMaker Ground TruthとAmazon Augmented AIにも影響が及ぶ。Amazonの公式FAQによると、9月30日以降、両サービスでラベリングジョブや人によるレビューワークフローを作成する際に、MTurkの公開ワーカーを指定できなくなる。

SageMaker Ground TruthやAmazon Augmented AIそのものが終了するわけではない。影響を受けるのはMTurkワーカーを利用する選択肢であり、専用の社内チームや外部事業者など、別のワークフォースを使う構成とは区別する必要がある。

■ワーカーと発注者が確認すべき期限

ワーカーは、MTurk Worker Portalで支払い方法と送金頻度を確認する必要がある。送金スケジュールを設定していない場合は、アカウント設定の支払い設定画面から登録する。

終了前に完了し、発注者から承認されたHITは、通常の支払いスケジュールに従って支払われる。HITはHuman Intelligence Taskの略で、MTurkを通じて発注される個々の作業を指す。

発注者は2026年10月30日まで、完了済みHITへのボーナスを付与できる。9月30日時点で承認待ちとなっているHITについても、発注者には承認または拒否を行うための30日間が与えられ、期間内に処理されなかったものは自動的に承認される。

一方、未提出のHITは9月30日に失効する。取引履歴は2027年1月28日まで閲覧できるため、ワーカーと発注者の双方が必要な記録を早めに保存しておくことが望ましい。

発注者は、前払い残高の返金に備えてRequester Portalの支払い情報も確認する必要がある。Amazonは、残高を終了後30日以内に全額返金する予定としている。

■ImageNetを支えた人手によるデータ収集

MTurkは、機械学習研究に必要な大規模データセットの構築でも重要な役割を果たした。代表例が、フェイフェイ・リー氏らの研究チームが構築した画像データベース「ImageNet」である。

2009年に発表されたImageNetの論文では、当時のデータベースが5,247のカテゴリに相当するシンセットと、合計320万枚の画像を収録していた。研究チームは、インターネットから集めた画像が各カテゴリに適合するかを確認する作業にMTurkを利用した。

ImageNetを使った画像認識競技では、2012年に深層学習モデルのAlexNetが高い性能を示した。この成果は、画像認識分野で深層学習が急速に普及する契機の一つとなった。MTurkは、大規模な人手による判断をオンラインで集約することで、こうした研究基盤の整備を支えた。

MTurkはその後も、自然言語処理、行動科学、心理学、経済学などの研究で、データの評価や実験参加者の募集に利用されてきた。人がモデルの出力を比較したり、文章や画像にラベルを付けたりする作業は、人間の評価をAI開発へ取り込むという点で、現在の人間参加型AI開発にも通じる構造を持つ。

一方、特定のAIサービスやモデルの学習データがMTurkによって作られたかどうかは、各開発企業が公開した情報に基づいて個別に判断する必要がある。MTurkがChatGPTなどの報酬モデルを直接構築したとする十分な公開資料は確認されていない。

■生成AIの普及で変わるデータ品質

生成AIの普及は、人間が作成した回答を集めるクラウドソーシング研究にも新たな課題をもたらした。スイス連邦工科大学ローザンヌ校などの研究者が2023年に公表した研究では、MTurkで医学論文の要旨を短くまとめるタスクを実施し、提出された要約の33〜46%がLLMを利用して作られたと推定した。

この数値は、46件の要約を対象とした特定の文章要約タスクから得られた推計である。画像分類やアンケートなど、MTurk上のほかの作業やワーカー全体に当てはめられる結果ではない。それでも、人間による文章生成や判断を必要とする研究では、回答の作成主体を確認することが難しくなっている状況を示している。

2025年にRoyal Society Open Scienceへ掲載された別の査読研究は、2024年に収集した1,300人超のデータを分析した。その結果、Amazonが実績に基づいて認定した「Master」資格を持つワーカーは、注意確認用の設問でほとんど誤答せず、回答の信頼性も高かった。一方、資格条件を設けないワーカーや、承認率95%以上のみを条件としたワーカーでは、注意確認の見落としや回答の一貫性に問題がみられた。

これらの研究は、MTurkのデータを一律に評価するのではなく、タスクの種類、参加者の選定条件、注意確認、回答生成過程などを含めた品質管理が重要だったことを示している。

■移行先は利用目的に応じて選ぶ

MTurkの代替先は、利用目的によって異なる。画像や文章のデータラベリング、モデル出力の評価、専門知識を要するデータ作成では、管理されたワークフォースを提供する事業者や、自社で選定した作業者を使う方法が候補となる。

Scale AI、Surge AI、Labelboxなどは、企業向けのデータ作成や評価に関連するサービスを展開している。Mercorは、法律、医療、工学などの専門知識を持つ人材とAI企業を結び付ける事業を手がける。ただし、各社の対応分野、品質管理、料金、データの保管場所、AWSとの連携方法は異なるため、MTurkからそのまま置き換えられるとは限らない。

学術研究やオンライン実験では、ProlificやCloudResearchなどが移行候補となる。研究チームは、参加者の属性管理、本人確認、重複参加の防止、研究倫理審査への対応、データの取得方法などを比較する必要がある。

AWS上でMTurkワーカーを使ったSageMaker Ground TruthまたはAmazon Augmented AIの処理を運用しているチームは、ワークフォースの指定部分だけでなく、認証、データ転送、品質管理、結果の取り込みまで含めて移行計画を確認する必要がある。Amazonは、MTurkワーカーに代わる特定のサービスを公式FAQで案内していない。

■21年続いた人間参加型プラットフォームの節目

MTurkは、安価な単純作業の市場にとどまらず、大規模なデータ収集やオンライン研究を可能にした基盤でもあった。一方、近年は自動ラベリングや生成AIが処理できる作業が増え、専門家による高度な評価を管理型サービスで集める市場も拡大している。

Amazonは、こうした市場変化が終了決定の直接的な理由だとは説明していない。AIによる自動化、データ品質の問題、専門家型サービスの成長などと今回の終了を因果関係で結び付けることはできず、確認できる公式理由は、サービス群を評価した結果という説明に限られる。

それでも、MTurkの終了は、匿名の多数のワーカーへ小さな作業を振り分ける方式から、作業者を選定して品質を管理する方式や、人とAIを組み合わせる方式へ、データ収集の重心が移りつつあることを改めて浮き彫りにする。

■注目ポイントQ&A

●Amazon Mechanical Turkはいつ終了しますか?

2026年9月30日に完全終了します。ワーカーは支払い方法と送金スケジュールを、発注者は返金に使われる支払い情報を確認してください。

●SageMaker Ground Truthも終了するのですか?

SageMaker Ground Truth自体の終了が発表されたわけではありません。2026年9月30日以降、ラベリングジョブのワークフォースとしてAmazon Mechanical Turk Workerを利用できなくなります。Amazon Augmented AIの人によるレビューワークフローも同様です。

●終了後もHITの承認や支払いは行われますか?

はい。発注者は2026年10月30日まで、提出済みHITを承認または拒否できます。期間内に処理されなかったHITは自動承認され、承認済みHITの報酬は通常の支払いスケジュールで支払われます。

●取引履歴はいつまで確認できますか?

2027年1月28日まで閲覧できます。必要な記録は、それまでに保存しておくことが推奨されます。

●AmazonがMTurkを終了する理由は何ですか?

Amazonは、プログラム、ツール、サービスを評価した結果として終了を決めたと説明しています。AIによる自動化やデータ品質、法規制などが決定に影響したかどうかは公表していません。

●MTurkの代替サービスはありますか?

用途によって候補が異なります。企業向けのデータラベリングやAI評価ではScale AI、Surge AI、Labelbox、Mercorなど、学術研究やオンライン実験ではProlificやCloudResearchなどが候補になります。機能、料金、品質管理、データ保護、システム連携を比較して選ぶ必要があります。

元記事: Amazon Mechanical Turk Will Close September 30, Shutting Down SageMaker Ground Truth Too

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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