米ビットコイン現物ETFから週3.9億ドル流出、マイナー売却も相場の重荷に

2026年8月20日 17:13

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記事提供元:Tech Times

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米国のビットコイン現物上場取引型商品(ETP)から、2026年8月14日までの1週間に3億8970万ドル(約620億円、1ドル=159円換算)が純流出した。暗号資産取引会社Wintermuteは、ETPからの資金流出とマイニング事業者によるビットコイン売却が重なり、新たな買い需要に乏しい状態が続いていると分析している。

米国の物価指標を受けて追加利上げ観測が後退した局面でも、ビットコインは6万5000ドルを上回る上昇を維持できなかった。もっとも、ETPの資金フローや取引所間の価格差は市場需給を示す複数の指標の一部であり、それだけで機関投資家全体の売買姿勢を断定することはできない。

■フィデリティを中心に週間で約3.9億ドル流出

8月10日から14日までの5営業日のうち、4営業日で米ビットコイン現物ETP全体の資金フローが純流出となった。月曜日には1億4467万ドル(約230億円)が流出し、週間の流出額を押し上げた。

商品別では、フィデリティの「Fidelity Wise Origin Bitcoin Fund(FBTC)」が1億5320万ドル(約244億円)で最大の流出となった。グレースケールの「Grayscale Bitcoin Trust ETF(GBTC)」は8830万ドル(約140億円)、ブラックロックの「iShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)」は7890万ドル(約125億円)、ARK 21Sharesの「ARK 21Shares Bitcoin ETF(ARKB)」は7030万ドル(約112億円)の流出だった。

ビットワイズの「Bitwise Bitcoin ETF(BITB)」からは3160万ドル(約50億円)、フランクリン・テンプルトンの「Franklin Bitcoin ETF(EZBC)」からは2390万ドル(約38億円)が流出した。

一方、すべての商品が資金流出となったわけではない。運用手数料が年率0.15%の「Grayscale Bitcoin Mini Trust ETF(BTC)」には7598万ドル(約121億円)、2026年に上場した「Morgan Stanley Bitcoin Trust(MSBT)」には708万ドル(約11億円)が流入した。

GBTCとBitcoin Mini Trustでは手数料水準が異なるため、両商品の資金フローには差が生じている。GBTCは2024年1月に取引を開始して以降、大幅な累計純流出を記録する一方、低コストのBitcoin Mini Trustには資金が流入する局面がみられる。

■物価指標後も6万5000ドルを突破できず

米労働統計局が8月12日に発表した2026年7月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.4%、前月比0.1%の上昇となった。食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比2.5%、前月比0.2%上昇した。

翌日に発表された7月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比4.7%上昇し、前月比では横ばいだった。8月8日までの週の新規失業保険申請件数は20万9000件となった。

これらの統計を受け、CME FedWatchで示される9月会合での追加利上げ確率は前週の約54%から低下した。ビットコインはCPI発表後に一時6万4000ドルを上回ったものの、上昇は続かず、週末には6万3000ドル付近まで下落した。

Wintermuteは、物価指標によって金融政策面の不安が和らいでも、ETPの資金流出とマイナーによる売却が同時に続けば、上昇を支える新たな需要が不足すると指摘した。好材料に対する値動きの鈍さを、需給の弱さを測る手掛かりとして捉えている。

■Riotのビットコイン売却とデータセンター事業

Wintermuteがマイナー売却の例として挙げたのが、米Riot Platformsである。同社は2026年第1四半期に3778BTC、第2四半期に4300BTCを売却し、6月末時点の保有量を1万1380BTCとした。

Riotは第2四半期に2億3700万ドル(約377億円)の純損失を計上した。同社が公表したビットコイン1枚当たりの採掘コストは、生産に直接関連する電力費などを基にした指標で約9万1000ドルに上昇した。

同社は同時に、テキサス州ロックデールの施設で191メガワットのIT容量を提供する20年間のデータセンター契約を締結した。Riotによると、当初契約期間の売上高は総額約91億ドル(約1兆4469億円)を見込む。契約相手について同社は「大手フロンティアAI研究所」と説明し、社名は公式発表で明らかにしていない。

この契約はRiotがビットコインマイニングを即座に終了することを意味するものではない。同社はマイニング事業を継続しながら、大規模データセンターの開発・運営を収益源に加える方針を示している。

また、Riotはビットコイン売却の理由として一般的な運転資金需要などを説明しているが、第2四半期の売却分がAIインフラへの転換費用に直接充てられたとする公式な内訳は示していない。マイナーの事業多角化と保有ビットコインの売却は、個別に確認する必要がある。

■ETPの資金流出が売り圧力になる仕組み

ビットコイン現物ETPの資金流出は、発行済み受益権の減少を通じて、商品が保有するビットコインの減少につながり得る。ただし、その処理方法は現金設定・解約と現物設定・解約で異なる。

現金解約では、運用主体側がビットコインを売却して指定参加者に現金を渡す場合がある。これに対し現物解約では、指定参加者が受益権を返却し、対価としてビットコインを受け取る。米証券取引委員会(SEC)は2025年7月、暗号資産ETPについて現物設定・解約を認めた。

したがって、ETPの純流出額と同額のビットコインが、カストディアンによって直ちに取引所で売却されるとは限らない。現物で受け取った指定参加者が、その後ビットコインを保有するか売却するかによって市場への影響は変わる。

一方、マイニング事業者による売却は、採掘で得たビットコインや保有資産を市場に供給する行為である。両者は発生する仕組みが異なるものの、同じ時期に供給が増えれば、価格上昇を抑える要因になり得るというのがWintermuteの見方だ。

■コインベースの価格差は米国側の需要を測る手掛かり

米国側の需給を観察する指標の一つに「Coinbase Premium Index」がある。これは、CoinbaseとBinanceにおけるビットコイン価格の差を比率で示したものだ。

プラスの場合はCoinbaseの価格がBinanceを上回り、マイナスの場合は下回る。Coinbaseが米国の投資家に広く利用されていることから、この指標は米国市場の買い圧力を探る参考値として使われている。

CoinGlassのデータに基づく報道では、同指数は5月19日から8月16日まで90日連続でマイナスとなり、過去最長の連続記録を更新した。

ただし、取引所間の価格差は参加者の売買だけでなく、流動性、取引量、市場構造、裁定取引などの影響も受ける。長期間のマイナスはCoinbase側の相対的な買い圧力の弱さを示す一方、米国の機関投資家が一律に市場から撤退したことを直接示す指標ではない。

■一部の暗号資産商品には資金流入

ビットコイン以外の暗号資産連動商品では、選別的な資金流入がみられた。8月14日までの週に、ソラナ連動商品には1026万ドル(約16億円)、XRP連動商品には225万ドル(約3億6000万円)、HYPE連動商品には274万ドル(約4億4000万円)が流入した。イーサ連動商品は約226万ドル(約3億6000万円)の小幅な純流出だった。

この1週間のデータは、ビットコイン連動商品から資金が流出する一方、一部の暗号資産商品には資金が入ったことを示す。ただし、単週のフローだけで暗号資産市場全体の継続的な資金移動を判断することは難しい。

米機関投資家がSECに提出した2026年第2四半期のフォーム13Fでは、モルガン・スタンレーがIBITとFBTCの保有を前四半期から増やしたことも確認された。週間のETPフローと四半期末時点の保有開示は対象期間と意味が異なるため、短期的な解約動向と中期的な機関投資家の保有状況は分けて見る必要がある。

■CLARITY法案は9月15日に手続き上の採決

規制面では、米議会で審議中の「Digital Asset Market Clarity Act of 2025(CLARITY法案、H.R.3633)」が焦点となる。同法案は、デジタル資産を巡るSECと商品先物取引委員会(CFTC)の管轄や、取引所、ブローカーなどの規制枠組みを整備することを目的としている。

法案は2025年7月に下院を294対134で通過し、2026年には上院銀行委員会で修正案の審議が進んだ。上院では9月15日、法案の審議開始に向けた討論終結手続きについて採決が予定されている。

これは法案成立を決める最終採決ではない。討論終結には原則として60票が必要で、その後も上院での法案審議や採決、下院との文言調整、大統領への送付といった手続きが残る可能性がある。

規制枠組みの明確化は市場参加者の判断材料になる一方、法案の成立が特定の機関投資家によるビットコインETP購入を直ちに促すとは限らない。資産配分は各組織の投資方針、リスク管理、法令、保管体制など複数の条件に左右される。

■マイナーの事業多角化が今後の売却行動を変える可能性

大規模な電力設備を保有するマイニング事業者の一部は、その設備をAIや高性能コンピューティング向けデータセンターにも活用し始めている。電力と施設を長期契約で提供できれば、ビットコイン価格や採掘収益だけに依存しない収益源となる。

この事業多角化は、将来のビットコイン売却行動を変える可能性がある。ただし、データセンターの建設費、稼働開始時期、契約条件、マイニング事業の継続規模は企業ごとに異なる。AI関連契約の獲得が、そのままマイナー全体の売り圧力低下につながるとは断定できない。

足元では、ETPからの資金流出とマイナーによる供給が重なり、ビットコインの上昇を抑えているという見方が出ている。今後はETPのフロー、マイナー各社の保有量と売却方針、米国の金融政策、エネルギー価格、規制法案の審議をそれぞれ確認する必要がある。

本記事は情報提供を目的としたものであり、金融商品または暗号資産への投資を推奨するものではない。

■注目ポイントQ&A

●インフレ指標が落ち着いてもビットコインが上昇しなかったのはなぜですか?

物価指標を受けて追加利上げ観測が後退した一方、米ビットコイン現物ETPからの資金流出とマイナーの売却が続いたためです。Wintermuteは、新たな買い需要が供給を吸収できなかったことが上値を抑えたと分析しています。

●ETPから資金が流出すると、同額のビットコインが市場で売られるのですか?

必ずしもそうではありません。現金解約では運用主体側による売却が生じる場合がありますが、現物解約では指定参加者がビットコインを受け取ります。その後に保有するか売却するかによって、市場への影響は変わります。

●Coinbase Premium Indexがマイナスであることは何を示しますか?

Coinbaseのビットコイン価格がBinanceを下回り、Coinbase側の買い圧力が相対的に弱いことを示します。ただし、取引所の流動性や裁定取引などにも左右されるため、米国の機関投資家全体が売り手になっていることを直接示す指標ではありません。

●Riotはビットコインマイニングから撤退するのですか?

撤退は発表していません。Riotはビットコインマイニングを事業の一つとして継続しながら、AIなどに使われる大規模データセンターの開発・運営を拡大しています。

●9月15日にCLARITY法案の成立が決まるのですか?

法案成立を決める最終採決ではありません。予定されているのは、上院で法案の審議を進めるための討論終結に関する手続き上の採決です。可決された場合も、その後の審議や採決などが必要になる可能性があります。

元記事: Bitcoin ETF Outflows Hit $390M as Miner Selling Blocks BTC Breakout, Wintermute Warns

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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