OpenAI社長らが資金拠出する政治団体、米下院AI小委メンバーの再選支援に31万ドルを拠出

2026年8月17日 11:30

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フロリダ州第25選挙区の民主党下院予備選挙を前に、AI業界関係者が資金を拠出するスーパーPAC「Think Big」が、現職のジャレッド・モスコウィッツ下院議員を支援する独立支出として30万9574ドル(約4922万円、1ドル=159円換算)を届け出た。投票日は2026年8月18日で、モスコウィッツ議員と、アメリカ民主社会主義者(DSA)の支援を受けるオリバー・ラーキン氏が民主党候補の座を争う。

モスコウィッツ議員は、下院司法委員会の「裁判所・知的財産・人工知能・インターネット小委員会」に所属する。同小委員会は、著作権、特許、商標、情報技術などを所管し、AI政策に関する公聴会も開いている。AIの統一的な連邦ルールを求める業界系政治団体が、関連政策を扱う小委員会のメンバーを支援した形だ。

■AI業界関係者が支えるスーパーPAC

Think Bigは、AI政策を主な争点とする政治団体ネットワーク「Leading the Future」の民主党候補向け部門である。同ネットワークは2025年に1億2500万ドルの資金や拠出確約を集めたと発表しており、OpenAI社長のグレッグ・ブロックマン氏、同氏の妻アンナ・ブロックマン氏、ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitzを率いるマーク・アンドリーセン氏とベン・ホロウィッツ氏、Palantir共同創業者のジョー・ロンズデール氏らが支援者に名を連ねる。OpenAIによる企業献金ではなく、ブロックマン氏ら個人や投資家による資金拠出である。

Leading the Futureは、州ごとに異なるAI規制が並立する状況を避け、全米で統一された政策枠組みを整えるよう求めている。Think Bigは民主党候補を、別の関連団体American Missionは共和党候補を主な支援対象として活動する。

Think Bigによるモスコウィッツ議員への30万9574ドルは、同議員の選挙運動へ直接寄付された資金ではない。スーパーPACが候補者の陣営とは独立して広告や有権者への働きかけなどに使う「独立支出」であり、FECの記録では2026年8月3日付の複数の支出として報告されている。

同団体は2026年のニューヨーク州第12選挙区民主党予備選で、州レベルのAI安全法制定に関わったアレックス・ボアーズ氏を落選させるため、800万ドルを超える独立支出を行った。今回の支出額はそれより小さいものの、AI関連政策を扱う下院小委員会の現職メンバーを支援している点で、業界の政策的な関心が表れた事例といえる。

■現職とDSA系候補、11対1の資金格差

モスコウィッツ議員に挑むオリバー・ラーキン氏は34歳の元労働組合オルガナイザーで、DSAの支援を受けている。国民皆保険制度「Medicare for All」、最低賃金の引き上げ、育児支援、化石燃料からの転換、企業や富裕層による政治資金の影響力縮小などを掲げ、企業PACからの献金を受け取らない方針を示している。

選挙戦終盤の手元資金は、モスコウィッツ議員が188万2634ドル(約2億9934万円)、ラーキン氏が16万9741ドル(約2699万円)で、約11対1の開きがある。モスコウィッツ議員に対してはThink Bigのほか、中道・穏健派の民主党候補を支援するNew Democrat Majorityも25万ドルの独立支出を報告した。

これらの独立支出と、候補者本人の選挙資金は区別する必要がある。スーパーPACの資金は候補者の選挙運動に渡されるものではなく、陣営と連携せずに実施される広告などへ使われる。したがって、外部団体の支出額を候補者への直接献金として合算することはできない。

■大きく食い違う二つの世論調査

予備選を巡る世論調査では、調査主体によって大きく異なる結果が出ている。Beacon Insightsが7月22日に民主党予備選の投票見込み者532人を対象に実施し、7月31日に報じられた調査では、モスコウィッツ議員が55.6%、ラーキン氏が19.9%だった。すでに郵便投票を済ませたと答えた層では、モスコウィッツ議員が75.3%、ラーキン氏が19.3%だった。調査の誤差はプラスマイナス4.25ポイントである。

一方、ラーキン陣営が委託し、Center for Strategic Politicsが8月5日に投票見込み者403人を対象として実施した調査では、モスコウィッツ議員40%、ラーキン氏38%となった。誤差はプラスマイナス4.87ポイントで、両候補の差は誤差の範囲内だった。同調査は、まだ投票していない回答者に限るとラーキン氏が10ポイント上回ったとしている。

二つの結果には、対象者の抽出方法や「投票する可能性が高い有権者」の設定などの違いが反映されている可能性がある。特に後者はラーキン陣営が費用を負担した内部調査であるため、その点を踏まえて読む必要がある。

■共和党寄りに再編されたフロリダ州第25選挙区

フロリダ州第25選挙区は、2026年に行われた選挙区再編で区域が大きく変更された。新たな選挙区はパームビーチ、ブロワード、マイアミ・デイド各郡の一部を含み、海岸沿いのデルレイビーチからマイアミビーチまで延びる。従来は第23選挙区選出だったモスコウィッツ議員が、この新しい第25選挙区で再選を目指している。

2024年大統領選の結果を新しい区割りに当てはめると、ドナルド・トランプ氏が約9ポイント上回った地域になる。Cook Political ReportやSabato’s Crystal Ballなど複数の選挙分析機関は、11月の本選を「Toss-up(互角)」に分類している。モスコウィッツ陣営の推計では、登録有権者の構成は無党派35.9%、共和党32.9%、民主党31.2%で、ユダヤ系有権者は約25%とされる。

モスコウィッツ議員は2012年から2019年までフロリダ州下院議員を務め、その後、共和党のロン・デサンティス州知事の下で州緊急事態管理局長を務めた。2022年に連邦下院議員へ初当選し、現在は2期目である。イスラエル支持の立場を明確にしている一方、ラーキン氏は米国によるイスラエルへの軍事援助終了を訴えており、外交政策も両候補の大きな相違点となっている。

■政治資金の透明性を巡る告発

Think BigとAmerican Missionについては、選挙資金の支出先を適切に開示していないとの申し立ても行われている。選挙資金制度を監視する非営利団体Campaign Legal Centerは2026年5月5日、両団体が新設された企業を経由して支出し、実際にサービスを提供した再委託先を開示していないと主張する告発状をFECへ提出した。

告発状は、これらの企業が正規の事業者ではなく、支払先を見えにくくする決済の中継役として使われた疑いがあるとしている。これはCampaign Legal Centerによる申し立てであり、告発内容についてFECが違反を認定したことを意味しない。

■AI政策と選挙資金が交差する予備選

今回の支出だけを根拠に、モスコウィッツ議員の具体的なAI政策や今後の投票行動を判断することはできない。一方で、AI業界関係者が支援する団体が、著作権、特許、情報技術などを所管する小委員会の現職メンバーを選挙面で支援したことは、AI政策と政治資金の接点を示している。

ラーキン氏は、企業やスーパーPACの資金が政治へ与える影響を選挙戦の争点に据えている。モスコウィッツ議員は知名度、選挙資金、郵便投票を済ませた層での支持に強みを持ち、ラーキン氏はボランティアを中心とした戸別訪問や電話、メッセージによる運動を展開する。8月18日の予備選は、両候補の政策だけでなく、現職の組織力と草の根型の選挙運動のどちらが有権者を動かすかを測る選挙となる。

元記事: OpenAI’s Political Machine Backs FL-25 Incumbent on AI Oversight Panel

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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