シャトル由来のRS-25エンジン最終4基を納入 アルテミスIIIで最後の飛行へ

2026年7月25日 15:39

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記事提供元:Tech Times

NASA conducted a long duration hot fire of an RS-25 certification engine March 21, 2025, continuing a key series of testing to support future Space Launch System missions to deep space as part of Artemis missions as the agency continues to inspire the world through discovery. (Nasa.gov)

NASA conducted a long duration hot fire of an RS-25 certification engine March 21, 2025, continuing a key series of testing to support future Space Launch System missions to deep space as part of Artemis missions as the agency continues to inspire the world through discovery. (Nasa.gov)[写真拡大]

スペースシャトル時代のハードウェアを中核に持ち、実際に飛行する最後のロケットエンジン4基が、ニューオーリンズにあるNASAのミシュー組立施設へ到着した。博物館に収蔵されるのではなく、月探査計画に投入される。

L3Harris Technologiesは2026年7月22日、4基のRS-25メインエンジンをミシュー組立施設へ納入し終えたと発表した。同施設では、アルテミスIIIに使用されるSLS(スペース・ローンチ・システム)ロケットのコアステージに、4基を垂直に取り付ける。この納入により、米国の有人宇宙飛行用推進システムにおけるシャトル由来エンジンの時代は終わりに近づく。アルテミスV以降のSLSでは、シャトル計画から転用した機体ではなく、最新の積層造形技術などを用いて新たに製造したエンジンが使用される。

■すでに36回のシャトルミッションを経験した4基

今回納入されたエンジンは新品ではない。4基はスペースシャトルの計36回のミッションで宇宙飛行士や物資を運んだ。これには国際宇宙ステーション(ISS)の組み立て飛行や、マーキュリー計画の宇宙飛行士で元上院議員のジョン・グレンがSTS-95で宇宙へ復帰した1998年10月の飛行も含まれる。シリアル番号はE2048、E2052、E2054、E2057で、各エンジンを繰り返し飛行させ、整備して再び使用することが前提だった製造時代のものだ。

L3Harrisは、その再飛行を実現するための改修を行った。アルテミス計画の最初の4ミッションに向け、エンジンへ最新のデジタルコントローラーを搭載するとともに、シャトルよりも厳しいSLSの運用環境に対応する新しい断熱材を追加した。SLSでは、シャトル時代よりもエンジンを高い出力で運転する。

スペースシャトル計画でRS-25に求められた最も厳しい運転条件は、当初の定格出力に対して104.5%だった。SLSでは109%で運転する。この出力で4基を同時に作動させることにより、合計200万重量ポンド(約907トン重)を超える推力を発生させ、アルテミスIIIでOrion(オリオン)宇宙船と乗組員を軌道へ送り込む。

■ロケットを垂直にしたままエンジンを取り付ける新手順

アルテミスIIIでは、エンジンだけでなく統合作業の手順にも初めての試みが導入される。これまでのSLSミッションでは、コアステージを水平に置いた状態でRS-25エンジンを取り付けていた。アルテミスIIIではNASAとボーイングが、発射台に立つときと同じようにコアステージを直立させた状態でエンジンを統合する。

この変更には実務上の利点がある。コアステージを垂直にすると、技術者が各エンジンの取り付け部、配線、配管にアクセスしやすくなる。また、従来はロケットのほかの部分と積み重ねる前に、組み立て済みのコアステージを回転させる必要があったが、その工程も不要になる。L3Harrisによると、この方法によって取り付け作業を簡略化し、迅速化できる。

統合完了後、ボーイングとNASAの技術者はエンジンのジンバル機構を最終確認する。これはエンジンを全方向へ最大8.5度傾け、ロケットの進行方向を制御するための機械式アクチュエーターである。その後、全長212フィート(64.6メートル)のコアステージを台船「ペガサス」に積み込み、フロリダ州のケネディ宇宙センターへ輸送する。

■アルテミスIIIが実施すること、実施しないこと

アルテミスIIIについては、明確に訂正しておくべき一般的な誤解がある。同ミッションは月面着陸ミッションではない。

NASAは2026年2月、アルテミスIIIの位置付けを変更した。当初は1972年12月のアポロ17号以来となる初の有人月面着陸を計画していたが、現在は地球低軌道で実施する有人試験飛行となっている。

ミッションでは、ランディ・ブレスニク船長、欧州宇宙機関(ESA)のルカ・パルミターノ操縦士、NASAのミッションスペシャリストであるフランク・ルビオとアンドレ・ダグラスの4人が、SLSで打ち上げられるOrionに搭乗する。Orionの欧州サービスモジュールを推進に使用して地球低軌道上で軌道を円軌道化した後、商用月着陸船のうち一方または両方の試験機とランデブーおよびドッキングの実証を行う。対象となるのは、SpaceXの「Starship Human Landing System」とBlue Originの「Blue Moon Mark 2」だ。

NASAのジャレッド・アイザックマン長官は、再構成されたミッションをアポロ9号になぞらえた。アポロ9号は1969年に地球周回軌道で月着陸船を試験し、アポロ11号による月面着陸のリスクを低減したミッションである。考え方は同じだ。乗組員を深宇宙へ送り、月面着陸を試みる前に、地球から救助可能な範囲でドッキング用インターフェース、宇宙服、着陸船システムを検証する。

アルテミス計画で最初の有人月面着陸を担うのは、NASAが2028年初頭の実施を目指しているアルテミスIVとなった。同ミッションが成功すれば、1972年12月にアポロ17号の乗組員がタウルス・リットロウ渓谷を離れて以来、55年ぶりに人類が月面に立つことになる。

NASAのアルテミスIIでは、リード・ワイズマン、ビクター・グローバー、クリスティーナ・コック、カナダ宇宙庁のジェレミー・ハンセンからなる乗組員が、月を周回する約10日間の飛行を終え、2026年4月10日にサンディエゴ沖の太平洋へ着水した。その後、NASAのアミット・クシャトリヤ副長官は、計画が一つの節目を越えたと述べた。「月面への道は開かれた。しかし、これから取り組むべき仕事は、これまでに成し遂げた仕事よりも多い」とクシャトリヤ副長官は語った。

今回のRS-25の納入は、NASAが予定通りその道を進もうとしていることをハードウェア面から示す最新の動きである。

■シャトル由来のエンジンを計画的に使い切る理由

アルテミスIIIでシャトル由来の最後のRS-25エンジンを使用するのは、想定外の事態や供給不足によるものではない。当初からの計画だ。

スペースシャトル計画から転用された16基のRS-25は、当初からアルテミス計画の最初の4ミッションだけに使用する予定だった。シャトルでは飛行のたびにエンジンを慎重に取り外し、整備と再認定を経て再利用していた。これに対し、SLSのRS-25は使い捨てである。打ち上げから約8分後、コアステージとともにロケットから分離され、大西洋へ落下して失われる。シャトル時代の在庫はアルテミスIVの打ち上げまでに使い切る計画である。

その後を担うのが、L3Harrisが新たに製造するRS-25だ。

■積層造形で変わるRS-25と30%のコスト削減

新造RS-25は、航空宇宙分野でいう「フォーム・フィット・ファンクション」、すなわち形状、取り付け互換性、機能について、シャトル由来のエンジンとの同等性を維持する。同じ取り付け部に装着でき、同じ流路構成で同じ推進剤を使用し、置き換えるエンジンと同等の真空比推力を発生させる。一方、部品の製造方法は根本的に異なる。

特に大きく変わったのが、飛行に不可欠な部品への積層造形、いわゆる3Dプリンティングの導入だ。従来型RS-25のポゴ・アキュムレーターは、飛行中に機体を不安定にする振動を防ぐため、液体酸素の流れを調整するビーチボールほどの大きさの緩衝装置である。従来は数十個の部品から作られ、100カ所を超える溶接で接合されていた。新造エンジンでは、同じ部品を一体構造として造形する。NASAによると、溶接をなくしたことで同部品の製造コストは約35%削減され、製造時間は80%以上短縮された。

ノズルジャケットは、さらに大幅な設計変更を受けた。スペースシャトル・メインエンジンでは、ノズルジャケットを37個の部品から製作し、位置合わせと溶接を行う必要があった。新造版では、RS-68エンジン計画から採用した熱間等方圧加圧(HIP)接合法を使用し、4個の部品から組み立てる。

液体水素と液体酸素を、最高6,000°F(3,316℃)、1平方インチ当たり3,000ポンドの圧力下で燃焼させるエンジンの中核部品、主燃焼室にも、同じHIP接合によるライナーとジャケットの製造工程が使われている。

エンジン全体では、固定式の推進剤ダクトを選択的レーザー溶融法(SLM)で製造するようになった。SLMは積層造形の一種で、板材を曲げて溶接する代わりに、複雑な形状のダクトを直接造形できる。

これらの変更を合わせた効果として、L3Harrisは、新造エンジンについてシャトル時代のスペースシャトル・メインエンジンより30%のコスト削減を目標としていることを明らかにした。NASA監察総監室から数十億ドル規模の予算超過を指摘された計画にとって、無視できない数字である。

同時に性能も向上する。アルテミスV以降、各SLSに搭載される4基のRS-25は、すべて当初の定格出力の111%で運転される。これはアルテミスI~IVの構成より2ポイント高く、シャトル運用時の一般的な最大運転レベルを約6ポイント上回る。

新造エンジンの1号機であるシリアル番号20001は、2025年6月20日、ミシシッピ州のステニス宇宙センターにあるフレッド・ヘイズ試験設備で、実飛行と同じ時間にわたる燃焼受け入れ試験を完了した。試験チームは、実際のSLS打ち上げシーケンスと同じ500秒間エンジンを燃焼させ、出力を111%まで引き上げた。新造2号機のシリアル番号20002も、2025年11月に同様の受け入れ試験を完了した。

L3Harrisはステニスの施設で、年間4基の生産を目指している。これは、同社の宇宙推進・電力システム部門プレジデントであるクリスティン・ヒューストンがアルテミスIII向けエンジンの納入後に言及した、SLSの年1回の打ち上げペースを支えるために必要な生産数だ。

■ミシュー組立施設で今後行われる作業

アルテミスIII向けのRS-25エンジン4基がミシュー組立施設に揃ったことで、ボーイングはSLSコアステージのエンジンセクションへの機械的な取り付けと位置調整を開始する。このエンジンセクションは、コアステージ上部がミシュー組立施設から搬出され、台船でケネディ宇宙センターへ運ばれた2026年4月以降、コアステージのタンク構造と統合されている。

構造の統合とエンジンのジンバル機構の点検が終わると、完成したコアステージはNASA専用の大型輸送船「ペガサス」に積み込まれる。その後、メキシコ湾沿いの航路を通ってケネディ宇宙センターへ運ばれ、同センターのロケット組立棟で、すでに準備が進む固体ロケットブースターや上段の構成部品と積み重ねられる。

ケネディ宇宙センターでは2026年7月に打ち上げカウントダウンのシミュレーションが始まり、固体ロケットブースターの各セグメントも移動式発射台に設置されている。アルテミスIIIのOrion宇宙船には2028年1月という内部準備目標が設定されており、2027年後半の打ち上げ時期は実現可能ではあるものの、なお意欲的な日程となっている。

L3Harrisのヒューストンは、「今回の納入によって、アルテミスIIIの2027年打ち上げに向けた計画が維持されるとともに、定期的な月ミッションを可能にする年1回の打ち上げペースへのNASAの移行が支えられる」と述べた。

かつて国際宇宙ステーションの建設を支え、ジョン・グレンを再び軌道へ運んだエンジンは今、最後の飛行に向け、まったく新しい目的地を目指している。

■注目ポイントQ&A

●アルテミスIIIは月面に着陸しますか?

いいえ。NASAは2026年2月にアルテミスIIIの計画を再構成しました。現在は地球周回軌道での試験ミッションであり、ランディ・ブレスニク船長、ESAのルカ・パルミターノ操縦士、NASAのミッションスペシャリストであるフランク・ルビオとアンドレ・ダグラスの4人が参加します。乗組員は地球低軌道で、SpaceXのStarship Human Landing SystemやBlue OriginのBlue Moon着陸船の試験機とランデブーおよびドッキングを行います。最初の有人月面着陸は、NASAが2028年初頭の実施を目指しているアルテミスIVの目標となりました。

●シャトル時代のRS-25と、アルテミスV以降の新造エンジンは何が違うのですか?

新造RS-25は、シャトル時代のエンジンと同じ基本的な二段燃焼サイクルと流路構成を採用していますが、主要部品は従来の製造方法ではなく、積層造形(3Dプリンティング)を用いて製造されます。ノズルジャケットの部品数は37個から4個に減りました。液体酸素系の緩衝装置であるポゴ・アキュムレーターは一体造形され、100カ所を超える溶接が不要になり、同部品のコストは約35%削減されます。L3Harrisによると、エンジン全体ではシャトル時代より30%のコスト削減を見込んでいます。運転出力も高くなり、当初の定格出力に対して、アルテミスI~IVでは109%、スペースシャトル計画末期では約104.5%だったのに対し、新造エンジンでは111%となります。

●なぜSLSのRS-25は、スペースシャトルのように再利用されないのですか?

スペースシャトルのRS-25は、打ち上げのたびに機体から取り外し、整備と再認定を経て次のミッションで使用するよう設計されていました。SLSでは、4基のRS-25を含むコアステージが打ち上げから約8分後に分離され、海へ落下します。NASAの評価では、年1回の打ち上げに必要な生産規模では、エンジンを回収して整備するよりも、新たに製造する方が経済的に有利と判断されました。L3Harrisによると、新造エンジンは1基当たりのコストを30%削減できるため、ミッションごとに新品を製造する方が、シャトル時代の整備・再利用工程よりも経済性に優れるとされています。

●アルテミスIIIはいつ打ち上げられ、後続の月面着陸に向けて何を実証するのですか?

NASAとL3Harrisは、アルテミスIIIの2027年後半の打ち上げを目指しています。このミッションでは、OrionがSpaceXやBlue Originの商用月着陸船と正常にランデブーおよびドッキングできることを検証します。これらのシステムは、NASAの有人宇宙船とドッキングした実績がありません。地球周回軌道という比較的安全な環境で実証することにより、NASAが2028年初頭の実施を目指すアルテミスIVのリスクを低減します。アルテミスIVは、アポロ計画終了後初となる、有人での月南極着陸を目指すミッションです。

元記事: Shuttle-Era Engines Make Final Flight: RS-25s Delivered for Artemis III

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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