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15MW級洋上風力で世界初、男鹿・潟上・秋田沖事業が耐震設計の適合性認証を取得

(Jnbp.com)[写真拡大]
秋田県沖で進められる315MW規模の「男鹿・潟上・秋田沖」洋上風力発電事業が、15MW級の着床式洋上風力発電として世界で初めて耐震設計の適合性認証を取得した。第三者認証機関のビューローベリタスジャパンが、極めて稀な地震荷重を考慮した日本の技術基準への適合を確認した。北海などの先行地域にはない地震リスクに対応する設計手法が認められた形であり、同じく環太平洋火山帯に位置するアジア各国のプロジェクトにとっても重要な参照モデルとなる。本事業は2028年6月の商用運転開始を目指している。
■ビューローベリタスの検証内容と耐震設計の違い
ビューローベリタスジャパンによる適合性評価は、サイト条件評価、統合荷重解析、およびすべての構成要素に関する詳細設計検証の3分野に及んだ。前者の2つは洋上風力の認証における標準的な項目だが、詳細設計検証においては、欧州の設計で重視される風、波、ローター周波数荷重の上に、地震荷重を組み合わせるという日本独自の要件が加えられている。
北海などの欧州海域では、モノパイル基礎(海底に数十メートル打ち込む大口径の鋼管)の主な構造的課題は波による荷重であり、地震リスクが極めて低いため耐震設計はほとんど考慮されてこなかった。一方、環太平洋火山帯に位置する日本では状況が大きく異なる。2011年の東日本大震災(マグニチュード9.0)後の調査では、神栖風力発電所において地震に起因する地盤の液状化が発生し、モノパイル基礎が傾斜する事例が報告された。日本の技術基準は、こうした実社会での破壊モードを防ぐために整備されている。
男鹿・潟上・秋田沖の基礎設計チームはCOWIが主導し、鹿島建設および構造制御・制震技術を専門とする小堀鐸二研究所が協力した。小堀鐸二研究所の技術により、地震時の非線形な地盤と構造物の相互作用、すなわち砂質地盤が液状化してモノパイルにかかる水平荷重に耐えられなくなる現象を解析モデルに組み込むことが可能となった。この設計には、極端な風、暴風波、そして極めて稀な地震イベントを単独ではなく同時に考慮する複合ハザード荷重解析が用いられている。
■ヴェスタス製「V236-15.0 MW」採用による世界的意義
男鹿・潟上・秋田沖プロジェクトに導入される21基の風車は、ヴェスタス(Vestas)製の「V236-15.0 MW」である。ヴェスタスがこの機種を選んだこと自体が、今回の基礎設計認証がこれほど重要である理由を理解する鍵となる。V236はダイレクトドライブ方式ではなく、ZF Wind Power製の3段遊星ギアボックスと永久磁石同期発電機を組み合わせた構成を採用している。ローター径は236メートル、ブレード長は115.5メートルに達し、受風面積は約4万3,742平方メートルに及ぶ。これは商業用洋上風車としては最大級であり、サイト条件によって差はあるものの、1基あたり年間約80GWh(一般家庭約2万世帯分)の電力を供給できる能力を持つ。
大型風車を採用する経済的合理性は明確であり、日本がエネルギー目標を達成するためにこのクラスの風車を必要とする理由を示している。かつて秋田港・能代港のプロジェクトで導入された4.2MW級の風車(Vestas V117)では、139MWの出力を得るために33基の設置が必要だった。これに対し、男鹿・潟上・秋田沖では21基で315MWを出力できる。基礎1基あたり数百万ドル規模の鋼材・エンジニアリング・工事船の費用がかかるため、メガワットあたりの基礎本数を減らすことが発電コスト引き下げの主要な手段となる。V236は、従来のV174-9.5 MWプラットフォームと比較して年間発電量が65%増加し、設備利用率は60%を超えており、ヴェスタスがこれまでに製造した中で最もエネルギー密度の高い風車となっている。
このプロジェクトは日本国内にとどまらず世界的にも注目されている。日本で初めて15MW級の風車が導入される事例であり、中国を除く欧州域外においても、このサイズの大型風車が適用される初のケースとなる。
■日本の10GW目標と市場の課題
日本政府は2020年12月、洋上風力発電の導入目標として2030年までに10GW、2040年までに30〜45GWを掲げた。しかし、日本風力発電協会の速報値によると、2024年末時点の運転開始済み容量は253.4MWにとどまっている。2030年まで残り4年というタイミングで現在の約39倍に増やす必要があるが、このギャップは技術的な問題というより市場や政策の枠組みに起因する部分が大きい。
世界風力会議(GWEC)は、日本の10GWという数値について「案件形成目標(オークションにかけられる段階に達する目標)」と位置づけており、実際の運転開始を保証するものではないと指摘する。GWECの予測では、2030年時点での日本の洋上風力設置容量は約3.5GW(目標の約35%)にとどまると見込まれている。
市場の逆風も顕著だ。2025年8月には、建設コストの20%以上の増加や風車価格の約2倍の高騰を理由に、三菱商事が第1回公募(ラウンド1)で獲得した3事業(計1.7GW)からの撤退を表明した。そうした中でも、2023年の第2回公募(ラウンド2)で選定された男鹿・潟上・秋田沖事業は計画を進めている。JERAの奥田久徳社長は2026年1月の工事着工に際し、「コストが実際に上昇しており厳しい環境にあるが、あきらめずに日本での洋上風力事業の可能性を示したい」と述べた。
サプライチェーンの構築も進んでいる。2026年5月、DEMEは五洋建設との合弁会社ジャパン・オフショア・マリン(JOM)を通じて風車設置工事契約を獲得した。DEMEの受注シェアは最大5,000万ユーロ(約5,700万ドル、2026年7月23日時点のレートによる概算/さらに約93億4,800万円、1ドル=164円換算)に上る。施工には1,600トン吊りクレーンと82.5メートルのレグを備えたSEP船(自己昇降式作業台船)「Sea Challenger」が投入され、2027年後半から日本国旗を掲げて洋上工事を開始する予定だ。風車部材や基礎は秋田港を基地港とし、運転保守(O&M)は船川港を拠点として、東北電力の秋田変電所へ送電される。
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成における再生可能エネルギーの比率を、計画の基準時点で約20%とされる水準から40〜50%に引き上げる目標が掲げられた。現在約1%にとどまる風力発電は4〜8%への拡大を目指しており、洋上風力がその主力を担う。また政府は、2040年までに洋上風力サプライチェーンの国内調達比率を65%以上にする目標も設定している。
■環太平洋地域におけるレファレンスデザインへ
男鹿・潟上・秋田沖における工学的な節目は、日本以外の地域にとっても大きな意味を持つ。これまで着床式洋上風力は、主に北海の海底条件を前提に開発されてきた。DNVやビューローベリタスをはじめとする欧州の認証機関の基準は、波荷重が主であり地震が問題とならない海域での数十年にわたる施工実績に基づいている。しかし、日本、台湾、韓国、フィリピン、インドネシアなど環太平洋火山帯に位置する国々では、風、波、地震の複合荷重を同時に考慮した設計が不可欠となる。
DNVは、地震が支配的な設計条件となる環太平洋地域での洋上風力拡大を受け、2026年に地震設計に関する推奨作業指針(DNV-RP-0585)を改定した。また、デルフト工科大学やビューローベリタスなどが参加するCarbon Trustの「DONISIS」プロジェクトでも、飽和砂質地盤の非線形挙動や液状化による傾斜リスクなど、モノパイル基礎の地震地盤相互作用に関する理解を深める取り組みが進められてきた。
ビューローベリタスジャパンがCOWIの統合荷重解析手法を用いて完了した今回の認証は、15MW級の大型風車において地震に対応した基礎設計が具体的にどのような形をとり、どのような手法で認証され得るかを実証した世界初の事例となった。台湾や韓国、フィリピンなどで着床式洋上風力を計画する事業者にとって、耐震基礎設計の認証方法はこれまで未解決の課題だったが、今回の認証手法によって確立された参照点となった。
■コンソーシアムと制度的枠組み
本事業を推進するのは、JERA Nex BP、電源開発(J-POWER)、東北電力、伊藤忠商事のエネルギー大手4社で構成されるコンソーシアム「男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energy」である。再エネ海域利用法に基づき、港湾隣接地域以外の「一般海域」を対象とした第2回公募を通じて選定された案件であり、同法のもとで商用スケールとして進行する初の事業である。
また、10MWを超える大型風車を導入する日本で最初期のプロジェクトの一つであり、一般海域における着床式開発として公募プロセスを経て前進している最初期の代表例でもある。DEMEのアジア太平洋オフショアエネルギー担当ジェネラルマネージャーであるFrank Jonckheere氏は、本プロジェクトにより「JOMが本格稼働し、日本における大型洋上風力プロジェクトに対応できる体制が整ったことが確認された」と評している。なお、2026年4月の改正再エネ海域利用法により排他的経済水域(EEZ)への利用区域拡大が図られたことで、長期的にはさらなる開発ポテンシャルの拡大が期待されるが、これは今後数十年単位の将来的な機会であり、2030年目標に対する短期的な貢献ではない点には留意が必要だ。
■注目ポイントQ&A
●ビューローベリタスジャパンの適合性認証は何を証明するものですか?
第三者認証機関であるビューローベリタスジャパンが設計書類を審査し、日本の技術基準や規制要件に適合していることを確認したものです。男鹿・潟上・秋田沖事業では、サイト条件評価、風・波・地震荷重を組み合わせた統合荷重解析、モノパイル基礎およびトランジションピースの詳細設計検証が行われました。認証取得により、認定された設計に基づいて建設を進める大きな関門を通過したことになりますが、商業的な性能そのものを保証するものではなく、構造設計が該当基準に適合していることを確認するものです。
●なぜ日本の洋上風力には北海とは異なる耐震設計が必要なのですか?
日本は環太平洋火山帯に位置し、巨大地震のリスクが存在するためです。北海の洋上風力基礎は主に波の荷重に耐えるよう設計されていますが、日本では地震の揺れに加えて、砂質地盤が強度を失う「液状化現象」による基礎の傾きなどを防止する複合的な耐震設計が求められます。2011年の東日本大震災後の調査では、既存の風力発電所でこうした破壊モードが実際に確認されました。男鹿・潟上・秋田沖の認証は、15MW級の洋上風力事業がこの複合荷重環境に直接対応した設計で認証を取得した初めての事例です。
●このプロジェクトの315MWという出力は日本の目標に対してどのくらいの規模ですか?
2024年末時点での日本の洋上風力導入量は253.4MWで、2030年までに10GWとする目標の2.6%未満にとどまっていました。2028年6月に本事業が商用運転を開始すると、国内の導入量は2倍以上に拡大します。ただし、政府目標の達成には、さらに約9.4GWの追加設置が必要です。GWECは2030年時点の日本の洋上風力導入量を約3.5GW(目標の約35%)と予測しており、男鹿・潟上・秋田沖のようなプロジェクトは物理的なインフラ整備自体は実現可能であることを示す一方、日本のボトルネックは技術そのものよりもオークション制度や許認可の期間、事業採算性といった市場の枠組みにあるとみられます。
●なぜこの認証が日本以外の開発事業者にとっても重要なのですか?
環太平洋火山帯は日本、台湾、韓国、フィリピン、インドネシアを貫いており、これらの国々も同様の地震リスクを抱える一方、北海基準だけでは対応できない課題がありました。COWI、鹿島建設、小堀鐸二研究所による設計手法をビューローベリタスジャパンが検証したことで、15MW級の大型風車において地震地盤に対応した基礎設計と認証の手法が確立され、これらの地域でプロジェクトを計画する開発事業者にとって明確な参照枠組みとなります。
元記事: Japan Certifies World’s First Earthquake-Resistant 15 MW Offshore Wind Farm
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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