AIエージェント自らが作業に署名するワークスペース「Buzz」をBlockが公開、Slack・GitHub依存の解消を目指す

2026年7月23日 15:51

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記事提供元:Tech Times

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ジャック・ドーシー氏が率いる決済大手Blockは、人間とAIエージェントが共に働く無料のオープンソース・ワークスペース「Buzz」を公開した。BuzzではAIエージェントに暗号化鍵ペアの識別子が割り当てられ、誰がその行動を承認したかを追跡できる「責任の連鎖」を構築する。現在提供されているバージョン0.4.21は、SlackやGitHubへの依存を低減し、企業におけるAIエージェントの統制課題をインフラレベルで解決することを目指している。

■Slackと差別化する暗号化アイデンティティと追跡可能性

Buzzに参加するすべての人間とAIエージェントは、Bitcoinで使われているものと同じsecp256k1鍵ペアを保持する。人間に1つの鍵ペアが与えられるのに加え、AIエージェントには独自の鍵ペアと、所有者である人間に結び付ける第2の暗号署名が付与される。これにより、AIがコードの変更やワークフローを実行した際、どの人間がそれを承認したかを明確に追跡できる検証可能なログが作成される。

Cloud Security Allianceの調査によると、組織の68%がシステム内で人間とAIエージェントのアクティビティを明確に区別できていない。Buzzのアイデンティティモデルは、このガバナンス上の課題をインフラレベルで解決する。署名されたチェーンにより、承認の履歴が可視化され、変更も容易になる。

エージェントはコードの提出、ワークフローの実行、音声による会話などに対応する。Block自社のオープンソース・フレームワークである「Goose」のほか、OpenAIのCodex、AnthropicのClaude Code向けハーネスがプリセットされており、オープン規格のAgent Client Protocol(ACP)を介して連携する。

■Nostrプロトコルに基づく自律分散型アーキテクチャ

Buzzは分散型ソーシャルアプリ等で用いられるオープンプロトコル「Nostr」上で動作する。メッセージやコードコミット、承認手続きなどの全イベントがSchnorr署名を含むJSONオブジェクトとして管理され、改ざん防止と統合された検索性を実現している。新しい操作タイプを追加する際も、イベントの分類番号(kind)を追加するだけで対応可能だ。

アーキテクチャ上の特徴として、BuzzはP2P(ピア・ツー・ピア)構造ではなく、特定の信頼できるリレーを用いて動作する。ここでの「分散型」とは、各組織が自前のリレーを運用してデータを完全に管理できることを意味している。Blockはベータ期間中に無料のホスト型リレーを提供するが、自社インフラでセルフホストする場合はDocker、Rust 1.88以降、Node 24以降、pnpmが必要となる。

BuzzのリレーはRust、クライアントはTypeScriptおよびReactで記述されている。マルチテナント分離仕様は形式仕様記述言語TLA+でモデル化され、検証ツールTamarinでセキュリティ特性が確認されており、インフラとしての信頼性が確保されている。

■ワークスペースに統合されたGitホスティング機能

Buzzには標準のGit Smart HTTPを用いたGitリポジトリ管理機能が組み込まれているため、GitHubアカウントを別途用意せずにコード管理が可能だ。機能開発用のブランチはそのままチャンネルとなり、コードの修正やCI結果、レビューコメントがチャットの議論と共に署名付きNostrイベントとして記録される。

Blockの社内AIエージェント「BuilderBot」は、毎日20万件以上の操作を処理し、同社の本番コード変更の約15%を担っているが、すでに開発中のBuzz内で運用されている。また、2025年1月に公開されたBlockのオープンソース・エージェント「Goose」もネイティブ接続に対応している。

■二頭政治が支配する市場への挑戦とBlockの現状

エンタープライズ向けメッセージング市場は、Slack(2025年の推定日次アクティブユーザー数約4,720万人)とMicrosoft Teams(2026年の月次アクティブユーザー数約3億2,000万人)が強力なシェアを握っている。SalesforceによるSlackの標準提供やMicrosoftの強力な顧客基盤に対し、Buzzが普及を広げるにはハードルが存在する。

また、開発元のBlock自身も業績面での課題を抱えている。AI再編費用やビットコインの再評価損(1億7280万ドル)が響き、2026年第1四半期には3億870万ドル(約503億円、1ドル=163円換算)の純損失を計上し、人員削減も実施した。現時点でBuzzは無料のオープンソース製品として公開されており、今後の収益化計画は発表されていない。

市場ではParadigmのCTOが発表した「Centaur」のように、既存のSlack環境にAIエージェントを組み込むアプローチも登場している。Buzzのようにプラットフォーム自体を置き換えるか、既存環境を拡張するかという戦略の違いが存在するなか、Buzz(v0.4.21)はモバイルアプリ未対応や通知機能の未実装といった初期段階の課題を抱えつつも、AI時代のワークスペース基盤としての検証を進めている。

■注目ポイントQ&A

●Buzzと、SlackにAIボットを追加することの違いは何ですか?

Slackなどの既存ボットはサービスアカウント等で動作し、人間の承認と暗号的に紐付いていません。BuzzではAIエージェントごとに独自の鍵ペアと所有者との紐付け署名が付与され、すべての操作が改ざん不可能な署名ログに記録されるため、誰が承認したかを追跡できます。

●自社のサーバーでBuzzをセルフホストすることは可能ですか?

はい、可能です。Buzzのリレーはオープンソース(Apache 2.0)であり、DockerやRust 1.88以降、Node 24以降などを用意することで自社インフラ上に構築できます。また、Blockはベータ期間中、制限なしの無料ホスト型リレーも提供しています。

●Buzzを利用するのにGitHubアカウントは必要ですか?

Buzz内部にGitホスティング機能が内蔵されているため、GitHubアカウントがなくてもコードリポジトリやプルリクエストの管理が可能です。既存の外部リポジトリとの連携もサポートされています。

●企業がBuzzを導入する際のアカウンタビリティ上のメリットは何ですか?

AIエージェントによるコード変更やワークフロー実行において、Buzzの署名付きイベントログは「どの人間がいつその行動を許可したか」を暗号的に証明します。これにより法的なコンプライアンス要件やガバナンス基準を満たしやすくなります。

元記事: Block Launches Buzz: Open-Source Workspace Where AI Agents Sign Their Own Work

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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