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ソフトバンクG「過去最高益」の光と影 AI投資加速と市場の冷静な評価

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■過去最高益を記録した2025年4~9月期決算
ソフトバンクグループが11日に発表した2025年4~9月期の連結決算は、純利益が前年同期比2.9倍の2兆9240億円となり、同期間として過去最高を記録した。この数字は市場予想の約4倍に達する歴史的な好決算である。
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業績を牽引したのはビジョン・ファンド事業で、投資利益は3兆5361億円と前年同期から大幅に拡大し、3年連続の黒字を達成した。
特に注目されるのは、米オープンAIへの出資に伴う投資利益2兆1567億円の計上だ。ソフトバンクGは9月末時点で同社に累計108億ドルを出資しているが、12月には225億ドル(約3兆5000億円)の追加出資を予定している。この出資が完了すれば、出資比率は約11%となり、投資額ベースでマイクロソフトを抜いて最大株主となる見込みだ。
またソフトバンクGは、10月に保有していたエヌビディアの全株式を58.3億ドルで売却し、3544億円の投資利益を計上した。この売却資金はオープンAIへの追加出資に充当される方向だ。後藤芳光CFOは「オープンAIに最も強い期待を持っている」と強調し、AIインフラで収益を稼ぐプラットフォーマーを目指す姿勢を鮮明にした。
■好決算にもかかわらず株価は反落
しかし、翌12日の東京株式市場でソフトバンクG株は大きく売られた。前日の米ハイテク株安の流れを受け、決算期待で買い進まれていた反動による利益確定売りが殺到したためだ。ソフトバンクG株は一時前日比10%安の2万415円まで下落し、2カ月ぶりの安値を付けた。終値は前日比3.45%安の2万1910円で取引を終えた。
市場では、エヌビディア株の全株売却により今後の資産効果が見込めなくなることや、オープンAIへの巨額投資による財務負担増への懸念が指摘されている。またオープンAIの企業価値や収益構造の不透明性に対する警戒感も根強い。
■日経平均は好決算銘柄に支えられ反発
ソフトバンクGやアドバンテストなどAI関連株の下落を受け、日経平均株価は寄り付き後に一時300円ほど下落した。しかしその後は、好決算銘柄への資金集中により反発し、12日の終値は前日比220円38銭(0.43%)高の5万1063円31銭となった。東証株価指数(TOPIX)は最高値を更新している。
相場を支えたのは、三井金属や日揮ホールディングスなど好業績が評価された銘柄群だ。好決算と積極的な株主還元を発表した住友不動産も大きく上昇した。
高値警戒感が強まる中、当面は好決算を素直に評価する投資スタンスが続きそうだ。市場はAIバブルへの警戒と、確実な成長が見込める企業への選別を同時に進めている。
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