飲食店向け転賃借事業を手掛けるイノベーションHDは、親孝行企業

2025年10月29日 14:11

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 イノベーションホールディングス(3484、東証プライム市場、イノベーションHD)。飲食店向け小規模店舗の転貸借事業が柱。東京23区を中心に1都3県で展開。

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 会社四季報のパラパラ読みで業績欄の見出し【連続増益】に惹かれ、覗き込むことにした。ただ作業に入る前に特色欄の『クロップス(9428、東証スタンダード市場)の子会社』を知りクロップスを調べ「そうだったのか」と思い、イノベーションHDを改めて覗き込みたいと考えた。

 クロップスの事業は5本立て。うち2本は今3月期の第1四半期に限ると営業損失。残り3本のうち営業利益8億3200万円で最も寄与度が高いのが、「店舗転貸事業」の3億5100万円。祖業の携帯電話(au)通信事業1億9300万円を上回っている。四季報はクロップスの特色欄で「子会社イノベーションHDの利益貢献大」としている。イノベーションHDは、親孝行な企業というわけだ。

 その上で、イノベーションHDの収益動向を振り返った。四季報の【連続増益】は前25年3月期の「16.8%増収、41.8%営業増益、8円増配28円配」、そして今3月期の「13.3%増収(188億7200万円)、18.3%増益(16億400万円)/ともに四季報は独自増額、2円増配30円配」計画を指している。

 事業構成は「店舗転貸借事業」「不動産(業務用)売買」「不動さんオーナー向け家賃保証(店舗/事務所/倉庫等)」。主軸の店舗転貸借は不動産オーナーから賃借し飲食店テナントに転貸するわけだが、首都圏の1都3県で年間400件以上の新規成約実績を残している。

 ただこの飲食店向け店舗転貸借ビジネスの特色とも言えるが、新型コロナウィルス/感染症リスクは重い。24年3月期は9.1%増収も「19.6%減益」を余儀なくされた。飲食店の積極的店舗展開に急ブレーキがかかったからだ。

 さてイノベーションHDを株式投資の対象とする場合は、どんな構えが必要だろうか。

 小規模店舗が主とはいえ、外食産業動向は背景になる。日本フードサービス協会は、24年9月にこう発信している。

<23年度の外食産業規模は、2年連続で前年度を上回った>⇔<コロナ感染症の5類への移行/国内人流の復活&水際措置として入国規制変更によるインバウンド需要の復活>。この環境を前提に考えると・・・

 本稿作成中の株価は1000円トビ台。ROE28.08%と儲け上手な体質が認められる。予想税引き後配当利回り2.2%水準。4月7日安値:854円から9月24日高値:1149円まで買い直された後の揉み合い水準。2017年10月25日の公開初値で仕込み保持しているとすると、修正済み株価パフォーマンスは44%余増。判断は読者諸氏に委ねる。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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