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Boston Medical Sciences、9.3億円追加調達 下剤不要の内視鏡検査システムを開発へ
Boston Medical Sciencesは12日、9.3億円の資金調達を行ったと明らかにした。既存投資家からの追加出資に加え、JICベンチャー・グロース・インベストメンツや明治安田生命、三菱UFJキャピタルなどが出資に参画。調達資金は開発を進めている「無下剤バーチャル内視鏡検査システム(AIM4CRC)」の研究開発体制の強化などに充て、日本発の臨床実装を目指す。
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Boston Medical Sciencesは、医師で現在も米ハーバード大学医学部やマサチューセッツ総合病院などで教員・研究員を務めている岡本将輝氏が、2023年4月に設立。同年10月には、Beyond Next Venturesから約2億円の第三者割当増資を実施。併せて2023年度のNEDO「ディープテック・スタートアップ支援事業」にも採択され、補助金を含めて4億円規模の資金を調達している。
事業軸である無下剤バーチャル内視鏡検査システムでは、大腸精密検査への抵抗感を解消し、大腸がんによる死亡者数を減らすことを目指している。
従来の大腸がんの精密検査では、便などを取り除くため1~2リットルの下剤の服用が必要で、検査時には内視鏡を体内に挿入するため、負担が大きい。また準備や検査に時間がかかることもあり、検査を避ける人が少なくない。一方で、国内の大腸がんによる死亡数は他のがんと比べても高く、男女計では2位、女性は1位に位置する(国立がん研究センターによる2023年の統計)。
岡本氏は、早期発見・医療介入で大腸がんは治療できるとして、避けられがちな大腸の精密検査に着目。事業化を開始した。
開発中のシステムでは、完全無下剤で非侵襲的な検査ができるという。下剤を飲まない状態で撮影した大腸のCT画像をAIで分析。搭載している仮想的腸管洗浄AIやポリープ検出AIなどにより、高精度に便を取り除いてポリープを検知する。近日、日本国内での治験を予定している。
今回調達した資金で同社は、国内治験の推進や研究開発体制の強化、日米の薬事対応と市場展開に向けた体制拡充を進める。ミッションは「早期発見・予防の力で世界から大腸がん死を根絶する」。国内から臨床実装を進め、世界展開を目指す。(記事:三部朗・記事一覧を見る)
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