ブロードバンドセキュリティ:セキュリティ監査において国内トップの技術力を有する、統合型リゾート関連としても注目か

2024年10月11日 13:22

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記事提供元:フィスコ

*13:22JST ブロードバンドセキュリティ:セキュリティ監査において国内トップの技術力を有する、統合型リゾート関連としても注目か
ブロードバンドセキュリティ<4398>は、ITセキュリティサービスに特化したトータルセキュリティサービスプロバイダーである。

企業における情報漏洩の予防や防止、セキュリティ機器の24時間365日体制での遠隔監視、未知のマルウエア検知によるネットワーク遮断等により、情報漏洩リスクから企業を守ることを目的としたセキュリティサービスを主要な事業としている。営業形態としては、同社営業担当による直販及び代理店(パートナー)経由の2つの形態に分かれ、顧客は売上100億円~3,000億円未満の大手・準大手企業や官公庁等となる。サービス別売上高構成比(2024年6月期実績)は「セキュリティ監査・コンサルティングサービス」が26.3%、「脆弱性診断サービス」が27.4%、「情報漏洩IT対策サービス」が46.3%。また、売上全体に対して、脆弱性診断やリスクアセスメントなどのスポット型サービスが60%、マネージドセキュリティやセキュアメールなどの定常収益型サービスが40%だが、セキュリティ監査や診断などのサービスはどの企業も毎年実施するため、事実上はほとんどがリカーリング収益となる。脆弱性診断では2024年6月末時点で60,280システム以上の実績を有する。

2024年6月期の売上高は前期比9.4%増の6,457百万円、営業利益は同29.6%増の689百万円で着地した。前期と比較して増収、営業利益は大幅増益となり過去最高値を更新している。「セキュリティ監査・コンサルティングサービス」では、パートナー連携による新規顧客の増加やインシデント態勢整備の増加等が売上拡大に寄与した。また、「脆弱性診断サービス」も競合の参入はあるものの、拡大傾向にある市場において着実に業績を積み上げている。「情報漏洩IT対策サービス」も好調で、全てのサービス区分において過去最高を更新。76%の顧客が継続取引とクロスセルによって顧客単価が上昇、顧客数は1,614社に増加している。2025年6月期の業績は、売上高が前期比11.2%増の7,180百万円、営業利益は同11.7%増の770百万円と2桁増収増益見通し。

同社は、様々な業種・企業規模にあわせサービスを提供してきた経験値を活かして他社にはない高い技術力を有している。また、PCI DSS(PCI SSC が定めるクレジットカード業界のセキュリティ基準)評価人である QSA(PCI SSC の認める評価人)や、公認情報システム監査人(CISA)、公認情報セキュリティマネジャー(CISM)など、セキュリティ監査に関連する資格を多数有しているのは上場企業でトップクラスとなっている。今後も高い技術力と信頼性、フルラインアップのセキュリティサービスを提供できる強みを最大限に活かし、大型コンサルティング案件獲得と定常収益型サービスの拡大・高いリピート率の維持・クロスセルを実現し、顧客数・顧客単価の向上を目指すようだ。昨今、サプライチェーンを狙った攻撃や社会インフラを狙った攻撃、生成AIによるディープフェイクを悪用した犯罪が増加するなど社会問題化しており、情報セキュリティ市場は、大手・準大手中心にまだまだ拡大していく。市場の追い風が続く中、成長のための新たな経営ビジョン「Vision 2030」を掲げており、顧客数3,000社、営業利益25億円、従業員の平均報酬1,000万円に向けて邁進している。

直近では、「防衛産業サイバーセキュリティ基準」準拠支援サービスの提供を開始したほか、ネバダ州ラスベガスに米国法人BBSec USA, Inc.を設立した。2019年6月にカジノ管理システム大手の米Table Trac, Inc.と日本国内における同システムの独占使用許諾権契約を締結しており、今後の統合型リゾート(IR)の運用に不可欠なAIを用いたギャンブル依存症の予測分析機能の実装に向けて研究を進めている。同社を通じてギャンブル依存症対策や大規模施設のセキュリティ対策の国際的な事業化に向けてグローバル展開を行うという。日本でも大阪でのカジノを含む統合型リゾート(大阪IR)の2029年の開業に向けての整備計画が決定されており、国内トップクラスのセキュリティ監査を有する同社に引き合いがある可能性がある。市場環境の追い風が進む中、過去5年のCAGR 11%成長が続く同社の今後に注目しておきたい。《NH》

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