中計初公開した丸善、至29年1月期に営業利益2.35倍を掲げる要因は

2024年8月28日 09:18

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 丸善CHIホールディングス(東証スタンダード。丸善)。一般書籍を取り扱う丸善ジュンク堂/学術書の丸善雄松堂/図書館運営のTRCが3本柱。

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 収益動向は2023年1月期「6.7%減収、23.4%営業減益、18.3%最終減益、2円配」に対し前24年1月期は「0.1%増収、15.6%営業増益、23.7%最終増益、2円配」。そして今1月期は「1.0%増収(1645億円)、6.0%営業減益(14億円)、77.7%最終増益(39億円)、1円増配3円配」計画。

 詳細は後述するが、業務範囲は極めて多面的。ゆえに、「A事業の減収減益もB・C事業のしっかりでカバーし(逆もあり)」といった状況下での展開が概ね。なお今期計画の最終益大幅増(前期比約17億円増)はビル売却益の計上。

 そんな丸善が3月14日に、初めて中計を公表した。

 至2029年1月期を最終年度とする5カ年計画で「売上高2000億円(24年1月期比22.8%増)、営業利益85億円(2.35倍)、営業利益率4.2%(2P上昇)、ROE7.5%以上(2.7P超)」を掲げている。

 が、本稿作成時点で初公開の中計に株価は反応を示しているとは思えない。発表前の3月15日の315円に対し、3カ月余り後の6月27日の年初来高値は349円。上昇率10%強。そして本稿作成中の時価は320円台。PBR0.62倍が示す通り?PBR改善効果の類も見て取れない。ちなみに約9年半前の2015年の初値は364円。

 となってくると、中計初発信の持つ意味が把握できない。

 丸善の事業は大別すると以下の通り。

 『文教市場販売事業』: 「図書館用書籍販売」「学術研究及び教育に関する輸入洋書などの販売」「教育・研究施設や図書館などの設計・施お工及びコンサル」「大学売店の運営や学生への教科書テキスト販売」~前期実績3.1%減収/2.1%営業減益

 『店舗・ネット販売事業』: 和洋書籍中心に全国店舗・ネット販売~0.1%減収、16倍強営業増益

 『図書館運営サポート事業』: カウンター業務・目録作成・蔵書点検等~5.9%増収、26.7%営業増益

 『出版事業』: 理工系専門書・大学テキスト/幼児向けや図書館用書籍の刊行~6.1%減収、56.8%営業減益

 丸善では中計の軸を「グループ資産の活用促進」「成長領域」「収益構造の転換」としているが、具体性に乏しいのが現実。3月期決算発表:5月中旬前後に行われた四季報の取材で担当記者は材料欄を【新中計】の見出しで「・・・昨秋開始の専門書サブスクの会員獲得数は想定以上。保育やスマホ修理など新事業にも意欲」としているが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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