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イトーキは反発の動き、24年12月期2桁増益・大幅増配予想
イトーキ<7972>(東証プライム)はオフィス家具の大手で、物流設備なども展開している。新3カ年中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」では、持続的な成長力を高めることをテーマに、重点戦略として7FlagsおよびESG戦略を掲げ、株主還元も強化(配当性向目標引き上げ、株主優待制度新設、自己株式取得・消却)する方針としている。24年12月期第2四半期累計は販管費の増加で小幅営業・経常減益だったが概ね計画水準だった。そして通期の2桁増益予想を据え置き、配当予想を上方修正した。増収効果や提供価値の向上による利益率改善に加え、24年7月より実施の価格改定なども寄与する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。高配当利回りも評価して出直りを期待したい。
■オフィス家具の大手で物流機器関連も展開
事務用デスク・チェアなどオフィス家具の大手で、物流設備なども展開している。21年5月には公共空間へのアート導入を展開するアートプレイスを子会社化、24年2月には首都圏でオフィス家具搬送・施工を展開するソーアを子会社化した。また24年7月に子会社イトーキエンジニアリングサービスを吸収合併した。
海外は20年6月に中国の地域統括会社として伊藤喜を設立し、拠点再編、人員体制適正化、直接販売強化など収益構造改革を推進している。
23年12月期のセグメント区分と業績は、ワークプレイス事業の売上高942億57百万円で営業利益61億28百万円、設備機器・パブリック事業の売上高368億39百万円で営業利益19億06百万円、IT・シェアリング事業の売上高17億49百万円で営業利益4億44百万円、その他売上高1億38百万円で営業利益43百万円だった。収益はオフィス移転シーズンにあたる第1四半期(1月~3月)偏重の特性がある。
なお24年12月期より、従来のIT・シェアリング事業に含まれていた什器レンタル・オフィスシェア関連サービスをワークプレイス事業に統合するとともに、従来のIT・シェアリング事業に含まれていたソフトウェア開発関連サービスをその他の区分に変更し、セグメント区分をワークプレイス事業、設備機器・パブリック事業、その他とする。
ワークプレイス事業はオフィス家具、建材・内装工事、オフィス空間デザイン、学習家具、什器レンタル・オフィスシェア関連サービスなど、設備機器・パブリック事業は物流設備、特殊扉、研究施設機器など、その他はITシステム開発などとなる。
本社オフィスのITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)を活用して、ワークスタイルの多様化や働き方改革に対応したオフィス空間の提案を推進している。なお23年2月には、2月9日を「学習机の日」として記念日登録を申請し、一般社団法人日本記念日協会より正式に登録された。同社は1962年に日本で初めてスチール製学習机を発売した。23年12月には、空間デザインの先端事例をデザイナー視点で解説するデザインギャラリーサイト「ITOKI WORK―Style Design」を公開した。
生産・物流面では23年1月に新たなモノづくりの形として滋賀工場APセンター(アセンブル・プロセスセンター)が本格稼働した。23年8月には物流「2024年問題」への対応や首都圏供給網の再構築・商品配送円滑化に向けて、物流拠点であるイトーキ東京テクノパークを移転してイトーキ東京ロジスティクスセンターを開設した。23年10月には京都工場内に「ラボ機能」と「ショールーム機能」を兼ね備えた共創空間・開発工房「カロッツェリア」を開設した。23年11月にはイトーキ東京BASEを開設した。
■中期経営計画
中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」では、持続的な成長力を高めることをテーマに、重点戦略「7Flags」およびESG戦略を掲げ、株主還元も強化(配当性向目標引き上げ、株主優待制度新設、自己株式取得)する方針とした。
目標値には、26年12月期売上高1500億円(ワークプレイス事業1060億円、設備機器・パブリック事業420億円)、営業利益140億円(ワークプレイス事業110億円、設備機器・パブリック事業30億円)、営業利益率9%、ROE15%を掲げた。3年合計の投資額は戦略投資250億円、R&D投資50億円、設備投資100億円、人的資本投資100億円としている。
7Flagsは、Office1.0領域(プロダクトベースの商品販売事業)およびOffice2.0領域(空間ベースの商品ソリューション提供事業)における付加価値提案強化と売上・利益確保、Office3.0領域(働き方ベースのオフィスDX事業)における最適な働き方・オフィス空間を提供するサービスの開発、専門施設領域(物流施設領域・研究施設領域)における開発・エンジニアリングへのリソース重点配分、グループ生産供給体制再編や社内ITインフラ刷新による生産・業務効率向上と高収益化、構造改革プロジェクトの水平展開によるグループシナジーの追求、人事制度改革を軸とする人的資本投資、成長戦略投資・社員還元・株主還元の計画的実践を推進する。
なお24年2月には、Office3.0領域の新規サービス第一弾として「Data Trekking」をリリースした。24年3月にはAIスタートアップ企業の澄と生成AI共同開発契約を締結した。「ITOKI OFFICE/BI SERVICE」の取り組みの一環として、オフィスデザイン自動生成AIと関連したアプリケーションを開発する。また24年6月には、DXサービスを展開するアルサーガパートナーズに出資した。社内ITインフラ刷新に向けてパートナーシップを強化した。24年7月には、RFIDのロケーションテックカンパニーであるRFルーカスに出資した。同社のオフィス家具にRFルーカスのRFIDを付与することで家具のIoT化を推進する。24年8月には経済産業省が定めるDX認定制度に基づいて「DX認定事業者」の認定を取得した。また24年8月にはオフィスワーカーの活動を画像解析で測定するアプリケーションの研究開発を開始した。
株主還元強化については、目標配当性向を従来の「30%以上」から「40%を目指す」に引き上げて24年12月期より実施する。また株主優待制度を新設(24年6月末対象より実施)し、毎年6月末日時点で5単元(500株)以上保有株主を対象に、イトーキオンラインショップで利用可能なクーポンコードなど(A~Dより1点選択)を贈呈する。
■サステナビリティ経営
22年7月にサステナビリティ経営の実現に向けてマテリアリティを刷新した統合報告書2022を発行し、2050年カーボンニュートラル目標を表明した。22年8月には女性活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良な企業として厚生労働省より「えるぼし」の3つ星(3段階目)認定を取得した。
23年1月には、事実婚や同性のパートナー、およびその子、親に対し、法律上の配偶者や家族と同様に福利厚生や規程を適用する「パートナーシップ制度」を導入するとともに、ハラスメントに関する規程の改定、および同性婚の法制化を推進するBME(Business for Marriage Equality)への賛同を発表した。23年2月には、JobRainbow社主催のダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業を認定する日本最大のアワード「D&I Award 2022」において、最高ランクの「ベストワークプレイス」に認定された。
23年7月には育児休業を取得後に復職した社員に「育児休業復職支援金」の支給を開始した。23年10月にはサプライチェーン全体の共存共栄に向けて、パートナーシップ構築宣言を作成・公表した。23年12月には武蔵野大学データサイエンス学部と産学連携で学習成果証明システムを共同開発し、その評価を証明する学習成果証明書をNFTによって共同発行した。
24年3月には「令和5年度東京都スポーツ推進モデル企業」に認定(平成27年度、令和3年度に続いて3度目)された。また人的資本投資の一環として、過去最高となる5.34%の賃上げを実施すると発表した。さらに、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人2024大規模法人部門ホワイト500」に認定された。オフィス家具事業を展開する企業としては初の8年連続認定となる。
■24年12月期2桁増益・大幅増配予想
24年12月期連結業績予想は売上高が23年12月期比3.4%増の1375億円、営業利益が17.3%増の100億円、経常利益が16.9%増の100億円、親会社株主帰属当期純利益が18.5%増の70億円としている。配当予想については8月5日付で期末3円上方修正し、23年12月期比13円増配の55円(期末一括)としている。予想配当性向は38.4%となる。
第2四半期累計は売上高が前年同期比6.3%増の725億10百万円、営業利益が2.0%減の68億66百万円、経常利益が3.6%減の68億37百万円、親会社株主帰属四半期純利益が8.1%増の50億86百万円だった。
販管費の増加で小幅営業・経常減益だったが、売上面は順調に推移し、全体として概ね計画水準だった。営業利益▲1.3億円の分析は、売上要因がワークプレイス事業の増収効果で+17.1億円、売上総利益率要因がワークプレイス事業の製品ミックスの影響で▲6.5億円、販管費の増加(DX推進のためのIT基盤強化、人的資本投資の一環としての賃上げ、専門人材の採用など)で▲13.6億円、物流費の減少(中期重点戦略による物流サービスの収益力強化)で+1.7億円だった。
ワークプレイス事業は、売上高が10.0%増の540億63百万円、営業利益が0.8%減の52億31百万円だった。営業利益は販管費の増加や第2四半期における製品ミックスの影響で前期並みにとどまったが、売上面はハイブリッドな新しい働き方にあわせたリニューアル案件やオフィス移転案件などにより2桁増収と順調だった。
設備機器・パブリック事業は、売上高が3.3%減の176億66百万円、営業利益が3.7%増の15億72百万円だった。売上面は前期好調だった反動で博物館・美術館の展示ケースなど公共施設向け設備需要が減少したため減収だが、研究施設向けの増収効果や販管費抑制などで増益だった。
その他は売上高が3.0%増の7億80百万円、営業利益が70.4%減の62百万円だった。IT・シェアリング事業のセグメント変更に伴う会計方針変更の影響で減益だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が409億18百万円で営業利益が60億39百万円、第2四半期は売上高が315億92百万円で営業利益が8億27百万円だった。企業のオフィス移転などにより年度末にあたる第1四半期偏重の収益特性がある。
通期は2桁増益予想としている。増収効果や提供価値の向上による利益率改善に加え、24年7月より実施の価格改定なども寄与する見込みだ。セグメント別計画は、ワークプレイス事業の売上高が5.0%増の990億円で営業利益が30.5%増の80億円、設備機器・パブリック事業の売上高が0.4%増の370億円で営業利益が4.9%増の20億円としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は反発の動き
株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。高配当利回りも評価して出直りを期待したい。8月23日の終値は1360円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS143円27銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約4.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1210円96銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約729億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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