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「Wally」って誰のこと? イギリス英語のスラング特集 (33)
イギリス英語のスラングをアルファベット順に紹介する今シリーズも、いよいよ残り少なくなった。言葉が時代とともに進化する過程を通じて、イギリスならではの社会的、文化的側面が言葉に与える影響についてお分かりいただけただろう。
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次回はいよいよ「Y」と「Z」で始まるスラングを紹介したいが、今回は「W」のつくスラングからもう1つ、これもイギリスならではと感じられる「Wally」を紹介したい。
■Wally
「wally」とは、「stupid」や「fool」と同じような意味のスラングだ。ただし、愚かさや不器用さを表すと言っても、「stupid」や「fool」よりはかなり穏やかな表現で、時には親しみを込めて用いられることもある。
この言葉の語源には、興味深い話がある。1960年代後半から1970年代にかけて各地で開催されたロックフェスがきっかけという説だ。
その中でも特に有力な説とされているのが、1970年にイギリスのワイト島で実施され、50万人以上を集めたと言われるロックフェス、「第3回ワイト島フェスティバル」から広まったというものだ。
50万人もの大観衆だから、会場内では仲間とはぐれて迷子になった人もたくさんいただろうう。実際、人探しのアナウンスもひっきりなしだったらしい。そんな中、スピーカーから繰り返される「Wally」(Walterの愛称か)という名前が観衆の興味を引き、誰からともなく「Wally, Wally, Wally・・・」という大合唱が始まったそうだ。
それ以降、迷子になった人の名前に関係なく、人探しのアナウンスがあるたびに「Wally, Wally, Wally」の合唱が沸き起こったと伝えられている。
これを機に、「Wally」の大合唱はイギリス各地のロックコンサートで聞かれるようになった。たとえば、Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)をヘッドライナーとして開催された1979年のネブワースコンサートでも、「Wally」の大合唱が聞かれたという話が残っている。
非常に興味深い話だが、実際には「wally」という語はそれより遥か以前から存在し、すでに18世紀にはかなりポピュラーなスラングだったようだ。ただ、60年代後半からのロックコンサートが契機となったのは確かなようで、それ以降、イギリス全土で「wally」というスラングはさらに認知度を高めていったのだった。
He got lost at the festival and everyone started calling him a wally after that.
(彼はフェスで迷子になって、それ以後みんなからドジな奴と呼ばれるようになった)
You left your keys at home again? You wally!
(また鍵を忘れたのか?おまえ、本当にドジだな!)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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