大企業向けに軸足を移しつつあるモノタロウの、足元と株価動向

2024年3月20日 10:05

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 MonotaRO(東証プライム。モノタロウ)。工場・工事用間接資材のネット通販を展開。個人・小規模業者が主体。

【こちらも】10年間の平均営業増益率17.2%、MonotaROは何故強い

 「モノタロウを久方ぶりに覗いてみたいな」と思ったのは、四季報のパラパラ読みで【最高益】という業績欄の見出しを、材料欄で「大企業向け獲得進む」という記述を目にしたのが入り口だった。大企業向けビジネスの拡大は、収益拡大に繋がり、最高益も牽引するということか!?・・・。

 「株価の按配はどう具合かな」と思いチェックした。本稿作成時の時価は1500円台後半、昨年来高値から550円近く下値にいた。適当な押し目を入れ、買い場を提供しながらの推移が特徴的な銘柄ではある。

 IFIS目標平均株価は時価の割安感を示しているに違いない、と思い込んでチェックした。意外な結果に出会った。9人の算出者がはじき出した平均値は、1451円。9人中1名は「強気」も6名は「中立」、1名は「弱気」だった。

 改めて決算動向に目を移した。増収増益基調が続いていた。が前2023年12月期がモノタロウとしては珍しく期初予想「17.4%増収、22.2%営業増益、21.1%最終増益」に対し、「12.5%増収、19.4%営業増益、16.9%最終増益」で着地していた。

 決算資料では「大企業顧客向け間接資材販売」に関し、「顧客数、売上ともに順調に拡大。また物流における出荷能力・保管能力強化のため、昨春稼働開始の稲川ディストリビューションセンターの拡張工事を実施した」としている。大企業向けビジネスへの軸足移行に注力していることが窺える。

 詳細は省くがモノタロウは設立の経緯からして、外国人投資家の持ち株比率が78.5%と高い。

 IFIS目標平均株価の算出者とは異なるが外資系証券のアナリストは、「大企業向けビジネスの拡充は売上高増への寄与は大きいが、利益率という観点からは先行投資負担も含め低下が否定できない。現に前期はこれまでのモノタロウを支えてきた個人・小規模企業向けの売上は減少している」とする。

 株価は、「軸足移行の成否を見守っていると」ということか。

 今12月期は「12.7%増収(2865億1000万円)、14.4%営業増益(358億2000万円)、15.1%最終増益(250億9600万円、最高益更新)」計画。スタート早々の1月・2月の売上高はそれぞれ前年同月比113.6%/114.6%で推移。大企業向け注力の効果、と読み取ることも出来る。

 こんな指摘も聞かれる。「時価の予想税引き後配当利回りは1%以下。保有期間が長くなるほど有利に働く株主優待(自社企画商品)策を執っているが、配当重視の外国人株主にとってはノーサンキューではないか」。

 過去10年間の調整済み株価パフォーマンスは7.6倍強。土台のしっかりした企業ゆえ、期待しつつも過去の様な株価パフォーマンスを期待してもよいのだろうか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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