EV車の日常充電 毎日充電器に繋げるか?

2023年12月17日 15:30

印刷

給電設備から太い電源コードを引っ張り、受電口に繋いで充電する ©sawahajime

給電設備から太い電源コードを引っ張り、受電口に繋いで充電する ©sawahajime[写真拡大]

 スマホのバッテリー残量が少なくなると、不安になる。ヘビーユーザーなら、別途モバイルバッテリーを予備電源として持ち歩いている筈だ。

【こちらも】中国製品に対する率直な印象 中国製EV車を信用できるか?

 EV車の場合は、予備のバッテリーを常時準備して置いて、電欠になったら予備に切り替える様な芸当が出来ないから問題なのだ。

●スマホの電池残量でさえ少なくなれば不安なのに

 EV車には、「1充電走行距離」の問題がつきまとう。

 内燃機関搭載車の場合は、燃料エンコしても、その場で補給さえ出来れば問題無く行動を継続できる。しかし、「電欠エンコ」すれば自走は不能で、現場で補充電するのは無理だから、レッカー車で充電施設まで搬送しなければならない。

 従って、普段から電池残量には神経を配る必要がある。いつ何時、急用で遠方まで出かける事態が発生するか判らないからだ。

●完全電欠に至ると最悪はバッテリーが駄目になる

 ネット上ではT車の電欠車に関して、非常に悩ましい事象の報告がなされていた。

 通常の「バッテリー残量が極めて少なくなった場合」、その時点で救援を要請して、車載車やレッカー車で充電機器のところまで搬送するか、ディーラーや修理工場まで搬入する等しての処置が必須とされる。

 もし、「完全にバッテリーが上がるまで走行」して、「電欠エンコ」してバッテリーを痛めたら、「ユーザーの誤った扱いによる不具合」として、一説には200万円かかるバッテリー交換は保証の対象外となり、ユーザー負担となるとか。

 内燃機関搭載車の「燃料エンコ」に相当する「電欠エンコ」一発で、巨額な個人負担が発生する訳だ。

●内燃機関でも「燃料エンコ」すれば高くつく

 余談ながら、昔の車は、「気化器(キャブレター)」仕様が一般的だったので、たとえ燃料エンコした場合でも、車へのダメージは少なかった。

 だが昨今の車は、殆どが「燃料噴射(インジェクション)」仕様になっている。

 インジェクションの車を燃料エンコさせると、「燃料噴射ポンプ」を「空射ち」させる事になるのでダメージを与え、最悪は高額な修理代金がかかる。それでもEV車の車載バッテリー交換に較べれば軽微な支出で済むが~。

●毎日充電器に繋げるか?

 EV車を保有するには、少なくとも自宅に充電施設が必要だ。それも、きちんとした駐車スペースなり車庫を完備して置く必要がある。

 2台保有でも、縦列に駐車するタイプの車庫の場合、常識的には充電器は駐車スペースの奥に設置される筈だから、不向きだろう。

 雨の中を帰宅しても、きちんとした車庫に車を収める事が可能で、濡れずに荷物も降ろせて、充電施設に容易に接続可能な環境でない限り、EV車の保有は向いていない。

●いろんな場面を想定

 大雨の中を戻り、荷物を屋内に降ろしてから、コネクターを車に繋げるか?

 その都度繋いで置かなければ、突発で乗って出る際にバッテリー残量が少なければ悲惨な結果となる。

 しかし、大雨の中を運転して来て、漸く自宅に辿り着き、疲れているけれど荷物だけは持って室内に戻るだけで精一杯なのに、コネクターを繋ぎに行くだけの気力が残っているだろうか?

 雨の日も風の日も、嵐の日も帰って来たら毎日、補充電する覚悟と自信はあるだろうか?EV車に乗るという事は、それなりの覚悟が要るのだ。

●環境対策に胸を張りたいなら

 「電気自動車だったら 排気ガス出ないんじゃないかな、というところから 興味を持ちました。すこし自然を良くするお手伝いが出来ているのかなって ちょっといい気分です」と言う、能天気なCMが放映されていた。

 単に走行するEV車には「エキゾーストパイプ(排気管)」がないからと言って、CO2排出と無関係な訳はない。

 EV車に乗っているから「環境意識が高い」と胸を張りたいなら、自宅にソーラー発電の設備をして、保有するEV車の充電は、それで発電した電気のみを使用して、電力会社から供給される電力を一切使用しない事が必須だろう。

 電力会社が発電する際には、火力発電では化石燃料を燃やしてCO2は排出しているのだ。現実を冷静に見つめて判断する能力が求められている。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事