【映画で学ぶ英語】『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』、"take back"の意味と使い方を解説

2023年11月22日 16:12

印刷

 10月20日に公開された映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は、『タクシードライバー』や『ディパーテッド』で知られるマーティン・スコセッシ監督作の西部劇だ。

【こちらも】【映画で学ぶ英語】『オペレーション・フォーチュン』、"head up"の意味と使い方を解説

 ロバート・デ・ニーロとレオナルド・ディカプリオという、スコセッシ監督お気に入りの2大スターを主演に迎えた本作。1920年代にアメリカで起きた実話をもとに、上映時間が3時間半近くに及ぶ壮大な叙事詩となっている

 今回はこの映画のロバート・デ・ニーロの名セリフを例に、「取り戻す」という意味の句動詞、"take back"の使い方などを解説したい。

■映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のあらすじ

 20世紀初頭、オクラホマ州オーセージのアメリカ先住民は、自分たちの土地で油田が発見されたことから、豊かな暮らしをしていた。オーセージ族は、鉱物の採掘権を独占的に相続により継承する権利を、政府から得ていたためである。

 しかし、アメリカ先住民を利用して一儲けしようとたくらむ白人たちが、オーセージに集まるようになった。カウボーイから農場主になり、保安官も務めるウィリアム・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)も、そんな白人のひとりだ。

 そんなヘイルのもとに、第1次世界大戦から帰ってきた甥のアーネスト(レオナルド・ディカプリオ)が仕事を求めてやって来た。ヘイルはアーネストに、石油の収入で豊かな暮らしをする先住民の女性モリーと親しくなるように勧め、やがてアーネストとモリーは結婚した。

 幸せな家庭を築き始めたアーネストだが、金欲しさからヘイルの裏の仕事にも手を貸していることで、やがて巨大な陰謀に巻き込まれていくことになる。

■ロバート・デ・ニーロの名セリフ

 アーネストと結婚する前後から、親族が次々に不審死を遂げたモリーは、私立探偵を雇ったり、公的な調査を求めたりするようになった。

 危機感を持ったヘイルはアーネストを呼び出して、モリーの手綱を締めるように言う。

 You've got to take back control of your home! - 自分の家ぐらいしっかり管理しろ!

■表現解説

 今回のセリフで使われている”take back”は、「取り戻す」という意味の句動詞だ。何かを以前と同じ状態に戻す、または何かを奪われたものを取り返すという意味合いがある。

 物理的な対象だけでなく、抽象的な概念にも適用できるため、決定や発言、状況を元に戻したい場合によく使われる。例えば、「言葉を取り消す」であれば、”take back one's words”となる。

 「状況のコントロールを取り戻す」と言いたければ、今回のセリフを応用して”take back control of the situation”と言えば良い。

 同じような意味の言葉には、reclaim、retrieve、recoupなどがあげられる。

 ”Take back”が、比較的具体的な状況や対象に対して使用されることが多いのに対して、”reclaim”はより広範に使える言葉だ。アイデンティティのような抽象的なものについては、”reclaim one's identity”と言うほうがしっくりくる。

 ”Retrieve”は、”retrieve the data(データを回収する)”のように、失われたり忘れたりしたものを取り戻すニュアンスがある。

 ”Recoup”は、”recoup one’s losses”のように「取り戻す、控除する」といった意味で、主に財務などで使われるため、ビジネスパーソンなら覚えておきたい単語だ。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事