【QAあり】上新電機、売上高は前年比微減も阪神タイガース優勝セールで店頭販売が伸長、利益面では前期実績、期初予想を上回る増益を確保


2023年11月14日 08:29

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記事提供元:ログミーファイナンス

【QAあり】上新電機、売上高は前年比微減も阪神タイガース優勝セールで店頭販売が伸長、利益面では前期実績、期初予想を上回る増益を確保


【QAあり】上新電機、売上高は前年比微減も阪神タイガース優勝セールで店頭販売が伸長、利益面では前期実績、期初予想を上回る増益を確保
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[目次]

金谷隆平氏(以下、金谷):みなさま、こんにちは。上新電機株式会社代表取締役兼社長執行役員の金谷隆平です。本日はお忙しい中、2023年度第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

それでは、目次の順番に沿ってご説明します。

2023年度(2024年3月期)第2四半期決算の概要 –1

2023年度上期の連結損益です。売上高は、前期実績ならびに期初の予想に対してわずかながら減収でしたが、店頭販売での売上高は前期比2パーセントの増収でした。利益面では、営業利益、経常利益、四半期純利益のいずれも前期実績ならびに期初の予想を上回る増益を確保しました。

売上総利益は前期比3.3パーセント増となり、売上総利益率も25.9パーセントから26.8パーセントに向上しました。営業利益の増減要因については、次のスライドでご説明します。

2023年度(2024年3月期)第2四半期決算の概要 –2

営業利益の増減要因のグラフです。売上総利益は17億円の増益でしたが、人件費は4億円の減益となりました。これは人的資本への投資を進めた結果、給料および手当の支出が増加したためです。結果として、販売管理費および一般管理費の増加を上回る売上総利益を確保したことで、営業利益は増益となりました。

2023年度(2024年3月期)第2四半期決算の概要 –3

第2四半期会計期間の実績です。7月から9月は増収増益で着地しました。販売面においては、「阪神タイガース リーグ優勝おめでとうセール」の貢献もあり、特に店頭販売が大きく伸びました。

利益面においては、販売管理費の増加を上回る売上総利益を確保したことで、営業利益、経常利益、四半期純利益、いずれも増益を確保し、営業利益率は3.3パーセントとなりました。

2023年度(2024年3月期)第2四半期決算の概要 –4

主な品種別の売上高です。「阪神タイガース リーグ優勝おめでとうセール」の貢献もあり、期初から伸び悩んでいた品種において、相応の実績となりました。

また、携帯電話は、コンスタントに前期を上回る実績を確保しています。

2023年度(2024年3月期)第2四半期決算の概要 –5

貸借対照表とキャッシュ・フロー計算書における主要項目の実績は、スライドに記載のとおりです。

2023年度(2024年3月期)通期予想

2023年度通期および下期の予想です。上期の業績を踏まえ、通期の予想は据え置きました。結果として、下期は前期比で増収増益を予想しています。

財務状況とネット有利子負債の推移

財務状況とネット有利子負債の推移です。純資産は増加しましたが、ネット有利子負債が減少したことで、ネットD/Eレシオは低位安定で推移しました。

店舗推移

過去10年間における店舗数の推移です。2023年度は、9月末時点で1店舗減の220店舗となっています。過去10年間において、当社グループは物流・サービスインフラの拡充に伴う店舗網の再編や、不採算店舗のスクラップアンドビルド、主力の家電事業とのシナジー効果の薄いドラッグストア業態専門店の営業譲渡など、「Joshin」ブランド直営店の強化に取り組んできました。

その結果、店舗数自体は10年前から減少しましたが、関西・東海・関東・北信越地方を重点エリアと位置づけ、当社グループ独自のドミナント戦略を着実に推進してきました。ドミナント戦略については、後ほど、中期経営計画「JT-2025 経営計画」の取り組みの中でご説明します。

ジョーシングループの売上構成比

ここからは、中期経営計画「JT-2025 経営計画」の取り組みについてご説明します。まずは、ジョーシングループの売上構成比です。

「JT-2025 経営計画」の前提として、当社グループにおけるリアル店舗とECの2つのチャネル、また、リアル店舗においては全体に占めるエリア別の売上構成比について、2023年9月に発刊した「統合報告書 2023」で開示しました。

当社グループは、関西・東海・関東・北信越地方を重点エリアと位置づけ、その中でも関西エリアを中心にドミナント戦略を推進した結果、ECを含めた全体の売上高においても5割強を占める構成となっています。

2050年を見据えた中長期の経営戦略のマイルストーンである2030年においても、リアル店舗の中心は関西エリアであることに変わりなく、今後、成長拡大が期待できるECと併せて、当社グループの販売基盤を支えるマーケットと位置づけています。

ジョーシングループのビジネスモデルを再定義

ジョーシングループのビジネスモデルのご紹介です。「JT-2025 経営計画」を推進する上で、事業ポートフォリオの見直し・整理を行い、あらためて当社グループにおけるビジネスモデルを再定義しました。

まず、お客さまとの接点となるリアル店舗、ECの2つのチャネルを主要販路と位置づけました。次に、当社グループが提供する商品・サービスの販売を通じて、お客さまに価値を提供する領域を5つのカテゴリに位置づけました。

主力事業である「家電」「エンターテインメント」に、成長事業である「リフォーム」「モバイル通信」「サポートビジネス」を加えた5つのカテゴリにおいて、各カテゴリで競争力の強化を図り、カテゴリ同士の融合・連携、新たなカテゴリの創造による競争力の差別化により、2030年にあるべき姿を実現します。

「JT-2025 経営計画」における基本戦略を明確化

「JT-2025 経営計画」における基本戦略です。「サービスインフラ」「情報システム」「ブランディング」を事業の基盤として、2つのチャネル、5つのカテゴリを起点に、当社グループ独自のドミナント戦略、商品・サービス戦略を展開します。

そして、創業以来75年にわたり、「まごころサービス」の実践で磨き上げた接客力を武器に、「ファンベース戦略」を推進することにより、中長期の安定した事業成長の実現が可能となります。

「ファンベース戦略」を明確化

「ファンベース戦略」の概要です。当社グループでは、1年に1回以上、商品・サービスを購入された会員を「アクティブ会員」と定義しています。

「ファンベース戦略」では、アクティブ会員の維持・拡大を通じて、ファン・コアファンの創造を目指す戦略であることを明確にした上で、アクティブ会員の年間稼働会員数・年間平均購入金額を開示しました。また、ファン・コアファン会員の位置づけと定量的定義も明確にしました。

家電製品の需要動向は、少子高齢化が進むことにより、今後、緩やかな減少傾向が続くと予想されます。一方で、アクティブ会員の平均購入金額は上昇傾向で推移しています。「ファンベース戦略」を実践できれば、収益力の向上を伴った持続的な成長を実現することが可能となります。

「ファンベース戦略」は、「JT-2025 経営計画」にとどまらず、その先も継続して実践していく、当社グループにおける最重要戦略と位置づけています。

「新ロイヤルティプログラム」始動

「新ロイヤルティプログラム」のご紹介です。「新ロイヤルティプログラム」の導入は、「ファンベース戦略」の中核的な戦術の1つであり、2024年2月からのサービス開始に向けて、2023年9月より当社ホームページで告知を開始しました。

現在、ECチャネルの「Joshin web」ショップのみで運営している「プレミアムステージ」というプログラムを、リアル店舗も含めた、当社グループ全体の新しいプログラムとして再設計した会員サービスです。

「プレミアムステージ」は3つのステージで構成されていましたが、今回の再設計で5つに拡大しました。「ゴールドスマイル」「プラチナスマイル」はファン会員を、「VIPスマイル」はコアファン会員を意識した、さまざまな特典をご用意しています。詳細については、当社ホームページをご参照ください。

ジョーシングループの「ドミナント戦略」を明確化

ジョーシングループのドミナント戦略についてです。当社グループは、関西・東海・関東・北信越地方をリアル店舗の重点エリアと位置づけています。当社グループのドミナント戦略は、出店数の拡大によるシェアアップを前提としたものではなく、スクラップアンドビルドを含めた既存店の販売力強化に加え、EC、サービスインフラとのシナジー効果を最大限に引き出す、「ジョーシン経済圏」の創出と考えています。

当社グループでは、各店舗の5キロメートル圏内のシェアを把握しています。出店戦略は、エリアを面で見るエリア収益ではなく、個別店舗の収益化を前提とした出店政策を実行してきました。

「JT-2025 経営計画」個別戦略における取り組み事例

「JT-2025 経営計画」の個別戦略における取り組みについてです。事業基盤の一翼を担う物流においては、既存の東京物流センターの増床・機能強化により、関西茨木物流センターを核とする、東西2拠点化物流体制の整備を進めることができました。

また、中部地区への中継拠点の設置に向けた準備を進めることで、「物流の2024年問題」への対応を推進しています。

情報システムの分野においては、こちらに紹介する新システムの新規導入をはじめ、顧客対応や店舗運営におけるICTの実装により、顧客満足度向上と従業員の働き方改革の両立を目指しています。

当社株価とPBRの推移

2023年4月から9月までの株価とPBRの推移をまとめています。当社の株価は、8月までは日経平均を下回るレベルで推移していました。9月に入り、阪神タイガースの18年ぶりのリーグ優勝が近づくにつれて、優勝セールによる業績貢献が期待感となって株価に織り込まれたこともあり、9月末時点では、日経平均を上回るパフォーマンスを確保できました。

PBRも0.5倍レベルで推移していたものが、0.6倍にステップアップしました。10月以降も、株価は2,300円台で安定的に推移しています。

株主構成の推移

2023年9月末時点の株主構成です。3月末時点と比較すると、外国法人などの持ち株比率が増加し、10パーセント台に到達しました。後ほどご紹介する、ESG指数銘柄への複数採用も貢献していると受け止めています。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた当社の対応のとりまとめです。株価およびPBRは、スライドで示したかたちで分解することができます。株価、PBRのいずれも、EPSの拡大が鍵となります。

当社グループは、「JT-2025 経営計画」に掲げる資本配分計画に基づき、将来の事業成長につながる成長投資を着実に実行しつつ、株主還元や有利子負債の削減をバランスよく実施することで、適切な純資産の管理を実行していきます。

その上で、「JT-2025 経営計画」で目指す収益力の強化、いわゆる稼ぐ力の強化に取り組むことで、EPSを拡大し、高いレベルで持続的に確保できる、筋肉質でサステナブルな経営体制の確立を目指します。

結果として、利益成長を実績というかたちで積み重ねることができれば、PERの引き上げも加わることで、PBR1倍割れの解消、その先のさらなるPBR向上に向けた道筋が見えてくると考えています。

「阪神タイガースリーグ優勝おめでとうセール」を開催

ここからは、2023年度上期のトピックスについてご紹介します。まずは「阪神タイガースリーグ優勝おめでとうセール」の成果です。2005年以来18年ぶりのリーグ優勝ということもあり、9月15日から15日間にわたり開催した今回のセールでは、多数のお客さまにご来店いただきました。

当社グループでは、今回の優勝セールを「ファンベース戦略」を活性化し、加速させる機会と捉え、リアル店舗、ECの2つのチャネルにおいて、「まごころサービス」の実践で培った、お客さまに寄り添うコンシェルジュサービスの提供に取り組みました。

その結果、セール期間中に約7万4,000人のお客さまに新規会員としてご加入いただきました。これは、2022年度1年間の会員増加数の11パーセントに相当します。この中には、しばらく当社グループを利用されていなかった休眠会員の復活も含まれています。

新規会員の獲得は、アクティブ会員の拡大、すなわちファンの拡大につながります。今回のセール限りの関係に終わらせることなく、ここからファン・コアファンになっていただけるよう、「ファンベース戦略」を着実に実践していきます。

第1回「Joshin接客ロールプレイングコンテスト」を開催

第1回「Joshin接客ロールプレイングコンテスト」のご紹介です。このコンテストは、ファンベース戦略における新たな取り組みとして、今年度からスタートしました。家電店舗の代表者221名が2ヶ月間にわたる予選会で接客の技を競い、その中から選び抜かれた16名の販売員が、頂上決戦に挑みました。

チャレンジャー一人ひとりが個性を活かし、創意工夫した接客提案はいずれも素晴らしく、家電流通業を営む当社グループにとって、接客を担う従業員一人ひとりが唯一無二の財産であることをあらためて認識する機会となりました。

当社グループ全体の接客技術と従業員のモチベーション向上につなげるべく、来年以降の継続開催を検討しています。

出店エリアにおける地域連携の取り組み

リアル店舗の出店エリアにおける地域連携のご紹介です。マテリアリティ「地域社会と共生の推進」に基づき、関西エリアを中心にドミナント戦略を展開する当社グループでは、特に関西における取り組みを数多く行っています。

関西エリアでの当社グループのポジションを表すものであり、ドミナント戦略推進エリアにおける地域貢献とブランド認知度をさらに向上させるべく、今後も積極的に取り組んでいきます。

「統合報告書 2023」発刊

「統合報告書 2023」のご紹介です。本年9月に、日本語版冊子の発刊および当社ホームページ上で公開し、英語版は11月中に公開予定です。

今回の発刊にあわせて、事業戦略をはじめ、スライドに記載の内容でコンテンツを強化しました。また、新たな取り組みとして、従来の業務執行取締役全員のメッセージに加え、社外取締役全員による座談会、全執行役員のメッセージを新たに掲載しました。

先ほどご紹介した「JT-2025 経営計画」における取り組み、この後に紹介するマテリアリティ、ESGに関する取り組みについても、詳細に掲載していますので、あわせてご参照ください。

マテリアリティを改定 「統合報告書 2023」より

マテリアリティの改定についてご説明します。当社グループは2021年、外部有識者からの意見も加え、ジョーシングループのマテリアリティを取りまとめ、公表しました。この2年間に多くの当初計画を達成したことから、今回その一部を改定し、取り組み課題、アクションプランおよび目標の見直しを実施しました。

その中でも、お客さまへ生涯にわたる価値を提供する源泉である人財への取り組みを強化、推進するため、ダイバーシティ&インクルージョンをマテリアリティに格上げし、人財確保、人財育成、健康経営を取り組み課題として整理しました。

環境における取り組み -1

環境における取り組みをご紹介します。脱炭素に向けた取り組みでは、カーボンゼロに向けたロードマップを公表しました。具体的な施策、目標とする数値、達成時期を明確に示すことで、着実な達成につなげていきます。

また、第三者による算定数値保証については、従来のスコープ1、スコープ2に加え、今回からスコープ3におけるカテゴリー1、カテゴリー11も対象に加えました。これにより、グループ全体の総排出量の98.1パーセントをカバーすることになり、サステナビリティ報告のさらなる質的向上につなげていきます。

環境における取り組み -2

環境をはじめとする各種ESG指数銘柄の採用状況です。当社グループは本年10月、2030年に向けた温室効果ガス排出量削減目標について、1.5度に抑える目標として「SBT認定」を取得することができました。

CDPにおけるBスコア獲得をはじめ、FTSE各構成銘柄への採用も増えており、ESG指数銘柄への採用を通じて、資本市場からの評価獲得につなげていきます。

社会における取り組み -1

社会における取り組みの概要です。経営ビジョン「家電とICTの力で生活インフラのHubになる」を実践し、高齢社会のレジリエンス強化支援と家庭のカーボンニュートラルの実現、この2つの社会価値創出を目指す当社グループにとって、多様な人財の活躍こそが、新たな事業機会を捉えて、持続的成長につなげていく組織力の源泉と位置づけています。

人権尊重と健康経営を人財戦略の基盤として、ダイバーシティ&インクルージョンを推進していきます。

有価証券報告書における人的資本情報の開示など、人的資本経営に対する取り組みが注目を増す中、当社グループは、人的資本投資額の内訳を開示しました。「JT-2025 経営計画」の着実な達成につなげるべく、積極的な人財投資による従業員の経営参画を図り、企業価値向上につなげていきます。

社会における取り組み -2

ダイバーシティ&インクルージョンの推進に向けたロードマップです。風土醸成、女性の活躍推進、多様な人財の活躍支援、この3つのテーマに沿って、2030年のKPIを明確に設定し、時系列に具体的な施策を示すことで、働きがいのある労働環境を実現していきます。

ガバナンスにおける取り組み

ガバナンスにおける取り組みのご紹介です。「JT-2025 経営計画」のスタートを機に、取締役報酬制度を改定しました。

改定のポイントと内容については、スライドに記載のとおりです。長期インセンティブ報酬としての株式報酬の比率を30パーセントに拡大し、うち10パーセントはROEの計画達成度に連動し、残り20パーセントはサステナビリティ指数に連動する仕組みとなっています。

中長期の経営戦略と取締役報酬の連動を強化することで、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、取締役会のガバナンス強化を図っていきます。

長時間にわたりましたが、以上をもちまして、2023年度第2四半期決算のご説明を終了します。ご清聴いただき誠にありがとうございました。

質疑応答:阪神タイガースの優勝セールの成果と課題について

金谷:「阪神タイガースの優勝セールの成果と課題についてご説明ください」というご質問です。

高橋徹也氏(以下、高橋):営業戦略担当の高橋です。「阪神タイガース リーグ優勝おめでとうセール」の成果について、具体的な数字は開示していませんが、月次は9月期が121パーセント、10月期が92パーセントと開示しています。

9月期に阪神タイガースがリーグ優勝し、その直後から優勝セールをスタートしたものの、当然、優勝セールの前には買い控えがありました。優勝セールを終えた9月期と、その反動があった10月期の2ヶ月の数字を合わせてお考えいただけたらと思います。

仮に、9月期・10月期が同じ売上ウエートとすると、2ヶ月で106.5パーセントとなります。ただし、10月期の92パーセントという数字については、GfKが93パーセント、同業他社の月次開示が96パーセント前後で出ていますので、すべてが優勝セールの反動ではないと思っています。実際の売上ウエートもありますので、106.5パーセントを軸に、もう少し上積みがあったのではないかと考えています。

さらに阪神タイガースがCSファイナルで勝ち抜き、再度買い控えが発生しました。11月期は大変ありがたいことに、昨日から「阪神タイガース 日本一おめでとうセール」をスタートしています。このセールも非常に好調です。

このように乱高下していますが、リーグ優勝の効果については、9月期・10月期の月次から想定した106.5パーセントに、2パーセント、3パーセントを積めるかと考えています。加えて、11月末までの「阪神タイガース 日本一おめでとうセール」の結果は、11月期の月次を締めた段階で初めて実態が出てきます。

優勝セールは非常によく売れます。課題として「東京・北信越など、西宮市から離れた地域ではどうか」と思っていたのですが、離れた地域でも相当な効果を実感しました。西宮市には3店舗ありますが、この3店舗では優勝による効果が非常に長く続き、想定外によく売れました。

総括すると、西宮市に近い地域から順に売上が高く、距離が離れるにつれて弱くなりますが、9月期・10月期・11月期の月次をトータルしてご判断していただければと思います。

阪神タイガースは2003年、2005年にリーグ優勝し、2023年はリーグ優勝して日本一になりました。もう少し短いサイクルで優勝していただくと、さらに業績に寄与すると思いますので、今後の躍進を期待しています。

質疑応答:在庫水準および売上総利益率、価格競争について

金谷:「在庫は健全な水準と理解してよいでしょうか? また、下期以降の売上総利益率の見通しも、上期同様に改善を期待してよいでしょうか? 価格競争面についてもご教授ください」というご質問です。

大代卓氏:財務戦略担当の大代です。在庫の水準は、9月末の在庫を見ると昨年度が802億円、今期は793億円とほぼイコールで、売上で割り返すと約2.4ヶ月です。要因として季節変動等がありますが、トレンドで見る限り、過剰感はまったくありませんし、今後、セールで在庫がはけていく状況も当然考えられますので、在庫の健全性はまったく問題ないと考えています。

売上総利益率と価格競争は、ある意味で一体のようなところがあり、営業戦略にしていることが多いのですが、聞くところによれば、過剰な価格競争による過剰な競争は以前に比べると緩和されているとのことです。

我々は、ロールプレイングコンテストなどを行いながら、接客能力の向上に注力しています。お客さまに対して、適切なものを適切に販売することを目指していますので、財務の立場からも、そのあたりが収益性の向上につながっていくと期待しているところです。

質疑応答:インターネット販売で続く不調について

司会者:「インターネット販売の不調が続いている要因と、不調への対応策を教えてください」というご質問です。

高橋:インターネット販売については、2020年度に大きく売上が伸び、そこで一気に拡大しました。どのような施策を打ってもうまくいった年で、コロナ禍では、インターネット等のチャネルにおいてお客さまのご支持があったため、当社もその勢いに乗って商売していました。

その後、徐々にコロナ禍が明けて5類に移行し、リアル店舗に人が戻ってくると、ECビジネスが厳しくなってきました。厳しくなると、競争が激しくなります。競争が激しくなるとなかなか収益につながりません。

ご質問の中で「不振」とご指摘いただきましたが、当社では不振とは考えていません。我々は電気屋ですので、重量物に当たる大型の冷蔵庫や洗濯機、設置工事が必要なエアコンをリアル店舗と同品質で販売できるECビジネスを目指しています。ただ、そこが若干置き去りになったところがありました。

今期は、もう一度足元をしっかりと見つめながら、本来あるべき姿を探していきたい1年と位置づけて営業しています。下期に大きく数字が動くことはないと思いますが、この1年の数字をベンチマークに、来期以降、どのように伸ばしていくのかをしっかりと考えていきます。

なお、公表していませんが、収益は前期に比べて大幅増益となっています。本来あるべき姿が徐々にクリアに見えてきている状態だと思いますので、今期を戦い抜いて、来期につなげていこうと思っています。

質疑応答:資本コストを意識した経営に向けての議論や検討について

金谷:「PBR1倍割れの改善に関して、資本コストを意識した経営に向けた取締役会での議論や検討の状況を教えてください」というご質問です。

田中幸治氏(以下、田中):経営企画、人財戦略担当の田中です。PBRを改善する取り組みについては、今年3月に東京証券取引所から資本コストおよび株価を意識した経営の実践に関する取り組みについての要請を受けました。当社はちょうど中期経営計画の更新時期に当たっていたため、東京証券取引所の要請に基づいて取締役会で議論および協議を重ね、その結果を中期経営計画として取りまとめました。

中期経営計画では、資本コストをあらためて認識するとともに開示も行い、資本コストを上回る経営指標および資本効率の目標を定めました。目標を確実に達成するための資本配分計画の概要を示しています。

2025年度には、ROE8パーセント以上、ROAおよびROIC5パーセント以上という目標をそれぞれ掲げ、事業に邁進しているところです。

先ほどからのご案内のとおり、阪神タイガースがリーグ優勝、そして日本一に輝きましたので、本当に多くのお客さまにご来店いただいています。会員の新規加入も増えています。新規会員を明日の収益に結びつけていくことが直近の課題です。

また、中期経営計画をスタートさせるにあたり、役員の意欲を高めるために報酬制度も抜本的に改定しました。業績連動のウエートを30パーセントから50パーセントに引き上げ、経営の責任を明確にし、50パーセントのうちの30パーセントはROEおよびサステナビリティー指数に連動する評価形式としています。役員の意欲を高めて、中期経営計画を着実に実践していきたいと思います。

また、収益の改善は当然のことながら、最終利益を意識した取り組みについては、かねてより要請の強い政策保有株式の縮減についても粛々と進めていきたいと考えています。

以上のような政策を着実に実行することによって、ROEを向上させ、PBRの改善につなげていきたいと考えていますので、ご理解いただけますと幸いです。

質疑応答:阪神タイガースの優勝セールと売上総利益率の相関について

金谷:「優勝セールで売上は伸びると思いますが、値引きがあるため、売上総利益は少ないと思います。利益貢献はあると考えてよいのでしょうか? また、優勝セールを行った一方で、4月から9月の売上総利益率が前期比で良化している要因も教えてください」というご質問です。

高橋:阪神タイガースの優勝セールでは、ファンや当社のお客さまに喜んでいただくために、さまざまな商品をご用意しました。阪神タイガースが優勝すると信じて、早期の段階で商品を仕込みましたので、一時的な値引きで商売したのではなく、準備を重ねています。

準備段階では、収益を確保できるようにも考えてきました。第2四半期の決算をご覧になるとおわかりいただけると思いますが、優勝セールは販売好調ですが、利益もついてきました。そのような準備や仕掛けもしましたし、お客さまと取引先に支えられて、このようなセールができたと思います。利益貢献面ではまったく問題ありませんので、ご安心ください。

売上総利益率の改善については、従来にも増して当社の課題と認識していました。先ほど、金谷からお伝えしたように、店舗数は増加していません。本来であれば、競争という環境下では新規出店でボリュームを作りたいところですが、家電は耐久消費財です。当社では、一度買えば10年近く使う商品を、お客さまの話も聞かずに右から左へ売る行為は行っていません。お客さまの使用状況、ご希望、ニーズをしっかりと聞き取り、販売しています。

このような商売は、どちらかというとハイエンド商品にお客さまが魅力を感じてくださいますし、お客さまがご理解いただいた商品を実際に使っていただくと、「快適、楽しい、おいしい」と、満足感を味わっていただけます。

我々はそのような商売をずっと目指してきました。ハイエンド商品は利益率が高く、メーカーも売りたいため、当社への支援体制も非常に手厚いです。これは、急に何か施策を打って利益率が上がったのではなく、これまで目指してきた商売の積み重ねだと考えています。

この商売がある程度安定し、我々独自のものとなれば、店舗数を少しずつ増やし、そこからまた成長戦略を考えていきたいと思います。売上総利益率が改善している要因については、今ご説明した部分が最も大きいとご理解いただければと思います。

質疑応答:東京物流センターの増床と中部地方での中継拠点構想について

金谷:「東京物流センターの増床と、中部地方の中継拠点構想について、もう少し詳しく狙いを教えてください」というご質問です。

田中:東京物流センターを2拠点化する件と中部地区拠点整備は、いずれもかねてからの計画であるBCPおよび「物流2024年問題」に根ざした対応です。

関西では、関西茨木物流センターを新設しました。災害対策と物流の効率化、顧客サービスの向上の観点から、南港地区と枚方にあった物流センターを統合して内陸部に移転させています。関西に1拠点では事業継続の観点で課題となりますので、ECの構成比が非常に高い首都圏を増床・機能強化することで、東西2拠点体制でECの事業拡大とリアル店舗の配送網の拡大を実現したいと考えています。

消費者に近い場所に物流センターを設けることは、今課題になっている「物流の2024年問題」の解決につながるとも考えており、中継地点である中部地区にも新たな物流拠点を設ける検討を進めているところですが、中部地区については具体的に確定していることはありませんので、確定次第、ご報告します。

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